奄美大島でマングース「根絶」 環境省が宣言へ ハブ対策で導入失敗

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絶滅危惧種を捕食するなど、生態系や農業に深刻な被害をもたらしてきた侵略的外来種のフイリマングースについて、環境省が鹿児島県・奄美大島(712平方キロ)での「根絶」を宣言する見通しとなった。9月3日の専門家検討会後に正式発表する。奄美大島のように広い範囲に定着した後にマングース根絶に成功した事例は世界でも例がないという。
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環境省によると、フイリマングースは南アジアに分布している。日本には毒蛇のハブやネズミの駆除目的で導入され、奄美大島には1979年、30匹程度が持ち込まれた。
だが、ハブが夜行性であるのに対しマングースは昼間に行動するため、ハブ対策としての効果はなかった。希少な在来の動物などを捕食して分布を広げ、2000年には島内の生息数が約1万匹にまで増えた。一方、国の特別天然記念物のアマミノクロウサギなど一部の絶滅危惧種は、01~02年ごろには生息数がマングース導入前の2割程度になった。
国は00年ごろ、本格的にマングース捕獲に着手。05年に外来生物法の特定外来生物に指定した。同じころ、島民らが捕獲専門集団「奄美マングースバスターズ」を結成。これまでに約3万2600匹が捕獲された。島内では農作物被害が減り、在来種の生息数も徐々に回復した。
環境省によると、侵入後のマングース根絶事例は世界で9例ある。ただし、計画的に捕獲を進めた事例の中で対象面積が最も広かったのは1・15平方キロ、根絶までの総捕獲数は76匹だった。
奄美大島は21年、希少な固有種など生物多様性の豊かさが評価され、西表島(沖縄県)などとともに世界自然遺産に登録された。
有識者検討会委員の深沢圭太・国立環境研究所主任研究員(生態学)は「(根絶は)世界に誇れる成功事例。在来種が回復し、生物多様性保全の面でも大きな成果だ。仮にマングース対策が不十分であったなら、世界自然遺産登録にも影響があった可能性がある」と評価する。
根絶に至るまでには多くの代償も払った。環境省の00~24年度の対策事業費は計36億円に上る。環境省外来生物対策室の松本英昭室長は「そもそも人がマングースを持ち込まなければ対策は不要だった。犠牲になる在来種や捕殺されるマングースもいなくて済んだことを忘れてはいけない」と話す。【山口智】

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