【独自】「総務会長」を蹴った高市早苗が「新党結成」か…百田尚樹と河村たかしとの共闘も《渦中の人物に直撃》

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自民党総裁選は、石破茂氏が高市早苗氏を決選投票で下して勝利した。高市氏に投票したA議員はこうボヤく。
「1回目で高市氏は181票で石破氏は154票と27票差もあり、決選投票も楽勝、高市総理の誕生だと思った。まったくどうなってんだよ……」
1回目も決選投票も高市氏に入れたこの議員は、いまだ憤懣やるかたない表情だ。そしてこうも付け加えた。
「石破氏は高市氏を重要ポストにつけて当然。最低でも幹事長か財務相しかなかった」
10月1日に首班指名で総理の座に就く石破氏の人事が矢継ぎ早に決定したが、高市氏が党役員や閣僚に入ることはなかった。総務大臣や経済安保大臣などの閣僚や、党の政調会長などの要職を歴任した高市氏に対し、石破氏は総務会長を打診したものの、高市氏は固辞した。
高市氏は「一国会議員として支える」と語っているが、石破氏の推薦人となっていたB議員は苦々しげにこう語る。
「総務会長は政調会長より格上の存在なのだから、なぜ断るのか。幹事長を所望したというが、解散総選挙も近い以上、幹事長は政治とカネの問題に直結する。総裁選の推薦人に裏金議員が13人いた高市氏を就けるわけにいかないのは当然のことでしょう。そもそも高市氏は自ら『飲み会は苦手』と言っており、党をまとめる立場の幹事長はきつい」
現職の総務会長・森山裕氏が幹事長に就任する見通しになった。また、石破氏が高市氏の幹事長起用を見合わせた理由のひとつは、総裁選の高市氏の発言にある。
高市氏は、靖国神社への参拝について「適切な時期に普段通り、淡々とお参りする」と参拝を続けることを明言した。
「10月中頃の秋の例大祭も言葉通り、参拝されるでしょう。石破氏が何を言おうが関係ない」
と冒頭のA議員は靖国参拝が「当然」と言わんばかりだが、解散総選挙直前もしくは真っ只中に幹事長が靖国参拝となれば、大きなニュースになることは誰もが想定でき、選挙結果にも響く。石破氏が二の足を踏んだのも当然だ。
「もし高市氏が勝っていたら、首相就任直後に10月中旬の例大祭に参拝していたかと思うと背筋が寒くなる。韓国、中国、アメリカから反発をくらうのは当然のことで、国内政局も右だ左だと大混乱することは目に見えていた。
その点は、総理になれなかった今も同じ。幹事長にせよ閣僚にせよ、靖国参拝については慎重な態度が求められる。だから高市氏には外務大臣や防衛大臣はとてもまかせられないのです。
高市氏は、総務大臣時代は総務官僚の公文書を『ねつ造』とまで言い切った。霞が関と折り合いをつけてやらねばならない財務大臣も無理でしょう。
だからこそ総務会長として選挙の応援にまわってほしいと思ったのですがね」(前出・B議員)
総裁選に立候補した林芳正氏は官房長官に留任し、加藤勝信氏は財務相、小泉氏は選対委員長となる。先に述べたように、高市氏が熱望した幹事長には森山氏が就く。
今回の党役員・閣僚人事で予想される顔ぶれを見ると、裏金議員は見当たらない。とりわけ、法相には牧原秀樹衆議院議員が起用される。牧原氏は裏金事件や旧統一教会に厳格な姿勢をとっていたことで知られる。石破氏の「切り札」とも言われ、それだけ「政治とカネ」に敏感になっていることの証左だ。
また、高市氏はカネのかからない総裁選という自民党の「指令」を無視していた。総裁選の投票用紙が党員に届く絶妙のタイミングで、リーフレットを30万通超を発送。現代ビジネスが報じたように、少なくとも1500万円の費用がかかったとみられ、いまだ政治とカネの問題の渦中にいるのだ。
神戸学院大学の上脇博之教授は高市氏の「政治とカネ」の問題ですでに7つもの政治資金規正法違反容疑で、高市氏を刑事告発している。中には政治資金収支報告書に
《(他人の)印章を使って、同収支報告書に記載していた上記「パーティーチケット購入」目的の22万円の支出額を12万円であった、と真実に反する手書きの修正を行ない、かつ、残りの10万円の支出は「渉外費」の「その他の支出」だった、と真実に反する手書きの修正を行なった》
という有印私文書変造・同行使罪に該当するとんでもない内容もある。
上脇教授が言う。
「高市氏の政治資金収支報告書などをチェックすると、首をかしげるような内容が多々あります。すでに政治とカネの問題で刑事告発されているのに、総裁選でも、多額のカネをかけてリーフレットを発送して問題になった。高市氏自身が政治とカネの問題について、軽視の姿勢があると感じます」
石破氏の動きを牽制するかのように、前出の高市陣営・A議員はこう語る。
「高市氏だけではなく、うちの陣営を干すことなど許されない。閣僚、党役員、委員長ポストなども総裁選の結果にあわせてあてがうべきだった。石破氏は総裁選で裏金議員の非公認などと言っていたが、そんなことをすれば、高市氏を支援した旧安倍派がそっぽを向き、政権は長く続かないでしょう」
裏金議員など関係ないとばかりに、強気なのである。だが今回の総裁選は、裏金事件で派閥を解消して行われたことが最大の「ウリ」だった。だから9人もの立候補者がいたのだ。A議員の発言にある「うちの陣営」の要求は、旧派閥の論理そのものである。
そして、A議員はさらに新党結成まで口にする。
「もし高市氏が自民党から保守層中心の新党結成でも走れば、総裁選の結果をみてもわかるように、かなりの議員がついていくはずだ。そういう党がすでにあるではないか」
想定しているのが、人気作家の百田尚樹氏と名古屋市の河村たかし市長が共同代表の
日本保守党との共闘とみられる。
河村氏は現代ビジネスの直撃に対しこう答える。
「解散総選挙になれば、百田氏にも『あんたも出なあかん』と言ったところだ。百田氏も総裁選は高市氏を応援しとったそうだ。古い話だが、ワシは新進党時代に高市氏と一緒にやっとりますからね。もし高市氏がなんらかアクションを起こすなら、いろいろ話し合えればと思いますね」
と歓迎ムード。
今回、高市氏支援にまわって、キングメーカーから転げ落ちた麻生太郎氏はどうなるのか。本人こそ党の最高顧問として遇される見込みだが、麻生派のC議員は言う。
「麻生派は高市氏に投じている。石破氏とやりあって負けたので派閥全体が冷遇されるのはしょうがない。それが非主流派というものだ。高市氏が総務会長は嫌だとダダをこね、陣営を処遇せよという派閥の『上から目線』には驚くばかりだ。麻生氏は高市氏乗って大失敗した。キングメーカーでなくなり影響力は激落ちだ」
解散総選挙は10月27日の投開票となる見込みだ。
「石破氏周辺は、選挙期間中なら、高市氏も靖国参拝には行けないはずと読んでいる。だから当初、想定された11月10日投開票を前倒ししたのではないか。逆にいえば、それほど、高市氏を恐れている」(前出・C議員)
石破氏の推薦人だったB氏はこう警戒する。
「高市氏は保守層を集めて総裁選は決選投票に進んだ。高市氏が煽って保守系の世論が騒ぎ出し、石破政権への支持が急落し、解散総選挙で大敗するのが怖い」
高市氏の動向から目が離せないまま、新政権がスタートする。
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