じつは、いつの間にか日本は「単独(ひとり)世帯が一番多い」国になっていたことをご存知でしょうか。
今、ひとり世帯の現代人が密かに気になっている「ひとりで死んだらどうなるのか?」「死ぬ前に何をしておけばいいのか?」「死亡届の「届出人」は誰がなるのか?」「引き取り手のない遺体はどうなるのか?」……
発売たちまち重版の話題書『おひとりさま時代の死に方』では、意外と知らない制度のことから誰にも聞けない悩みまで、国内外メディアから取材殺到の第一人者がぜんぶ答えます!
【推薦、続々!】
樋口恵子さん「この本を読めば、ひとりでも幸せに死んでいける!みんなが安心できる本です」
高橋源一郎さん「人は誰もが死ぬ。ぼくもあなたも。わかっているのはそれだけ。どうやって? どんなふうに? ならば井上さんに訊ねよう。きっとすべてを教えてくれるから」
(本記事は、井上治代『おひとりさま時代の死に方』の一部を抜粋・編集したものです)
オーソドックスな結婚式の招待状には、「挙式・披露宴」の日時と会場が書かれている。家族・親族、加えても友人代表といったごく身内でおこなうのが挙式、その後に、結婚したことを人々にお披露目するのが披露宴である。1990年代前半までは、新郎新婦がゴンドラに乗って登場したり、スモークをたく演出があったりと派手な結婚式が多かった。
ところがバブル崩壊後の1990年代後半から「ジミ婚」が流行ってくる。「ジミ婚」は1996年の流行語だった。ジミ婚で多いのは、家族で挙式をおこなうだけで、家族以外の義理の関係者を招待する高額な披露宴をおこなわないという形態だった。
では、「ジミ葬」とは何なのか。一般的な葬式の案内には「葬儀・告別式」とある。もともと葬儀式は親族だけでやって、そのあと一般の参列者が故人に別れを告げるのが告別式である。
私がある山間部の伝統的な葬儀や墓を調べたとき、その地域では、葬式は死者の家に親戚が集まっておこない、その後、墓まで葬列を組んでご遺体を運ぶとき、鐘が村中に響き渡って、それを合図に村人は農作業をやめ、葬列に参加したという話を聞いた。
このように葬儀式は遺族がメインでおこなうもの、そのあと遺族以外の近隣住民や友人・知人に、亡くなったことを知らせ、故人とお別れをするのが告別式である。
結婚式も葬式も、儀式は二つに分かれている。身内でおこなう本儀式(宗教が関与する場合が多い)から始まり、続いて、義理の一般関係者に承認してもらう儀式がおこなわれる。葬儀においては、二つの儀式の会場が同じであるため、初めから義理の関係者も親族と一緒に集っているので、どこまでが葬儀式で、どこからが告別式かわかりにくい。目安は、お焼香が一般関係者にまわってきたときからが告別式である。
二つの儀式のうち、義理の関係者が集う式を廃止した形式が、ジミ婚・ジミ葬である。身内だけでおこなう「家族葬」は、「ジミ葬」の流れにある。
なぜ、ジミ葬が増えたのか。バブルがはじけたことによる金銭的な問題だけではなく、長寿化や少子高齢化が影響している。高齢で亡くなる人が多い昨今、退職後の年月は長く「社縁」も期限切れ。友人知人を呼ぼうにも高齢化していて、葬儀会場まで来られない人やすでに亡くなっている人もいる。少子化で、親族の数もごく少ない。だから、葬儀を簡素化させているのだ。
数年前には、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、告別式をしない「家族葬」や、儀式もおこなわない「直葬」が増えた。直葬に関しては、「おひとりさま」が選ぶケースが多く、「葬儀に呼ぶ人がいないから、おこなう意味がない」という。人口減少社会や単独世帯の増加、ライフスタイルの多様化が、葬送分野にも大きく影響しているのだ。
本記事の抜粋元『おひとりさま時代の死に方』では、「親や自分のお墓をどうするか」「死後の手続きには何が必要なのか」、第一人者が平易に解説しています。ぜひお手にとってみてください。
【つづきを読む】多くの人が意外と知らない、ひとりで死んだらどうなるのか「不条理な現実」