モノクロ映画「ゴジラ」をカラー化した海賊版DVDを通販サイトで販売したとして、大阪府警は17日、同府豊中市、アルバイト店員の男(66)を著作権法違反(権利侵害品の頒布)容疑で逮捕したと発表した。
通販サイトには「画像生成AI(人工知能)で着色した」と記されており、府警は、男が無断で映画を複製した上、AIを悪用して色付けしたとみて調べる。
画像生成AIは学習した膨大な画像データの特徴から適切な色を予測し、モノクロのイラストや写真に着色する。AIで着色したとみられる著作物の不正販売事件の摘発は異例。
捜査関係者によると、男は昨年11月、不正に複製された映画ゴジラのDVD1点(送料込み2980円)を通販サイトで販売し、東宝の著作権を侵害した疑い。逮捕は16日付。
ゴジラは1954年公開で、本多猪四郎監督は93年没。今年1月頃、海賊版対策を進める「コンテンツ海外流通促進機構」(東京)から相談があり、府警が捜査を進めたところ、映画などの著作権の保護期間を「著作者の死後38年間」などと定めた旧著作権法に基づき、ゴジラの著作権が2031年末まで存続していると判断した。
通販サイトやホームページ(HP)では、他にも黒沢明監督の「七人の侍」など多数のモノクロ映画がカラー化された状態で出品され、「合法販売」「著作権保護期間終了作品」と記載されていた。レビュー欄には購入者とみられる投稿が多数あり、「カラーがいい。懐かしい作品がとても見やすい」などと記されていた。府警は、他にも著作権が残っている作品がないか調べる。