「″捨て石″にされる」相次ぐアメリカ兵の性的暴行事件に揺れる沖縄を膳場貴子キャスターが現地取材 【風をよむ】サンデーモーニング

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いま沖縄で、アメリカ兵が起こした事件に、県民の反発が高まっています。理由は、事件が度重なったことに加え、その事実さえ、知らされていなかったことでした。膳場貴子が現地・沖縄を訪ねました。
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膳場貴子キャスター:「嘉手納町に来ています。アメリカ軍兵士による女性に対する犯罪が相次いで発覚している事態を受け、抗議のため、たくさんの人が集まっています」
抗議集会の参加者:「またかまたかという感じなんですよね。あなたの子供だったら、孫だったら、こんなことがあったら日本政府は黙っているの?」
抗議集会の参加者:「沖縄県民を馬鹿にしてるのかなと」
抗議集会の参加者:「基地はいりません」
7月12日に開かれたのは、16歳未満の少女に性的暴行をした罪に問われた米軍兵士の初公判。被告は起訴内容を否認し、無罪を訴えています。
さらに沖縄県民の怒りを増すこととなったのは、この事件含め、5件のアメリカ軍関係者による性的暴行事件の情報が、県側に伝えられていなかったことです。
沖縄県・玉城デニー知事:「一切の連絡がなく、結果、県として何ら対応を取ることができなかったことは極めて大きな問題」
昨年、2023年12月に起きた今回の少女の事件も、情報を沖縄県が把握できたのは、半年経った、2024年6月。この間、岸田総理のアメリカ訪問や、エマニュエル駐日大使による石垣島や与那国島の自衛隊視察、さらに沖縄県議会選挙と続く中、事件は一切公表されませんでした。
その理由を、政府は、関係者のプライバシーなどに配慮したためとしています。しかし、沖縄国際大学の前泊教授は…
前泊博盛教授(沖縄国際大学・日米安保論):「隠蔽と思われても仕方の無い状況。この事件がもし出ていたら、政治的な影響が出たかもしれない。隠蔽の裏で、政治政局を優先して、県民の安全安心、治安がないがしろにされていなかったか、そういう問題が起こります」
県民の4人に1人が犠牲となった沖縄戦。戦後は「銃剣とブルドーザー」といわれた土地の強制接収など、過酷な米軍統治下に置かれました。そして全国の米軍施設の7割が集中する状況は、これまで様々な問題を引き起こしてきました。
女子生徒(1995年):「私たち、生徒、子ども、女性に犠牲を強いるのは、もう止めて下さい」
繰り返されたアメリカ兵による暴行や傷害事件…昼夜を問わない米軍機の爆音に、市街地での墜落事故…。危険と隣り合わせの生活を、いまだ県民は強いられています。
沖縄県民(嘉手納町):「沖縄というのは米軍の全面占領時代と変わらないという実感は持っています」
さらに今、沖縄では、「台湾有事」などを想定して、急速に、自衛隊の部隊増強が進んでいます。この自衛隊の「南西シフト」と呼ばれる動きには、宮古島や石垣島などへの駐屯地新設や、ミサイル部隊の配備がありました。その動きは、沖縄本島でも…。
2024年3月、沖縄本島で初めて、うるま市に地対艦ミサイル部隊が配備されたのです。
膳場貴子キャスター:「地域住民には十分な説明があったか?」
うるま市在住・宮城和之さん:「いや、全くないですね。全く無視されていました」
今回配備されたのは、12式地対艦誘導弾。射程200キロほどですが、将来的には中国本土も射程に入る1000キロに伸ばし、「反撃能力」として活用される可能性が指摘されています。
うるま市在住・宮城和之さん:「(有事になれば)真っ先にやられるのは沖縄。また『捨て石』にされる。沖縄が犠牲にされる」
かつての戦争で、本土決戦を遅らせる「捨て石」とされた沖縄。それがまた繰り返されるのではという県民の不安や怒り…。
そうした中、沖縄が再び戦火にさらされることのないよう、動き始めた若者もいます。神谷美由希さん。
中国や台湾の学者、ジャーナリスト、市民らと対話を重ね、意見の違いを乗り越えていこうというプロジェクトを立ち上げたひとりです。
沖縄対話プロジェクト 神谷美由希さん:「威嚇し合って良いことはない。軍事化を進めるのではなく、平和的な繋がりができるんだなと、ゆっくり感じます」
こうした対話による平和を摸索する声が上がる一方、日米の軍事的連携は、より一層、緊密さを増しています。前泊教授は…
前泊博盛教授(沖縄国際大学・日米安保論):「沖縄は戦後79年間、日本の安全保障を十分に背負ってきました。これから先は、沖縄に頼らず、日本の安全保障を考えてはいかがですかという、そういう疑問が沖縄からあります」
これまで安全保障の名の下に、かき消されてきた沖縄の声…。今、沖縄の人々は…
沖縄県民(嘉手納町):「私たち沖縄は何のために(日本に)復帰したんですか?みんな沖縄の苦しみを少しでも分かって欲しい…」
(「サンデーモーニング」2024年7月14日放送より)

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