2025年1月、ワークマンが「#ワークマン女子」の屋号を捨て、「Workman Colors」に改名すると発表してから半年以上が経った。今後「#ワークマン女子」の出店は行われず、既存の店舗も外装も含め、順次、Workman Colorsに改装していくとのことだ。
現在ワークマンでは、WORKMAN(317店舗、’25年7月末時点、以下同)、WORKMAN Plus(645店舗)、#ワークマン女子(62店舗)、WORKMAN Colors (17店舗)、WORKMAN Pro (10店舗)と全5業態、1051店舗を展開している。
主力業態はWORKMAN PlusとWORKMANなのだが、「#ワークマン女子を10年で400店新規出店する」と目標を掲げていた(’20年10月)だけに、ここに来て大きく“方針転換”したことになる。
#ワークマン女子からWorkman Colorsへシフトチェンジ――結果、途端にワークマンの業績は大きく上向いた。’25年4~6月期単独決算は、税引き利益が前年同期比29%増の58億円と、同期間では過去最高を記録した形だ。
今回はこの大きな方針転換に至った経緯を追いながら、ワークマン好調の理由も探ってみたい。
遡ること’18年、WORKMAN Plus立川立飛店オープンからワークマンの快進撃は始まった。「ららぽーと」というショッピングセンターへの出店により、それまで地方のロードサイドで展開していたワークマンではなかなか立ち寄ることのできなかった女性客が、来店するきっかけとなる。
そもそもワークマンによる女性客へのアプローチは、ずいぶん前から行われてきた。
その一つが、’16年頃から始めていた「ブロガー向け新作発表会」での取り組み。当時のTwitter(現X)への投稿に「#ワークマン女子」というタグが目立ち始め、SNSを中心に拡散され、女性客の来店に寄与したものと考えられる。
元々は建設現場など男性の職場イメージと強く紐づけられていたワークマン。それが、WORKMAN Plusの成功によって、アクティブスポーツやアウトドアのイメージを帯びたカジュアル色が強まり、同時進行で女性客の来店も増えていった。
そうした中で、前述の「ブロガー向け新作発表会」のアンバサダー・マーケティングの集大成として’20年に生まれたのが、件の#ワークマン女子という業態だった。
「#ワークマン女子」というネーミングは実に絶妙だった。「肉食系女子」や「パリピ女子」など、〇〇女子というネーミングは、特に若者世代にとっては特に親近感を覚えたのだろう。
ジェンダー平等がさけばれる今日において、あえて「女子」という性別を前面に打ち出したユニークな店名はたちまち話題となる。ただ、今思えば女性客の来店を促す手法としては《劇薬》だったに違いない――。
オープン当初こそ、都心店舗を中心に#ワークマン女子は繁盛していた。しかし、フランチャイズ比率92.7%を誇るワークマンの主戦場はあくまでロードサイド。ゆえに集客は厳しいものがあったのだろう。事実、今回の改名理由について「人口の少ない地方では女性客だけでは経営が成り立たず、地方展開のため」とのコメントも出ている。
そんな状況を当然、経営陣が放置するわけにもいかない。結局、#ワークマン女子はたった5年でWorkman Colorsに改名されてしまった。
ワークマンは、今後の出店について、Workman Colorsを中心に年間50店舗の純増を見込んでいる。これによって、主力業態のWORKMAN Plusとの同質化が気になるところでもある。
とはいえ、そもそも過去に、既存のWORKMANをWORKMAN Plusに屋号変更してリフレッシュするなどして培った経験もあるのだろう。Workman Colors専売品開発の強化などで同質化を避ける考えもあるようだが、WORKMAN Plusとの共存も可能としている。
WORKMANの不採算店舗は、今後、WORKMAN Plusへ改装していく見込みだ。そのため、WORKMAN PlusはWORKMANで品揃えられた作業服や関係小物などの継続商品を引き継ぐ。
一方で、#ワークマン女子から改装、新規出店していくWorkman Colorsは、レディス商品の品揃え豊やしつつも、メンズの品揃えも抜かりなく押さえていくカジュアルショップを目指していくのだろう。

どれだけ話題作りができようと、売り上げに直結しなければ意味がない。その点では、潔く「#ワークマン女子」を切り捨てて、原点回帰に向かったワークマンは英断だったかもしれない。
ただし、まだまだ課題や伸びしろが無いわけではない。【後編記事】『「ワークマン女子」の負債は想像以上…伸び悩むワークマン「最強猛暑+機能商品」起爆剤となるか』に続く。
【つづきを読む】「ワークマン女子」の負債は想像以上…伸び悩むワークマン「最強猛暑+機能商品」起爆剤となるか