ドナルド・トランプ米大統領に対する高市早苗首相の言動が、波紋を広げている。
日米首脳会談後、米軍横須賀基地でみせた大はしゃぎの様子は「横須賀ピョンピョン」と冷笑を受ける結果に。首相を批判する著名人の過激な表現とそれに対する批判、ジェンダー論を絡めて首相を擁護する政治家も登場し、カオスになってきている。
10月28日の首脳会談で高市首相は、いまだに混乱が続くイスラエルとパレスチナに対するトランプ氏の停戦合意を「かつてない歴史的偉業」と褒めちぎり、ノーベル平和賞に推薦することを伝えた。会談後にはトランプ大統領と腕を組み、身を寄せて階段を進んだ。
米軍横須賀基地に移動後、演説するトランプ大統領から傍に呼び寄せられた高市首相は、満面の笑みで親指を顔の横で立てるサムズアップのポーズを披露。さらに米兵から歓声を受けると、トランプ大統領の隣で右拳を高く突き上げてピョンピョン飛び跳ね、四方に向かって一回転するなど大はしゃぎ。トランプ大統領から肩に腕を回されるなど、終始ハイテンションだった。
この徹底して媚びるような態度に、SNSではリベラル左派を中心に非難が噴出。「外交ではなく接待」「対等な国の首脳2人とは思えない構図」「日本は属国なんだなあとつくづく」と批判が殺到した。高市首相の言動が話題になるのと同時に「日本の恥」がトレンド入りした。
ただ、首相批判で使われた過激な言い回しには批判も。日本共産党の池内さおり元衆院議員はXで、「高市氏をみながら、『現地妻』という悲しい言葉を思い出す。深刻」と書いた。作家・赤坂真理氏は、高市首相がいつも笑顔でいることに「いつも笑ってるって狂人キャラだよ」と投稿。「現地妻」「狂人キャラ」という表現には、「侮辱」「誹謗中傷」との指摘が寄せられた。
一方、この批判に噛み付いたのが、元衆院議員の山尾志桜里だった。自身のX(旧Twitter)に次のように投稿し、苦言を呈した。
だが、山尾氏の投稿に対しても「今回は女性だからというより、やり過ぎだから批判されてると思います」「『舐められてたまるか』の首相を引きずりおろして『イェーイ』に変わった。媚びるなと批判が出るのも当然」と反論が続出した。
タレントふかわりょう氏は、TBSの情報番組「ひるおび」に出演した際に「高市さんは懐に入ることがまず大事かなと思います」と述べ、首相の言動に対して一定の理解は示した。一方で、こうも指摘した。
高市首相がトランプ大統領との蜜月関係を強化した一方で、その代償もある。
大手メディアの報道によると、高市首相は首脳会談で防衛費の増額を伝え、トランプ大統領は米国産の武器や兵器の購入拡大を歓迎する態度を示したとされる。
高市首相は10月24日の所信表明演説では、防衛関連費をGDP比2%に引き上げる時期を前倒しする方針を示していた。だが、アベノミクス継承を掲げる高市首相の就任から円安進行が進んでおり、物価高など国民生活に直結する課題も抱える中、どのように財源を確保するのかは不透明だ。
高市首相が絶賛した中東の和平交渉でも、トランプ大統領は一貫してイスラエルの側に立った態度を取っており、現在でもイスラエルによるガザ攻撃で多数の犠牲者が出続けている。
また、トランプ氏は2020年の大統領選で敗れた際、選挙結果に不満を持った支持者らが米国連邦議会を襲撃する事件を起こした。この際にトランプ氏は事件直前に支持者を扇動したとされ、大統領に復帰した後は訴追を受けた暴徒に恩赦を与えるなど、平和とは程遠い言動も目立つ。