結婚した相手は、ナポリ出身のイタリア人。日本で生活するうちに、食にうるさい夫が、じつは母国の味を恋しがっているのに気づいた「ありのママ」さん。それまでは和食しか作れなかったけれど、一念発起。夫とその家族から教わった本場の家庭料理の簡単さ、美味しさに感激し、SNSで発信するように。
今やInstagramフォロワーは14万人超え! その待望の初レシピ本『史上最高! おうちイタリアン イタリア人夫にほめられたレシピだけ!』が刊行に。
今回は、ありのママさんが結婚して初めて知ったイタリアの意外な朝食とコーヒーのカルチャーを、新刊から一部抜粋・編集してお届けします!
食いしん坊なイタリア人と結婚して、いちばん拍子抜けしたのが朝食です。日本だと栄養バランスをよくしなきゃ、とあれこれ考えるところ。でも、イタリア式朝食はとってもシンプルなんです。
ビスケット3枚ほどとエスプレッソ。子どもはエスプレッソの代わりに、ミルクまたはフルーツジュース。以上。ときどきフルーツがあれば食べるくらい。
え? これでいいの? と思いますが、これが、イタリア人の夫にとっては当たり前の朝食のスタンダード。「これがいい!」のだそう。忙しい朝に、なんてありがたい!
イタリア・ナポリの夫の実家に初めて一緒に帰ったときにも、ちょっとしたカルチャーショックが。
スーパーに行くといちばん目立つところにずらーっと並んでいるのがビスケット。ジャム入り、チョコレート入り……と、その種類の豊富さには驚きます。正直、パンコーナーより充実してるんじゃない? というレベル。しかもパッケージには「朝食に最適! ビスケット3枚とヨーグルト、フルーツでバランスよし!」なんて書いてあります。
「なんで朝からこんなに甘いビスケットが食べられるの?」「なんでこんなに軽く済ませられるの?」と不思議だったのですが、理由はすぐわかりました。それは、夜ごはんがめちゃくちゃ遅いから。
ナポリでは、夕ごはんは夜9時スタートが当たり前。レストランも夜8時オープンが普通で食べ終わるのが11時頃。しかも、朝は日本と変わらないくらい早い。そんな満腹状態で寝るから朝はお腹が空かない……。
そもそも歴史的にも朝ごはんを食べる文化がなかったんですね。朝ごはんを推奨しはじめたのがここ100年ほどの話らしい。だから朝食は軽め、もしくはビスケットで済ませる、という流れができているみたいです。
カフェ(バール)に行っても、出てくる朝ごはんは超甘党寄り。コルネット(クロワッサンのようなパン)やブリオッシュには、必ずと言っていいほどチョコレートやピスタチオクリームが詰まっています。日本のような「納豆・焼き鮭・味噌汁」といったしょっぱい系朝ごはんなんてどこにもありません……!
でも、1日のなかで栄養バランスをとっているからでしょうか。イタリアって日本と同じくらい長寿の国なんですよね。
そして、超重要なのが、ビスケットと一緒に飲むエスプレッソ! 家庭では、直火式のエスプレッソメーカー「マキネッタ」を使って淹れます。
マキネッタを持っているけれど使いこなせていなかった、という人もいるのでは? そこでイタリアの家族に教わった淹れ方をご紹介。ちょっとしたコツがあるのですが、友人・知人にこの方法でエスプレッソを淹れてあげると必ず、「おうちでこんなに美味しいエスプレッソを飲めるの!?」と喜んでもらえるので、自信をもっておすすめしてしまいます!
1マキネッタのボイラーと呼ばれる下部に水を入れる。
2バスケットをのせ、エスプレッソ用のコーヒーパウダーを山盛りにして押し入れる。
3さらにコーヒーパウダーを山盛りにし、サーバーをぎゅっと接続する。
4とろ火にかけ、液体がサーバーに上がってきたら、ボイラーに水をかける。これが、中でコーヒーを蒸らすためのポイント!
5再度火にかけ、すべて上がってきたら砂糖を入れる。
6スプーンの柄で砂糖を混ぜる。カップに注ぐ。
ポイントは、コーヒーパウダーをこれでもか! とぎゅうぎゅう押し入れることと、ボイラーでコーヒーを蒸らすこと。そして、砂糖をたっぷり入れること!
ここで、私が初めて夫と一緒にナポリに行ったときに、衝撃を受けた事実をもうひとつ。
レストランで夫とランチをし、食後に「カプチーノ!」と注文したところ、夫が「……マンマミーア……?」と一言。さらに、お店の人には変な顔をされた挙げ句、出てきたのは、夫が注文したエスプレッソだけ。
「え? 私のカプチーノは……?」と聞いてそこで知ったのが、イタリアではカプチーノは午前中しか飲めない“朝限定ドリンク”だということ。食後にミルクたっぷりのカプチーノを飲むのは「胃に重い・マナー違反」らしいのです……。
もちろん観光客向けのお店やスタバでは飲めるのですが(といっても、独自のコーヒー文化が根付いているイタリアでは、スタバは非常にマイナーな存在)、これも、イタリアならではのカルチャーですね!
撮影/嶋田礼奈(講談社写真映像部)
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