河村たかし氏はなぜこんなに強いのか 衆院選で見えた戦略、垣間見せた本音

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与党が大敗した衆院選、東海地方では“選挙モンスター”が大暴れ。その選挙戦に密着しました。
今回、15年ぶりに国政復帰を果たしたのが――。
「サンキューベリーマッチっと。総理を狙う男アゲイン75歳、何か文句ある?」
河村たかし氏、75歳。名古屋の中心部の愛知1区で、自民と立憲の前職らに圧勝しました。
1993年の初当選以降、衆院選で5回、名古屋市長選で5回勝利を収めた”選挙モンスター”は、今回も安定した選挙戦を展開。
なぜこれほど強いのか?票の源には何があるのでしょうか。
名古屋市長を15年間務め、知名度はバツグン。ひとたびマイクを握ると――。
「ヒャーボール飲まなやってられんですよ。うそに包まれた政治の世界でよ」

演説の場所や聞いている人たちを絡めた、軽妙なトーク。
「庶民派」として、名古屋市長時代の減税や自身の給与引き下げなどをアピールする一方で、国政で掲げる政策にはあまり踏み込まないようです。
束の間の休憩タイムでは、コーヒー片手に持論を語りました。
「いろいろしゃべって、喜んでくれるかしょっちゅう考えないかん」

Q.政策を訴えるよりも、楽しんでもらいたい?(記者)

75歳の選挙戦。終盤は疲れもにじませます。
Q.情勢は気になる?

Q.不安になることはある?

もうひとつ、河村氏の特徴は積極的な触れ合いです。
「ぼくちゃんも小さい時からええ勉強になるな。立派になってちょ~よ」

中には、手紙を渡しにきた小学6年生も――。
「熱田のイオンでイベントがあって、手紙を渡したら手紙を返してくれた。まさか返ってくると思ってなかったので、跳びはねて喜んだというお礼の手紙と、体に気をつけて選挙を頑張ってくださいと書いた」(小学6年生)
1990年の映像では、国政への挑戦を目指していた河村氏がハンドマイクを手に新成人に話しかけていました。
「私の場合は1人ずつということで。マンツーマンのコミュニケーションをやっている」(1990年の河村氏)
名古屋・栄の街を疾走。河村氏おなじみの「自転車」選挙戦も健在です。
一貫して見せてきた「気さくさ」とともに、河村氏の人気を支えているのは「保守」という一面です。
「南京事件(めぐる発言)が問題になって、普通ならやめますよ。他にいなくないですか?それなりに地位のある政治家が問題になる発言をして選挙に勝つのはすごい」(河村氏の演説を聴いた人)
旧日本軍によるとされる「南京事件」をめぐり「組織的な大虐殺はなかった」という趣旨の発言をするなどの主張を掲げていました。
「私たちも今回、日本保守党が出ていなければ自民党に入れていた可能性もある。河村さんが出ていなければ(自民党の)熊田さんに入れていたかもしれない」(河村氏の演説を聴いた人)
ANNと朝日新聞による出口調査では、愛知1区では自民党支持層の約4割が河村氏に投票したという結果になりました。
今回の衆院選、共同代表を務める政治団体の日本保守党は小選挙区で1議席、比例代表で2議席の計3議席を獲得しました。
「使命感というのか、感じますね。本当に。第一歩として巨大な一歩を歩み始めた」(河村氏)
15年ぶりの国政復帰。名古屋の“選挙モンスター”は、中央政界でどんな暴れっぷりをみせるのでしょうか。

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