5月16日昼、東京大学・本郷キャンパスにある校舎「法文一号館」は殺伐とした雰囲気に包まれていた。この日、東大の学園祭「五月祭」では、参政党の神谷宗幣代表と塩入清香参院議員の講演会が直前に中止された。爆破予告が原因と報じられたが、実は――。
【画像】会場を“通行止め”していた4人組。ひとりは23歳の現役東大生だという。
告知直後から批判が殺到したが…(「右合の衆」のXより)
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講演会を主催したのは東大生が作った保守系の一般社団法人「右(う)合(ごう)の衆」である。だが、告知直後からSNS上は“炎上”状態に。神谷氏の過去の発言が差別的だとして、開催自粛を求め、抗議の集団行動を予告する投稿も相次いだのだ。
「学生たちも『エッ、神谷さんが来るの……?』と戸惑う声が大半で、喜んでいる人はほとんどいませんでした」(現役東大生)
開催1時間前の午前11時、東大の正門前ではすでに抗議活動が行われ、〈参政党はカルトでマルチ〉などといったビラを持つ人々でごった返していた。〈大学に差別を持ち込むな〉と書かれたプラカードを掲げた女性はこう憤る。
「講演にはヘイトスピーチが含まれる可能性が高い。ヘイトは人権侵害そのもので、表現の自由とは言えません」

午前11時30分過ぎ、記者が「法文一号館」に到着すると、異変が起きていた。4人の若者が、会場となる2階の教室に向かう階段で座り込みを敢行。大勢の来場者に“通行止め”を食らわせていたのだ。その場にいた学生が語る。
「彼らは午前9時頃から座り込みを始めたようです。開始時間が近づくにつれて来場者が集まってきましたが、2階に上がれず階段の下に集中。警備体制も厳しくなり、4人組への怒号も飛びました」
4人組のひとりを直撃すると、23歳の現役東大生だという。
「私たちは講演をやめさせたいわけではありません。神谷氏に過去の発言を撤回し、差別的発言を行わないとする誓約書にサインしたうえで、講演してほしいと求めました。しかし、サインをもらえませんでした」

混乱が広がる中、現場に現れた「右合の衆」の山田泰代表は、こう宣言した。
「講演会は延期となりました。現時点では、理由はお答えしかねます」
午後1時過ぎ、松紊巴羯澆発表されると、「法文一号館」全体が封鎖された。だが、影響は神谷氏の講演会にとどまらなかった。午後3時前、学園祭の主催者「五月祭常任委員会」が全ての企画を中止すると発表。来場者はキャンパス外への退出を求められたのだ。しかし、件(くだん)の4人組が原因だとすれば、あまりに大袈裟な措置だ。サークルで模擬店を出していた一般学生はこう首を傾げた。
「この日のために準備してきたのに……。何が原因なのか全くわかりません」
前後して、報道各社が報じたのは、主催者らに届いた爆破予告の存在だ。実際は何が起こっていたのか。「右合の衆」の山田代表に尋ねると、書面で次のように答えた。
「朝10時半に爆破予告メールが届きました。送り先は右合の衆だけでなく、五月祭委員会など各所です。中止の経緯については、実行委員と大学側が協議した結果となります。我々としては、彼らの判断を仰ぐしかありませんでした」
届いたメールは、次のような内容だったという。
「東大を5/16、17の12:00~17:55の間に爆破します。本郷・弥生キャンパスの各所に爆弾を仕掛けました」
実は、爆破予告に加え、神谷氏を“ターゲット”にすることも明記されていた。
「特に本郷キャンパス 法文一号館 25番教室は必ず爆破して参政党党首・神谷宗幣を殺します。キャンパス内各所に爆弾を仕掛けたうえで当日ナイフをもって襲撃に行くので必ず殺す。神谷以外も道連れで何人か殺す」
身勝手な殺害予告が“道連れ”にしたのは、無辜の学生の青春である。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年5月28日号)