青森県内で昨年1年間に大麻取締法違反で摘発された人数は56人で、県警に記録が残る1993年以降で最多となった。
近年、大麻の摘発者数は増加傾向にあり、特に30歳未満が大半を占める。長年、大麻を使用し、取引もしていた県内の男性(41)が、悔恨も交えて体験を語った。(本間理央)
「体の感覚がふわっとなって、何も考えなくてよくなった」
男性が大麻を利用し始めたのは17歳の頃、青森市のクラブで出会った先輩の誘いがきっかけだった。犯罪という認識は持ちつつも、交友関係を維持するために使用した。最初は吐き気を感じたが、5~6回ほど続けると徐々に体が慣れたという。
男性は小学生の頃から、父の家業を継ぐことや病気の兄を支えることに責任を感じていた。大麻を使用するときはプレッシャーから解放されるように「(抱えていた悩みが)どうでもよく思えた」と話す。
大学卒業後、東京や神奈川に移住し、匿名掲示板「2ちゃんねる」や秘匿性が高い通信アプリ「テレグラム」で大麻などを販売するようになった。100人以上いた客の多くは男性で、言葉を交わすことは少なかった。
男性は薬物の取引相手が逮捕されたことを機に、2020年9月1日、大麻1・71グラムを所持していたとして大麻取締法違反容疑などで逮捕された。
「逮捕されたときに母が泣いていた。家族に迷惑をかけた」。大麻の取引で20~30代を過ごし、男性は「もし大麻を使っていなければ、結婚していたかもしれない。大学生の時にやめておけばよかった」と後悔を語った。
県警によると、2020年の摘発者数は、大麻が27人、覚醒剤は42人だったが、昨年は大麻が56人と倍増した一方、覚醒剤は20人と半減した。大麻は30歳未満の増加が目立ち、昨年は全体の6割を占める37人に上った。
若者に大麻が流行している要因の一つに「入手のしやすさ」が挙げられる。「野菜」「草」などの隠語でSNSで取引したり、自ら育てたりできる。海外では大麻を合法とする国もあることから、ほかの薬物に比べて「安全」と認識する若者がいることも考えられる。
友人から譲られたことが使用のきっかけになることも多く、捜査2課の土岐博紀次長は「大麻はたばこの延長ではないので、誘われても使用しないでほしい」と注意を促す。
薬物依存者の支援に取り組む「青森ダルク」(青森市)の笹崎正吾施設長(52)は、薬物を使用する人の共通点は「生きづらさ」と指摘する。「社会での居場所がなく、心のよりどころを求めた結果、使用してしまう。薬以外に、仲間を作るなどして心の隙間を埋めていくことが重要」と話した。