【+αオンライン編集部】「ババァ!骨をパクるんじゃねえよ!」火葬場職員が心底戦慄したお骨上げ時の恐怖体験

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これまでに1万人のご遺体を見送った下駄華緒さんが火葬場職員時代の体験を明かし、注目を集めているYouTubeチャンネル「火葬場奇談」。その壮絶な体験は「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」(原案:下駄華緒/漫画:蓮古田二郎)として漫画化され、話題を集めている。
寄せられた反響について下駄華緒さんはこう話す。
「感想もそうなのですが、思っていた以上に感謝の声が多くてびっくりしました。1番数が多く頂いたのは、本を読んでから自分の親族のお骨あげに行かれた方が、その時の記憶が鮮明に残り良かったというお声です。今まで何も知らずに行った時は、なかなか記憶に残らなかったそうですが、本で知識を得てから行かれたお骨あげは『記憶に残る』ということです」
記事前編では、火葬場で起きた遺族間のトラブルについて取り上げた。ご遺体を前にして、ただならぬ雰囲気のご遺族。いよいよお骨上げの時となったのだが――。
ある日、下駄さんの働く火葬場に非常に険悪なご遺族が訪れた。彼らは<淡々として冷ややかな喪主男性グループ>と<さめざめと悲しんでいる高齢女性グループ>の2つのグループに分かれ、激しく対立していたのだ。
下駄さんたちは、何かトラブルが起きないか注意を払っていたが、どうにか何事もなくお骨上げの時間となった。
「ホッとしたのも束の間、そこで目にした光景に僕は言葉を失いました。リーダー格の高齢女性がコソコソと骨をバッグに入れているのです」(下駄さん)
その行為に気づいたのは下駄さんだけではなかった。「ババァ!骨をパクるんじゃねえよ!」と喪主男性は激怒。「ババァとは何だ!」と女性が逆ギレしてしまい、下駄さんたちのご遺骨についての説明を聞くどころではない騒動になってしまった。
それでも何とかお骨上げも終盤にさしかかり、下駄さんは喪主男性に「それでは喪主様、お骨つぼをお抱きください」と声をかけた――その時、先ほどの高齢女性が喪主男性に激しく詰め寄ったのだ。
「返せ!やっぱりお前に骨は渡さない!」
女性は男性につかみかかり、「骨を返せ!」とわめきちらす。「やめろ!なんなんだお前!」男性は思わず女性を突き放し、そのはずみで女性は床に倒れてしまう。それでもなお、「骨を返せ…骨を返せ…」とにじりよってくる。その様子を見て、別の女性が「みちこさん!もうやめ!もうやめや…」と高齢女性を羽交い締めにして止めようとする。お骨上げは大混乱になってしまった。
しかし、混乱していたのはご遺族だけではない。下駄さんたち火葬場職員も大いに戸惑っていたのだという。なぜか。
「なぜならみちこさんというのが、お骨のご本人、故人様の名前だったからです」(下駄さん)
ひょっとして亡くなったみちこさんは喪主の男性と仲が悪く、高齢女性にとり憑いて自分の骨を奪い返そうとしたのだろうか。そして止めに入った女性はそのことに気づいていたのではないか。ご遺族が火葬場を去ったのち、下駄さんたちは話し合ったが、真相は誰にも分らなかった。
どうして人間はこれほど激しくいがみ合うのだろうか。わからない…でもだからこそ、仲がいいってことが美しいのだろう――そう下駄さんの心に深く刻まれた遺族間の骨肉の争い。人生の最後に携わる人々の物語は、今一度「生きること」や「命の尊さ」について考えてみるきっかけになるかもしれない。
連載記事【「子供の火葬が一番つらい…」火葬場職員が思わず涙した真夜中の衝撃体験】に続きます。
下駄華緒/元火葬場職員。2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。怪談最恐戦2019怪談最恐位。火葬場職員時代の経験を生かしたYouTubeチャンネル「火葬場奇談」が話題。Twitterアカウント⇒@geta_hanao
蓮古田二郎/千葉県在住。二児の父。背景は妻が担当。主な著書に「しあわせ団地」(講談社)がある
「水死」したご遺体から“あるはずのない骨”が…火葬場職員が心底震えた瞬間

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