〈10歳上の夫と結婚1年目で“レス”→夫公認で不倫→いろんな男性と“男女の関係”に…経験人数800人の女性が語る、ハプバーに通い始めた経緯〉から続く
近年、「女性の性」をテーマにした報道や作品が増えている。朝のテレビ番組では「セルフプレジャー」の特集が組まれ、大手出版社が「女性用風俗」のマンガを発売。今年4月には、「ハプニングバー(通称ハプバー)」を舞台に女性の“性の秘密”を描いたマンガ『今夜、ハプニングバーで』がKADOKAWAから刊行された。
【衝撃マンガ】「さっきは俺とシてたのに、次は別の男とヤってる」“特殊な環境”で男女がカラダの関係を…ハプバーの“セクシーすぎる実態”をマンガで見る
同作の原作者・あぐさんは、実際にハプバーで働いた経験を持つ。元夫とのセックスレスがきっかけでハプバーに行くようになり、その後、常連客を経てスタッフになったという。
いったい、ハプバーとはどんな場所なのか。そもそもなぜ、あぐさんはハプバーに行くようになったのか、本人に話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)
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――あぐさんはどんな経緯でハプバーの存在を知ったのでしょうか。
あぐさん(以下、あぐ) 結婚後セックスレスに悩んでいる時に、解消法などをネットで検索していたら出てきて、存在を知りました。SNSでも見かけましたね。それで、元夫と結婚している時に、初めて行きました。
――ハプバーに行くのは怖くはなかった?
あぐ 結婚しているのに悪いことをする、という怖さはありましたね。でもその恐怖は、夫以外の男性と初めてホテルに行った時に、すでに経験済みだったので。「その時よりドキドキすることはないな」という感覚でした。
――どんな流れで行くことになったのですか。
あぐ 初めて行った時は、女性の友だちに連れて行ってもらいました。その子がハプバーに詳しい男性と知り合いで、その男性にアテンドしてもらえることになって。お店に着くと、その男性が常連だったみたいで、ものすごい歓迎を受けました。
――ものすごい歓迎?
あぐ 男性が6、7人くらい、半円を描くようにズラリと並んで私たちを出迎えてくれたんです。「こいつら何でもできるから何言ってもいいよ」と常連の男性が言って、「すごい!」って圧倒されました。
でも初めてで緊張してたので、友だちと一旦トイレに逃げたんです。それで、戻ってきたら、男性陣がパンツを脱いで待っていて。男性陣の勃起した状態のアレが半円状に並んでいました。
――異様な光景ですね。
あぐ 皆さん、アレを出したままカーペットに座って、宅飲みのような感じで飲み会がスタートしました。その時に「なんだここは! すごい楽しい!」と思って、離婚してから本格的に通うようになりましたね。
――異性と出会う方法はいろいろあると思いますが、なぜあぐさんはハプバーに魅力を感じたのでしょうか?
あぐ 一期一会の出会いがよかったんですよね。普通に男性と会ったら、デートして解散したあと「今日はありがとう」ってわざわざLINEしなくちゃいけないじゃないですか。
でもハプバーなら、男性と会うのに連絡を取り合わなくていいし、スケジュールを相手に合わせなくていいから、気が楽でした。
――そもそもハプバーはどんな場所なのですか。
あぐ 基本的には男女が集まるバーですね。そこで集まった男女の中でハプニングが起きて、専用の部屋に移動して性的な行為があるって感じです。
――お店にはどんな人がいるのでしょう。
あぐ お店によりますね。男性もいるし女性もいるし、年齢もバラバラです。
――来てるのは若い人だけじゃない?
あぐ 私が行っていたお店には、見た感じ50代ぐらいの男女が来てることもありましたよ。ただ、店によっては年齢制限があるところもあります。
あぐさんはハプバーのスタッフとして働いていた経験を持つ 細田忠/文藝春秋
――皆さん、どんな理由でハプバーに来るんですか?
あぐ 人には言えない変わった性癖を持った方はもちろん、私みたいにセックスレスに悩んでる人とか、今までいろんな人としてきたけど、あまり気持ちいいと思ったことがない、という悩みを持ってる人もいました。
でも処女や童貞の方がお店にいたこともあったので、性経験が豊富な人ばかりが来る、というわけでもないと思います。
あとは、シンプルに出会いを求めてる人もいましたね。毎日職場と家の往復だから、新しい出会いがほしいとか。
――お店に行ったら必ず行為をしないといけない?
あぐ そういうわけではないです。いつも来る人の中には、誰とも行為をせずにお酒を飲むだけ、みたいな人もいましたね。タイプの異性が来た時だけセックスする、みたいな人もいましたし。
――皆さん、お酒を飲みながらどんな話をするんですか?
あぐ 暗黙のルールとして、あまり個人情報を聞いちゃいけない、というのがあります。初めての方は、「どこから来たの?」「何の仕事してるの?」みたいな話をしがちなんですけど、そういう話は相手もいい気がしないというか。自分が勝手に喋る分にはいいんですけど、相手には聞かないのがマナーですね。
だから基本的には、好きな体位とか性癖の話をしています。性的な行為をしたい人は、そこのすり合わせが一番重要なので(笑)。
――じゃあ連絡先を聞くのもNG?
あぐ 連絡先交換禁止の店舗がほとんどなので、必然的に、客同士が恋愛関係になることもないです。やっぱり男女の問題になると当事者同士が傷つく結果になってしまうし、お店の外でトラブルが起こった時にスタッフが対応できなくなってしまうので。
――ほかにはどんなルールがあるんですか?
あぐ 必ず避妊をするとか、行為の前にシャワーを浴びるとか。あと、基本的に同意を得ていないことはやっちゃダメです。ハプバーに慣れてない若い男性に多いんですけど、お酒を飲んだ勢いで急に女の子に触ったりするんですよ。でもハプバーでそれをやると、かなり厳しく注意されます。
あと、部屋に移動して行為をする際に「挿入以外の前戯などはOKだけど、挿入だけNG」という女性もいるのですが、コミュニケーションの行き違いで男性が挿入しようとしてしまうケースがあって。それはもちろんダメです。お互いの同意がないとセックスはできません。
――性にオープンな場所だからこそのルールがあるわけですね。
あぐ そうですね。お客さんが安全に遊ぶための対策として、入店時には身分証の提示も必須なんですよ。
――先ほど「客同士が恋愛関係になることはない」と言ってましたが、とはいえ男女が集まれば妬みや嫉みなどはありそうですよね。
あぐ 気に入ってる異性が他の異性と性行為をするのを見て、嫉妬する人もいます。「さっきは俺としてたのに、次は別の男と部屋でヤってる」とか。嫉妬してる人は、周りから見ても、あの人モヤモヤした顔してるなってわかりますね。
でも、気になってる人が自分のすぐそばでほかの人と体の関係を持っているわけだから、嫉妬しない人のほうが少ないのかもしれません。
――あぐさん自身は嫉妬したりしませんでしたか?
あぐ 私は寝取られたい性癖があるので、気に入った男性が他の女性と行為をしてるところを積極的に見に行ってました(笑)。ただ、男性は嫌そうでしたね。気まずいしヤりづらいんだと思います。
――逆に嫉妬されたことは?
あぐ 経験が浅い男性を手ほどきしたことがあるんですけど、その男性が、私がハプバーに行く日に必ず会いに来るようになったんです。でも私はそんなことを気にせずいろんな方と行為をしてたから、結局その人はすぐに来なくなっちゃいました。
――ハプバーに通うようになって、あぐさん自身に変化はありましたか。
あぐ セックスレスだった頃は自己肯定感がかなり下がっていたので、ハプニングバーで男性たちに褒めてもらえることが心の支えになっていました。優しくしてもらって、「ありがとう」って思っていましたね。
――男性に褒められて自己肯定感が高くなった。
あぐ ただ、ハプバーではセックスというゴールを目指してる男性が多いから、基本的に女性をチヤホヤしてくれるんです。それは心地良いことなんですが、その環境に慣れすぎてしまうと、実社会とのギャップに苦しんで、生きづらくなるかもしれません。あくまで特殊な環境で起こっていることだと理解しておく必要があるのかなと。
――今年4月には、ハプバーを舞台にしたあぐさん原作のマンガ『今夜、ハプニングバーで』を上梓しました。
あぐ ハプバーのハードルって、実はそこまで高くないんじゃないかな、と個人的には思っていて。「ハプバーって、このくらいマイルドな場所なんだよ」というのを多くの人に知ってもらいたかったんです。
あと、私自身ハプバーという存在に救われた時期があったので、「選択肢としてあるのはいいよね」というのも伝えたかった。
ハプバーは、普段はオープンにしづらい性の悩みを吐き出せる場所でもあるので、人生に何かあったときのひとつの選択肢として知っておけば、もしかしたら楽になるかも、とは思いますね。
――読者からはどういう感想が寄せられました?
あぐ 普通の人が読んで「ハプバー、楽しそう」って思えるようなマンガを意識したので、「おもしろかった」「行ってみたくなりました」という声をいただけてうれしかったです。
圧倒的に女性からの声が多くて、「こういう悩みを持ってるような人が行くんだったら私も行けるかも」って前向きな感想もありました。
――最近は女性の性に関してオープンになってきましたよね。
あぐ 一種のコンテンツとして取り上げてくださるメディアが増えたとは思いますね。ただ、共感の声もありますが、逆風も感じています。
――どんな逆風を感じますか?
あぐ 「気持ち悪い」「視界に入る場所でそういう発信をしないでほしい」と言われることもあります。性的な発信に嫌悪感を持つ人がいるのは当たり前だと思うし、不特定多数とセックスするのが楽しいという感覚が一般的じゃないこともわかっています。
それでも、女性が性を謳歌するために必要な情報は、今後もどんどん発信していきたいですね。女性だからといって、性をタブー視する必要はないと思っているので。
――今後もあぐさんの発信が楽しみです。
あぐ これからは、オフラインでの活動にも力を入れていきたいです。今は大阪で、普通のバーに立たせてもらう機会があるので、そこを男女の出会いの場にしていけたらなと。ハプバーの厳しいルールの中ではできなかった、自由な出会いの場を作れたら楽しいなと思っています。
〈「今の彼氏以外とシたことない」経験人数1人の“ウブな女性”が、ハプバーで初対面の男性とセックスした結果…〉へ続く
(桃沢 もちこ)