唯一無二の「こってり」な濃厚スープで知られる「天下一品」。同店といえば、京都・北白川で創業して50年以上、今や全国に約200店舗を誇るなど、長きにわたって根強いファンを抱える国内屈指の人気ラーメンチェーンだ。
そんな天下一品といえば、今年6月末に報じられた“大量閉店”は多くの人にとってまだ記憶に新しいのではないだろうか。新宿西口店、池袋西口店、渋谷店など首都圏の店舗が突然、一気に10店舗も閉店してしまったのだ。
ところが、それからわずか半年経った今、天下一品に、ファンにとっては“うれしい異変”――各地で開店ラッシュが起きているという。
天下一品の大量閉店が報じられた今夏、運営会社の「天一食品商事」から閉店理由に関する公式発表はなかったこともあり、近年の物価高騰や業界全体の競争激化に伴って撤退を余儀なくされたのではないか、という推測が出回った。2024年にもすでに歌舞伎町店や恵比寿店など多店舗で閉店が起きていたこともあり、「天下一品も不況には勝てなかった」という見方が世間に浸透したのである。
だが、それから3ヵ月後の9月、状況は一変する。天一食品商事が「一部報道について」というタイトルで公式見解を発表したのだ。
〈一部のメディアにおいて、複数の弊社フランチャイズ店舗の同時閉店が、経営不振によるものといった趣旨の報道がなされております。しかし、実際にはそうした事実はなく、該当店舗はいずれもフランチャイズ加盟店様との契約期間満了に伴う、予定通りの閉店でございます。〉
つまり、経営不振を真正面から否定したのである。さらに続けて、〈天下一品はこれからも全国各地への出店を積極的に進め、より多くのお客様に「こってり」をはじめとする天下一品の味をお届けできるよう努めてまいります。〉と宣言した。
天下一品の言葉は、はたしてすぐに実現する。
〈天下一品新宿西口店 本日、ついにオープンしました! たくさんの方に支えられて、この日を迎えることができました。皆さまに美味しいラーメンを楽しんでいただけるよう、スタッフ一同努めてまいります〉
10月27日、天下一品の公式Xに投稿されたのは、まさかの「新宿西口店」復活の知らせだった。しかもその場所は、今年6月末に閉店となった旧新宿西口店の跡地(現在はラーメンチェーン「東京背脂黒醤油ラーメン 伍福軒 新宿西口店」が営業中)からわずか約20m、同じ並びにあるというのだ。
驚くのはまだ早い。天下一品の「開店ラッシュ」が各地で起きているのだ。
11月17日に「北千住店」(東京)が新規オープン済み。12月3日には「東舞鶴店」(京都)が、12月9日には「三郷店」(埼玉)が、それぞれリニューアルオープンという形で復活を予定している。
天下一品の開店ラッシュは、さらに海を越えて海外にも。11月17日に報じられたのは、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのリトルトーキョー地区に、海外初の直営店「LA本店」を、現地時間の12月8日にグランドオープンさせるという情報だ。
公式発表では〈弊社代表取締役社長 木村 一仁の「海外のお客様にも“KOTTERI”の美味しさを伝えたい」という長年の目標を実現するための大きな一歩となります。〉と伝えているように、このLA本店は、天下一品にとって海外戦略における最重要拠点のひとつになるという。
実際、出店先にも同社の本気度がうかがえる。リトルトーキョー地区は米国最大規模の日本人街でも知られ、日本食の象徴であるラーメンを発信する場所としてはまさにうってつけと言える。
しかも、店舗を構えるのは、同地区にある「都ホテルロサンゼルス」の向かい側。このホテルは’24年、大谷翔平選手の巨大壁画アートが描かれたことでも話題に。観光スポットとして多くの集客力を見込めることだろう。
国内外で出店拡大の勢いに乗る天下一品。そこで気がかりなのは、半年前の大量閉店はいったい何の騒ぎだったのか、ということだ。天下一品の言う通り「経営不振ではない」のなら、本当の理由は何だったのか。
その答えは閉店した一連のフランチャイズ店舗の運営会社がカギを握っている。つづく【後編記事】『天下一品を襲った《夏の閉店ラッシュ》…答え合わせは「フランチャイズの身売り」だった』で解説していく。
【つづきを読む】天下一品を襲った《夏の閉店ラッシュ》…答え合わせは「フランチャイズの身売り」だった