世界中で“抹茶”がブームとなり日本の茶業界に世界中から注目が集まる中。世界の大谷翔平が手に持つのは「お~いお茶」静岡で誕生した伊藤園が世界で販売する人気商品です。県内には主力工場がありますが、そこを訪ねてみると…(伊藤園 仕入部 旭 俊也 部長)「こちらが伊藤園静岡工場の抹茶工房になります。 今年からですね、生産を増強し倍の能力で基本的には24時間稼働で稼働をしております。」

海外での抹茶の爆発的な需要の高まりをうけことし伊藤園は抹茶製造設備を倍増、新たに専門の部署を作り対応しているといいます。(伊藤園 仕入部 旭 俊也 部長)「これがもう海外からの引き合いが非常に強く、当社としても注文に応えきれない状況が続いている。」作れば作っただけ売れるためウハウハのはずですが、まさかの原料が足りないというのです。(伊藤園 仕入部 旭 俊也 部長)「もう必死で原料調達に走ってまいりました。正直ここまでの抹茶ブームは思っていなかったです。」抹茶をきっかけに茶業界への明るい兆しとなるのか。(伊藤園 仕入部 旭 俊也 部長)「これからも静岡の生産者の方たちと一緒になって/(消費者に)供給していけるよう今後取り組んでいきたい」*************バブルともいえる抹茶の世界的ブーム。静岡のお茶づくりの現場でもその恩恵を受けられているのでしょうか。明治時代に静岡茶の輸出が始まり需要の増加とともに、県内に広大な茶園ができ一大産地となった静岡。記録が残る1959年から荒茶の生産量は常に日本一を誇り“静岡はお茶王国”と言われるようになったのですしかし!!2024年の荒茶生産量で、これまで65年間守り続けてきた日本一の称号を鹿児島に奪われたのです。さらに2025年、かろうじて死守していた一番茶の生産量・日本一もついに鹿児島に負けてしまったのです。鹿児島は、戦後に茶の生産に力を入れ始めた後発の生産地で、1959年の荒茶生産量は静岡の18分の1だったのが65年で追い抜いたのです。そこには、静岡に追いつこうと生産者と行政もが一体となりブランド力の向上や平坦な土地での大規模な機械化、さらに共同での生産体制など効率化による大量生産を進めてきたのです。(鹿児島県茶業会議所 光村 徹 専務理事)「やらざるを得なかったというのが正直なところと思う 生産者もありとあらゆる努力はしてきたのかなと思っています。」そんな鹿児島が力を入れてきたのが“儲かるお茶”。需要が好調なペットボトル用のお茶や抹茶の原料であるてん茶の生産に大転換。先を見据えて取り組んできた鹿児島の戦略がついに大当たりしたのです。(松元機工 松元 雄二 代表)「正直、やっと来たかって感じでしたね。鹿児島茶がどんどん発展するようにと力を入れていたので、そこは素直に嬉しかったですね。」喜びに沸く地域がある一方で、静岡は…。掛川市に本社があり海外展開にも力を入れる丸山製茶の社長は…(丸山製茶 丸山 勝久 社長)「本当に激動 ターニングポイントというか、よく100年に一度という言い方をしますが、それくらい大きな動きがあった年だと思っています。こんなことは過去に一度もなかったし、それによって今まで積み上げてきたお茶のビジネスが部分的に壊れてしまっている。」“大きな動き”それはお茶の価格について・・・お茶は春先に収穫する「一番茶」のほかそのあとに収穫する二番茶・三番茶などがあります。一番茶は新茶とも呼ばれ収穫量も限られるためこれまでは二番茶などと違い高値で取引されてきました。それがことし、二番茶や三番茶も価格が上がり一番茶と変わらなかったのです。一見価格が上がり生産者にとっては喜ばしいことかと思いきや、高品質の一番茶に力を入れてきた静岡にとってはその恩恵よりも不安の方が大きいといいます。(丸山製茶 丸山 勝久 社長)「秋冬番茶はペットボトルに多く使われるはずですよね。それが値段が例えば5割上がったときに果たして消費者は今までどおり買うか/生産者の価格と問屋だけの取引ではなく、消費者がいくらで買わなきゃいけないかということまでやはり気を使っていかないと流通のバランスが崩れることになるので、本当に私は大変なことだなと思っています。」今ままでの茶価が安すぎた半面、抹茶ブームや生産量減少による急激な高騰により消費者離れを起こしかねないといいます。(丸山製茶 丸山 勝久 社長)「まずは経済が安定することですから、農家の収入安定/安心して農家の方がお茶づくりに励んでいただける環境を私たちがつくる。これが必要だと思います。」そこで、鹿児島ではすでに一般的となった共同生産の形を取り入れようというのです。掛川市の山間部にある工場に次々と運び込まれる生葉。(丸山製茶 アグリ事業部 萩原 将道 部長)「ここの工場はてん茶専用の工場で1日6000キロの生葉を受け入れ、1000キロから1500キロぐらいの製品を毎日作っています。」ここは抹茶の原料であるてん茶を製造する工場。中を案内してもらうと大きな煙突のようなものが。(丸山製茶 アグリ事業部 萩原 将道 部長)「てん茶の特徴的な製造方法である炉という工程なんですけれども、こちらで蒸した生葉を風で吹き上げて拡散しています。」真新しい内装に真新しい設備ですが…(丸山製茶 アグリ事業部 萩原 将道 部長)「元々は煎茶を作る工場だったが7年ぐらい前に廃業されましてそれを弊社が買い取り、去年からてん茶の工場として運営しています。」これまで生産者は茶葉の生産だけでなく荒茶にする工程も行うのが一般的でしたが、煎茶とてん茶では製造の仕組みが違うため、抹茶ブームをうけててん茶づくりを行おうとすると数億円もの巨額な設備投資が必要となるのです。そこで、工場は丸山製茶が運営することで生産者もてん茶に取り組みやすい環境を整えたのです。さらに他にもメリットが…(丸山製茶 アグリ事業部 萩原 将道 部長)「私たち茶商と生産者が同じ方向を向くスピード感を持って同じ方向を向くってことが大切だと思いますからそれが実現できた。」消費者が求めるお茶とは何か…それを生産者と共有することで売れやすい葉の生産につなげていくといいます。一方で、このてん茶工場に生葉を卸している生産者にも大きな挑戦をする人が… なんと、40年以上育ててきた茶の木を次々と切り倒していました。(五明茶業組合 堀井 聡 さん)「やぶきたという木を抜いてます/ここはおくみどりという品種を植える予定です」**************実は静岡の茶の品種は、ほぼすべてが「やぶきた」で煎茶として優れた品質を持つ一方で近年の猛暑には適応しにくい側面もあり今後は病気や収穫量の減少が起こる可能性があります。また抹茶の原料になるてん茶にはあまり適していないというのです。一方の鹿児島ではやぶきた以外の品種が4分の3に迫る勢いで、これにより、長期間の収穫が可能なほか海外で好まれる品種も次々と取り入れています。やぶきただけを生産し、別の品種に挑戦してこなかったことに、いまさらながら後悔があるといいます。(五明茶業組合 堀井 聡 さん)「静岡というか私どもの地区はとにかく遅かったなと思っています。とにかく今やらなければもう間に合わない、そういう気持ちでいます。」遅ればせながら、変わることを決断しましたが、なぜこれまではそれができなかったのでしょうか。(五明茶業組合 堀井 聡 さん)「静岡県が煎茶一辺倒。掛川という地区は深蒸し茶で、という動きが周りを見てもやっぱその動きでしかなかった部分。鹿児島は鹿児島のお茶の作り方我々は我々の作り方と思ってしまっていたことが、結果的に遅れを生んでしまったのかなとも思います。」その一方で、静岡茶の強みは、品質の高さにあります。(五明茶業組合 堀井 聡 さん)「深蒸し茶日本一の生産地の誇りはあり技術力も皆さん高いです。とにかくこの地で品質の良いものを作ることが世界にいった時に対抗できる部分かと思いますので品質というものにこだわって作っていきたい。」日本一の称号を奪われ大きな転換点を迎えた静岡のお茶業界。今後も“お茶王国”であり続けるために世界の動きを見極め、それに柔軟に対応する勇気と瞬発力が必要となりそうです。