(CNN) 現在宇宙を猛スピードで突き進んでいる「アルテミス2」ミッションの飛行士4人。これまでのところ、おおむね静かな旅が続いており、心の平穏をかき乱すような飛行中の問題は全くと言っていいほど発生してない。
ただし、トイレを除いて。
「アルテミス2」の飛行士が乗るオリオン宇宙船では、ミッション3日目が終わりを迎えようとしていた4日未明、排泄(はいせつ)物の管理に絡む問題が持ち上がった。
「トイレから排泄物を捨てる際の問題だ」。アルテミス2のフライトディレクター、ジャド・フリーリング氏は4日朝、記者団にそう説明した。「おそらく一部の尿が排出管内で凍結していると思われる」
ミッション管制官が対応を続ける間、地球から32万キロ近く離れた場所を飛ぶ飛行士4人は、午前半ばになってもまだぐっすり眠っていた。ミッション4日目を迎えた米東部時間4日午後3時半までには、管制官が解決策を編み出した。宇宙船を回転させて凍った尿に太陽光を当て、凍結した排出管を温めるというものだ。
間もなく、管制官はトイレ使用の許可を出したものの、この時点では「大便用のみ」に限定された。
トイレを修復する試みは4日を通じて続けられたが、頑固な詰まりのせいで完全な問題解消にはなかなか至らず。そして米東部時間の午前0時ごろ、ついに管制官から待ちに待った情報が伝えられた。ミッション管制室の宇宙船通信担当官、ジャッキー・マハフェイ氏から「緊急速報」「すべての用途についてトイレの使用を許可する」と告げられたのだ。
クリスティーナ・コック飛行士は「乗員一同、歓喜している」と答え、感謝の気持ちを伝えた。
尿を船外に排出するプロセスについては、コック飛行士もミッションの初期段階でカメラに見せていた。宇宙空間に放出された尿は、オリオンの窓のそばをかすめる際、光り輝く宝石のように流れていく。
もっとも、飛行士たちが見舞われたトイレトラブルは排出管の凍結だけではない。
フロリダ州にある米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センターから軌道投入された直後、飛行士たちはトイレのポンプが作動していないことに気付いた。ポンプは重要で、排泄物を体から引き離す補助など様々な用途に利用される。宇宙ではそうした排出を助ける重力が存在しない。
この問題を解決するのは比較的簡単だった。単にポンプを作動させるための水を十分に注いでいなかっただけだったからだ。水を補充すると、システムは想定通りに機能し始めた。
2日に行われた報道機関とのインタビューでは、飛行士たちがこのささやかな勝利を祝う場面があった。
「『宇宙の配管工』を自称することができて誇りに思う」とコック飛行士。「問題ないと判明した時は全員、安堵(あんど)のため息をついた。最初はモーターに何か不具合があるのではないかと思った」
宇宙船内のトイレはおそらく、生活の快適さを重視する宇宙飛行士にとっては最も大切な設備だろう。
コック飛行士は2日にオリオンから行われた通信で、「船内で最も重要な設備と言ってもいいくらいだ」と言い添えた。
オリオンのトイレの不具合が続く間、宇宙飛行士たちは、20世紀半ばの飛行士が用いた方法に頼らざるを得なかった。
アポロ計画の時代、宇宙飛行士にはトイレがなく、用を足す際はもっぱら袋に頼っていた。
このやり方に全く問題がなかったわけではない。一時は機密扱いされていた米政府の文書によると、1969年に行われたアポロ10号のミッションでは、6日目にトーマス・スタッフォード飛行士から管制室に、排泄物が船内を浮遊しているとの報告があった。
「ナプキンをくれ、早く」というスタッフォード飛行士の発言が記録された数分後には、ユージン・サーナン飛行士がさらなる汚物を発見。「ここにも汚物が浮いてる」と話している。
飛行士たちが袋に排泄する方法を嫌がっていたのは有名な話だ。
後にNASAの2007年の公式報告書で明らかになったところでは、「袋に排便するシステムはかろうじて機能する程度で、飛行士の間では非常に『不快』との評判だった」「これらの袋には狭い船内にもかかわらず防臭機能がなく、強烈な臭いがした」とされる。
トイレ問題に対応する間、オリオンの飛行士は尿については同様のシステムに頼らざるを得なかった。正式名称は「折りたたみ式緊急小便器(CCU)」。自宅からミッションを見守っているドン・ペティット飛行士は、SNSにその画像を共有した。