業者らによる不法投棄で…茨城県石岡市の巨大なゴミ山「1.5万の異様な産廃」迫力の空撮写真

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県道に沿って積み上がった巨大なゴミの山。長さは250mを超える――。
異様な風景は、近くに小学校もある茨城県石岡市の農村地帯に広がっている。敷地内はプラスチック類のゴミが覆(おお)い尽くし、無数の樹脂(じゅし)製の袋は劣化して破れ、中身が飛び出しているものも目立つ。
「資材置き場だった場所にゴミが運び込まれ始めたのは4年ほど前です。いまでは高さ8m以上も積み上がっているうえ、フェンスも傾いている。県道は1劼曚廟茲砲△訃学校の通学路にもなっているため、子供が通る際にゴミが崩落すれば大事故になりかねません」(周辺住民)
ゴミの山は、最近の産業廃棄物遺棄現場としては最大規模だ。業者と個人がリサイクル製品の原料と主張して県外から運び入れ、その量は1.5万(25mプール約35杯分)に達する。茨城県・県民生活環境部廃棄物規制課の担当者が説明する。
「保管量が産業廃棄物処理法で決められた上限を超え、県道上にゴミの山が崩落しかねない状況にもなっています。周辺住民からは、『崩落する危険があるので早く撤去してほしい』との声が何度も届いていました」
現場は以前の所有者が権利を放棄した前後からゴミ置き場に。県は昨年3月、ゴミの保管者に1年以内の全量撤去を求める命令を出すが、約2割が搬出されただけ。住民の生活に支障が生じる恐れがあるため、今年9月に行政代執行を実施して強制撤去に踏み切ることになった。
「撤去費用は3億3000万円で9月24日から搬出を始めました。産業廃棄物処理事業振興財団からの支援金と国からの交付税を除くと、県の実質的な負担額は1980万円になります」(同前)
税金がつぎ込まれる事態になる前に、防ぐことはできなかったのか。産廃問題に詳しい村田正人弁護士が指摘する。
「廃プラスチックがここまで積み上がるのは、全国的にみてもかなり珍しいケース。措置命令を出すまで時間がかかりすぎです。不適正保管が見つかってすぐに改善命令を出していれば、こんな事態にならずに済んだでしょう。結果的に億単位の撤去費用がかかってしまったことは、行政の怠慢といえます」
ほったらかしの対応が生んだ、巨大なゴミの山。全量搬出が終わるのは、来年1月になる予定だ。
『FRIDAY』2024年10月11日号より
取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)

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