栃木県の県立高校内で起きた”暴行動画”がSNS上で拡散され、波紋が広がっている。騒動となった動画は昨年12月、県立高校の校舎内にあるトイレで清掃活動の終了後に撮影されたもの。動画は男子トイレ内と思われる場所から始まり、数名の生徒たちが周囲ではやし立てる中、生徒二人が対決する形で向かい合い、片方の生徒が一方的に相手の顔を拳で殴り、足で蹴り上げるなどの様子が見られた。栃木県教育委員会高校教育課の担当者が事実関係を明かす。
【写真】トイレ内で顔面をハイキックで蹴り上げる瞬間や、顔を殴る瞬間など(Xより)
「我々もインターネット上で拡散されている動画を見て、高校側に問い合わせたところ、そうした事実があったと確認しました。現在は生徒や職員の安全確保に努めています。今日(8日)は無事に、通常どおりの新学期を始めることができたんですが、学校の周りにはいろいろな方がいらっしゃるような状況なんです。一般の方やインフルエンサーなどが来ていて、(生徒への)脅迫のような、命にかかわるような状況になりかねないです」
暴行に加わった生徒や、周囲にいた生徒たちは、何らかの罪に問われる可能性はあるのだろうか。いじめ問題に詳しい佐藤みのり弁護士はこう話す。
「動画を見ると多数が周りにいてはやし立てるなどし、一人が暴行を一方的に受けているので、典型的ないじめの構図に見えます。少年法の適用がありますので罪に問われる可能性は低いと思いますが、加害者は、相手が怪我をしていなければ暴行罪、怪我をしているようであれば傷害罪に問われる可能性があります。周囲ではやし立てるようにしていただけだとしても現場助勢罪や傷害幇助罪などに問われる可能性があります」
また、今回の暴行事件で異例だったのは、いち早く警察が動いたことだ。投稿が確認された翌日には関係者から事情を聞くなどして、マスコミにも聴取の事実を認めている。大手紙社会部記者が語る。
「県警は動画を見た人から電話で通報を受け、翌日には当事者や周囲に聞き取りを行っています。捜査関係者は『誤った情報や人権を侵害する内容も含まれており、さらなる被害が生じる恐れがあった』と話していますが、こうした少年事件については少年法の理念に基づき、未成年の案件には発表などせず慎重に行うのが一般的です」
しかし、県警が危惧するような情報拡散による二次被害がすでに起きている。加害者と思われる人物の氏名や住所などの個人情報がSNS上などで拡散され、始業式を迎えた8日までには、高校への大量の抗議電話があったという。前出・佐藤弁護士が続ける。
「動画をSNSに拡散することや、暴行を行っている者の個人情報をさらすことは、動画に映っている人に対する人権侵害であり、違法性が認められる可能性があります。また、学校に執拗に電話したり、現地に行ったりする行為は業務妨害罪に問われる可能性があります」
行き過ぎた「正義感」は、時として凶器となるのかもしれない──。