「餃子の王将」社長射殺、組員の男が下見などに使った車の証拠隠滅依頼か…自宅など関係先捜索

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2013年に京都市内で起きた「餃子(ギョーザ)の王将」社長射殺事件で、殺人容疑などで逮捕された特定危険指定暴力団・工藤会系幹部、田中幸雄容疑者(56)(福岡県春日市)に事件前、車を貸した知人が田中容疑者から「乗ったことがわからないようにしてくれ」と依頼されたと証言したことが捜査関係者への取材でわかった。
車は福岡から京都入りし、下見や逃走用バイクの物色に使われたとみられる。返却後に名義変更されており、京都府警は証拠隠滅が目的だったとみている。
府警は28日、別の銃刀法違反事件で福岡刑務所に服役していた田中容疑者を同刑務所内で逮捕。車で移送し、29日午前4時10分、山科署に到着した。
府警は合同捜査本部を組む福岡県警とともに、田中容疑者の自宅など関係先10か所以上を捜索した。
王将事件は13年12月19日早朝に発生。王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72歳)が京都市山科区の本社ビル前で射殺された。付近の防犯カメラには事件直後に現場から逃走するバイクが映っていた。バイクは盗難車で、現場から約2キロ先の駐輪場に乗り捨てられており、ハンドルから、銃を撃った際に残る硝煙反応が検出された。
捜査関係者によると、下見に使われたとみられる車は福岡・久留米ナンバーの軽乗用車。同年9~10月に2度にわたり京都入りし、山科区などを走り回ったことがNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)などで確認されている。
この車はバイクが盗まれた京都府城陽市内も走行。府警は逃走用バイクの物色にも使われたとみている。
車は福岡県内に住む田中容疑者の知人が当時所有していたもので、知人は府警に対し、貸していたと証言。さらに返却された際、田中容疑者から自身が乗っていたことをわからなくするよう依頼されたという。
車は間もなく別人名義に変更され、その後売却された。車の行方を捜していた府警が16年4月頃、九州地方で見つけ、押収して調べたが、田中容疑者が使用した痕跡は確認できなかったという。
田中容疑者が08年に福岡市内で起こした銃刀法違反事件では、工藤会系組員ら2人と共謀し、大手ゼネコン「大林組」社員が乗った車に銃撃。事件1か月前から現場を下見し、盗んだバイクを準備して犯行に及ぶなど、王将事件と手口が似ていた。

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