重い心臓病の治療のため、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞の塊「心筋球」を大量に心臓に注入する治験が行われていますが、患者の体への負担を少なくするため、胸を開く手術ではなく、足の付け根からカテーテルを入れる新たな方法による世界初の治験が始まることがわかりました。これは慶応大学の福田恵一名誉教授が立ち上げたバイオベンチャー企業、Heartseedが4日午後に発表したものです。Heartseedは、iPS細胞から心臓の筋肉=「心筋」の細胞を大量に作り、心筋細胞約1000個を「心筋球」という塊にして、特別な針で患者の心臓に注入し、心筋を再生させて治療する世界初の治験を行ってきました。これまでは、重い心不全の患者10人に胸を開く形で手術を行い、安全性と有効性を確認してきました。

心臓の専門医である福田恵一社長らは、患者の体への負担が少ない方法でこの治療を行うことを考えたということです。それは、開胸手術ではなく、足の付け根あたりから血管の中にカテーテルという細い管を入れて、心臓に到達させて、心筋に「心筋球」を注入する方法で、この治験について、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による手続きが完了し、実施が可能になったと4日に発表しました。いくつかの病院で、治験審査委員会の承認を経て、来年から、この新たな治験が行われる予定で、虚血性心疾患または拡張型心筋症による重い心不全の患者、それぞれ7人で、心筋の弱った部分に心筋球を注入して、1年間経過を観察し、安全性と有効性を調べるということです。治験に使われるカテーテルは、Heartseedが日本ライフライン株式会社と提携して開発したもので、医師は、モニターで心臓内の3D画像を見ながらカテーテルを操作し、心筋のうち、あらかじめ決めておいた数カ所に心筋球を大量に注入するということです。Heartseedの福田恵一社長は「従来の開胸による心筋球の注入の治験は、効果を見る点で意味があったが、より低侵襲(注:患者の体への負担が少ない)の方が治療を受けやすく、よりハードルが低くなるので普及しやすいと考えられる。再生医療が新しいステージに入ると思っている」「医師からすると、開胸手術で心筋球を直接心臓に注入する方がやりやすく、カテーテルによる方法はまったく新しいものなので、医師の技術や訓練が必要となるのが課題だ。しかし、動脈硬化を起こした心臓の血管にステントを入れる治療などでも、今や世界中で、開胸手術よりもカテーテルを用いる方法が圧倒的に多く行われている。心筋球による心臓再生治療でカテーテルを用いる方法が普及していくのではないか」と話しています。Heartseedは、心筋球を開胸手術で心臓に注入する治療について、安全性と有効性(弱まっていた心臓の収縮が再び活発になるなど)についてまとめているところで、2027年に国の承認を得ることを目指していて、その後、このカテーテルを用いた治療法についても、来年始める治験を経て、承認を得たい考えです。
重い心臓病の治療のため、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞の塊「心筋球」を大量に心臓に注入する治験が行われていますが、患者の体への負担を少なくするため、胸を開く手術ではなく、足の付け根からカテーテルを入れる新たな方法による世界初の治験が始まることがわかりました。
これは慶応大学の福田恵一名誉教授が立ち上げたバイオベンチャー企業、Heartseedが4日午後に発表したものです。
Heartseedは、iPS細胞から心臓の筋肉=「心筋」の細胞を大量に作り、心筋細胞約1000個を「心筋球」という塊にして、特別な針で患者の心臓に注入し、心筋を再生させて治療する世界初の治験を行ってきました。これまでは、重い心不全の患者10人に胸を開く形で手術を行い、安全性と有効性を確認してきました。
心臓の専門医である福田恵一社長らは、患者の体への負担が少ない方法でこの治療を行うことを考えたということです。それは、開胸手術ではなく、足の付け根あたりから血管の中にカテーテルという細い管を入れて、心臓に到達させて、心筋に「心筋球」を注入する方法で、この治験について、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による手続きが完了し、実施が可能になったと4日に発表しました。いくつかの病院で、治験審査委員会の承認を経て、来年から、この新たな治験が行われる予定で、虚血性心疾患または拡張型心筋症による重い心不全の患者、それぞれ7人で、心筋の弱った部分に心筋球を注入して、1年間経過を観察し、安全性と有効性を調べるということです。
治験に使われるカテーテルは、Heartseedが日本ライフライン株式会社と提携して開発したもので、医師は、モニターで心臓内の3D画像を見ながらカテーテルを操作し、心筋のうち、あらかじめ決めておいた数カ所に心筋球を大量に注入するということです。
Heartseedの福田恵一社長は「従来の開胸による心筋球の注入の治験は、効果を見る点で意味があったが、より低侵襲(注:患者の体への負担が少ない)の方が治療を受けやすく、よりハードルが低くなるので普及しやすいと考えられる。再生医療が新しいステージに入ると思っている」「医師からすると、開胸手術で心筋球を直接心臓に注入する方がやりやすく、カテーテルによる方法はまったく新しいものなので、医師の技術や訓練が必要となるのが課題だ。しかし、動脈硬化を起こした心臓の血管にステントを入れる治療などでも、今や世界中で、開胸手術よりもカテーテルを用いる方法が圧倒的に多く行われている。心筋球による心臓再生治療でカテーテルを用いる方法が普及していくのではないか」と話しています。