2025年1月、埼玉県八潮市で道路が突然陥没し、走行中のトラックが巨大な穴に転落するという事故が発生した。原因は、地下10メートルに埋設された下水道管の破損とみられている。下水道管内に発生した硫化水素が空気と反応して硫酸となり、管を腐食。損傷箇所から土砂が流入し、巨大な見えない空洞が形成されて地表が崩壊したのである。
まさに都市の足元にひそむ「時限爆弾」が破裂した瞬間だった。トラックの運転手は数か月後、下水道管内で遺体となって発見され、復旧には5年から7年を要する見込みだという。

◆八潮事故が示した「複合的リスク」の現実

今夏の猛暑のような気温の変化も無視できません。真夏の猛暑日が増えると、地表温度が上昇し、それが地下10メートルほどまで伝わることが分かっており、これが下水道管に負荷をかけ、長年かけて劣化にがることもあります。気象変動の影響は局地的かつ断続的に表れ、こうした変化が下水道のような長寿命を前提とするインフラにとっては、ときに設計思想そのものを揺さぶる存在になります。

◆制度の限界と持続可能性への問い