異例の事態となった。
4月24日に予定されていた初公判が取り止めになったのだ。自動車運転処罰法違反(過失運転致死)などの罪に問われているのは阪元昊(さかもとそら)被告(20)。昨年12月22日の深夜0時過ぎ、埼玉県狭山市の国道で当時25歳の男性Aさんをひいて死亡させたうえ逃亡したとされる。
「Aさんは横断歩道を渡ろうとしていた際、赤信号を無視した阪元被告の車にはねられました。法定速度60キロのところ、車は時速120キロの猛スピードで交差点に進入したそうです。阪元被告は適切な救護措置をとらずに現場から逃走。警察は事故から約2時間後、現場から4劼曚瀕イ譴疹貊蠅覇亡車を発見します。乗っていた阪元被告から基準値を超えるアルコールが検知されたため、飲酒運転をしたとみて現行犯逮捕したんです」(全国紙司法担当記者)
Aさんは搬送先の病院で死亡が確認された。電話で亡くなったことを伝えられたAさんの父親は、その場で泣き崩れたという。
「遺族は、今年1月にさいたま地検が阪元被告を過失運転致死罪で起訴したことに異議を申し立てます。上限が拘禁刑7年の過失運転致死罪でなく、同20年の危険運転致死罪が適応されるべきだと。
遺族は再捜査を求める4万7000筆もの署名を集め、3月にさいたま地検川越支部に提出しました。初公判が取り止めになったのは、検察が危険運転致死罪での起訴に向けた再捜査に乗り出すためだと思われます。遺族の執念が実った形です」(同前)
『FRIDAYデジタル』は阪元被告の送検直後、当該の飲酒運転ひき逃げ事故について報じている。あらためて概要を紹介したい――。
捜査員に付き添われ警察署から出てきた背の高い男は、着ているトレーナーの首元を目が見えるギリギリまで引き上げ報道陣から顔を見られないようにしていた。今年1月に送検された阪元被告だ。
「警察は、酒気帯び運転の疑いで阪元被告を現行犯逮捕。さらに、Aさんが亡くなった現場に残された車の痕跡などを調べ、ひき逃げ事故についても阪元被告の関与を特定したそうです。調べに対し、阪元被告は『人とぶつかる事故を起こしてその場から逃げたことは間違いない』と認めましたが、『信号については覚えていない』と一部容疑を否定していました」(全国紙社会部記者)
前述の送検の様子に戻ろう。付き添った捜査員は、阪元被告に対し真っすぐ歩くように注意。阪元被告は、護送車に乗り込んだ後もトレーナーを頭からすっぽり被り顔を隠していた。
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。
「遺族からすれば、被告にそれ相応の償いをさせたいと思うのは自然の心理でしょう。短期間で4万7000筆もの署名を集めるのは、並大抵の労力ではありません。被害者の代理人ともいえる検察は、遺族の心情に沿った形で起訴すべきだと思います。
客観的にみても、法定速度を大幅にオーバーした時速120劼鮟个靴討い浸点で危険運転といえます。さらに信号を無視したうえひき逃げ。飲酒までしていたのだから、殺人に近い罪といえるでしょう。『刑の軽い過失運転致死罪の適用はおかしい』と考える遺族の思いは当然で、その後の行動には頭が下がります」
阪元被告の初公判取り止め後、遺族は会見を開き「検察の判断を前向きにとらえたい」と語った。