参院選の惨敗を受けて、自民党内からも退陣を求める声が噴出する石破茂首相。そんな石破首相を支える閣僚の一人、三原じゅん子・こども政策担当相に、その資質が問われる「写真」が見つかった。ゴルフコンペ後に撮影されたものだという暴力団関係者の幹部とのツーショット写真で、取材を進めると、同関係者主催の忘年会にも参加して持ち歌まで披露していたことがわかった。三原氏サイドはこの疑惑について、どう説明するのか。【全3回の第3回。第1回から読む】
【写真】広域指定暴力団の幹部だったA氏とのツーショット。別の暴力団関係者と思われる人たちとの1枚も
本誌・週刊ポストは三原氏を広域指定暴力団の幹部だったA氏が取り仕切ったゴルフコンペと忘年会に誘ったとされる芸能関係者B氏にも話を聞いた。具体的に語ってくれた。
「たしかに僕が主催したゴルフの会に三原さんが出席してくれたことは一度だけあります。彼女は後輩だから飲み会かなんかで久々に会って『コンペやるから出ない?』とかそんな感じで。その時は表彰式でバンドも入れて、(三原氏が)『セクシー・ナイト』を含めて何曲か歌ってくれて、三原じゅん子賞なんかもあったと思います。Aさんも僕のコンペに一回ぐらい参加したことはあるかもしれない。もしかしたら三原さんと(参加した年が)重なっていたのかもしれないが、200人くらいの参加者がいたから全然覚えていませんね」
──A氏が暴力団関係者とは知っていたか。
「Aさんが当時、現役の暴力団関係者だということは、そうじゃないかな、と何となく感じてはいました。もしかしたら、って。忘年会にはもっといかつい人たちがいましたからね。ですが、名刺を渡されたわけではないですし……」
──A氏主催の忘年会にも三原氏を誘ったのか。
「Aさんとは10数年以上前、芸能関係者のイベントでお会いしました。その関係者を通じて誘われて、忘年会には何度か参加させていただきました。ですが(三原氏が)出たか出ていないかはわからない。忘年会のゲストに関しては、僕は全くタッチしていない。それこそ誰が参加するのか当日にならないとわからないことも多かったんです。そういう人(暴力団関係者)の集まりというか、祭礼関係の集まりだったので。さすがにあの会に僕は女性なんか呼べないし、呼べる雰囲気じゃないじゃないですか。何となく、よろしくないのかなって」
──主催者側に三原氏の忘年会参加のギャラ30万円を提示したのではないか。
「僕が? 知らないです」
──三原氏はあなたのゴルフコンペに参加した年にA氏の忘年会に出席している。あなたがつないだのではないか。
「うーん……。そういう風に見えたのかもしれませんが、そんなキャスティングをする権利もないですし。色々な芸能人が参加しているので、もしかしたら、そんな芸能界ルートで参加したのかもしれませんね。三原さんが忘年会に出席したかどうかは覚えていない。ですから(暴力団関係者が参加する)忘年会の性質を彼女に伝えていたということは100%ないです」
少なくとも、三原氏をゴルフコンペに誘ったB氏には、三原氏がツーショット写真を撮ったA氏が暴力団関係者である可能性を認識していたことがわかる。
この時期は芸能人と暴力団関係者の関係に厳しい視線が向けられていた。2008年10月に、細川たかし、角川博、小林旭、松原のぶえ、中条きよしの5人が大物暴力団組長の誕生日を祝うゴルフコンペに参加したとの報道をきっかけに、NHKが5人の紅白歌合戦出場を見合わせ、タレント、政治家など著名人が反社会勢力との交遊に襟を正すようになっていた。
しかも、三原氏にとっては政界進出を準備していたタイミングだった。自叙伝『生きたい』で三原氏は当時のことをこう書いている。
〈介護施設『だんらんの家』の準備を本格的に始めたのは二〇〇九年の秋でした。(中略)子宮頸がんのサバイバーの方々と一緒にNPO団体の活動に参加していたある日のこと。サバイバー仲間達から、「三原さんが議員になってよ!」「そうだよ。三原さんが選挙に出てよ」といわれたのです〉
そして三原氏は翌年の参院選出馬に向けて自民党にアプローチする。
〈自民党に公認してもらうためには、どうしたらいいのだろう? と考えた末に、私は思い切って野田聖子先生にお手紙を書きました。単刀直入に、次の参議院選挙に参戦したいと考えていることを記し、つきましては、お力添えをいただけないでしょうかとお願いしたのです。初めてお目にかかる機会に恵まれたのは、二〇〇九年の年末だったと思います〉
時期から見みると、件の忘年会の頃だ。
三原氏は政治家になることを決意し、参院選出馬への根回しを行ないながら、その一方でゴルフコンペの表彰式や忘年会で、暴力団関係者の前で自身の代表曲を歌い、一緒に写真を撮っていたことになる。
芸能人としても、政治家としても、自覚が問われるのではないか。
三原氏は暴力団関係者との接点についてどう答えるのか。まずは電話で直撃した。ゴルフコンペでの暴力団関係者との写真と忘年会出席をぶつけると、「ごめんなさい。いつの話だか全然わからないです。すいませんけれどもペーパーにして送ってください。すいません」と言って電話を切った。
改めて事務所に質問書を送ると、事務所を通じてこう文書回答した。
〈芸能活動をしていた時期に関するご質問ですが、所属事務所の入れたスケジュールでいろいろなイベントに参加しているところ、事務所がスケジュールを組むときには当然のことながら反社関係があるような日程を入れることはないと思います。参加された方の職業などはお尋ねすることなどありませんが、求められれば芸能人なので写真撮影には応じておりました。なお、芸能活動をしていた時期もいわゆる反社関係には注意していたので、それと知って参加するようなことはありません〉
よりにもよって「こども政策」を担当する閣僚である三原氏に浮上した暴力団関係者との接点。石破氏はかつて、2019年の参院選での買収疑惑のあった河井克行氏が法相として入閣したことについて、安倍首相の任命責任を問うた。当時の石破氏の「適材適所に反する」との批判はまさにその通りだったが、今回は自身が説明責任を果たすべき立場だ。
石破首相はこの問題に対してどうけじめをつけるつもりなのか。納得のいく説明ができなければ、いよいよ国民はこの政権を見限ることになる。
(第1回から読む)
※週刊ポスト2025年8月15・22日号