さいたま市西区の埼玉栄高のグラウンドで昨年、グラウンド整備用の軽乗用車が走行中に横転し、助手席の男子生徒が死亡する事故があり、埼玉県警は近く、当時の運動部員で車を運転していた男子生徒(17)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで書類送検する方針を固めた。
同高では運動部員の一部が夜間にグラウンドで車を走らせる行為が常態化していたとみられ、県警は学校側の管理状況なども調べている。
同高は部活動が盛んな私立校で、全国大会で優勝した運動部もある。
事故は昨年11月16日午後11時20分頃、同高のグラウンドで起きた。運動部員の男子生徒4人が乗る車がのり面に乗り上げて横転し、助手席にいた2年の男子生徒(当時17歳)が頭などを打ち死亡した。
捜査関係者によると、運転していた男子生徒は車を横転させて助手席の生徒を死亡させたほか、後部座席にいた2人のうち1人にけがを負わせた疑いが持たれている。運転免許は持っておらず、県警の調べに「過去にもグラウンドで運転した。遊ぶために乗った」などと話したという。
埼玉栄高を運営する佐藤栄(さとえ)学園によると、横転した車には公道を走るために必要なナンバープレートはなく、運動部のコーチらがグラウンド整備用に使っていた。当時は鍵を車内に置いたまま、グラウンドに止められていた。整備用の車は6台あり、同学園は鍵がかかっていなかったのは1台だけだったと説明している。
同学園は今年5月、外部の専門家らによる第三者委員会を設置し、事故が起きた経緯を調べている。

4人は事故当時、グラウンドに近い運動部員向けの寮に入っていた。県警は、4人以外にも運動部の生徒の一部が夜間に寮を抜け出し、グラウンドで日常的に車を走行させていたとみている。
読売新聞が入手した事故の約1か月前の動画には、複数の生徒が深夜にグラウンドで車を乗り回し、横転させる様子が映っていた。生徒が屋根につかまった状態で走行させているシーンや、横転した車を笑いながら起こす様子が記録されていた。