狙われたのは、都内各地の“隠れ家レストラン”。イット!が報じた“ドタキャン詐欺”に、新たな動きがあった。
実在する高校の職員だと偽り店を予約し、ドタキャン詐欺を繰り返していた“古賀を名乗る男”。
“古賀”の狙いとみられるのが、予約した店に「高級ワインの購入代金を振り込ませる」ことだ。
予約当日に突然、「知り合いの酒店から1本24万円のワインを4本購入してほしい」と要求されたという、東京・世田谷区の店では…。
アトリエシュシュ・野村裕亮シェフ:ぞっとした。(代金を)払ったところで(ワインの)納品もないし客も来ない。“ダブルの落ち込み”になっていたのかなと。
取材を続けると、「ワインを発注したが届かない」と96万円もの被害を訴える店もあった。
今後、レストランの予約がしづらくなるといった事態にも発展しかねないこの問題。
都内の飲食店:(Q.今後の予約対応)ちょっと疑ってかかっていかなきゃいけない。
被害を訴える声は都内だけでなく、長野県や富山県のレストランからも上がっていることが新たに分かった。
トラットリア ノンノ・上林久也オーナー:「15人で食事をしたい」という“○○高校の古賀”から電話。
先週、長野・上田市のレストランに、高校職員の“古賀”を名乗る男からの予約電話があったという。
しかし、「店主がLINEでのやり取りが苦手」と伝えると連絡が途絶え、ドタキャン被害に遭ったという。
トラットリア ノンノ・上林久也オーナー:バイトも急きょ1人雇ったので、(損害は)13万円くらいになる。本当にひどい犯罪。
さらに「イット!」が取材を続けると、“古賀”は名前や職業を次々と変え、同様の手口を繰り返している可能性が浮上した。
富山市の飲食店では“白川”と名乗る会社員から、「会社の役員会の懇親会があるから25日に予約をしたい」との電話があった。さらに予約当日に突然、「高級ワインを4本ほしい」と発注があった。
“古賀”とは名前や職業が違ったものの、事前に「イット!」の報道を見ていたという店主は「詐欺だ」と思い警察に相談したという。
「イット!」は予約の際に“白川”がかけてきた携帯電話番号を入手。電話をしてみると、「おかけになった電話はお客さまのご都合により通話ができなくなっております」という音声が流れた。
そこで、この番号をネット検索すると驚きの事態が…。
検索結果には「特殊詐欺の電話」や「警察官をかたる電話詐欺」などが表示され、詐欺に使われたものと同一の電話番号である可能性が強まったのだ。
“古賀”を名乗っていた男は一体どんな人物なのか。被害者に聞くと、ある共通点が浮かび上がった。
東京・調布市のレストラン:若い男性で、丁寧に話そうとするが、まだ敬語も使い慣れていない感じ。丁寧にしようとしすぎて言葉遣いがおかしくなっちゃっている感じ。
アトリエシュシュ・野村裕亮シェフ:ちょっと挙動不審というか、大丈夫?っていう感じの方。LINEなんですけど、教師なのに誤字脱字がすごく多かったり。
たどたどしい敬語を使う若者風だという“古賀”。
GURECO オーナーシェフ:やたらとLINEを登録することをすすめられるんですよ。
やたらとLINEへと誘導したがっていたという“古賀”。さらに、被害者の証言を照らし合わせると、実際にLINE電話で通話する際にも共通するある特徴が見えてきた。
東京・調布市のレストラン:電波がすごく悪くて、全然聞き取れなかったんですよ。
GURECO オーナーシェフ:ぷつぷつ途切れたり、ちょっと声が遠くなったり。
ブツブツ途切れがちな通話。これが何を意味しているのか。
犯罪ジャーナリスト・多田文明さん:おそらくですが、どこかの詐欺グループの中に、いわゆる闇バイトかなんかで募集されて、海外の方に行って、そして電話をかけているという可能性は高い。
さらにLINEへの誘導は、逮捕逃れが目的ではないかと指摘します。
犯罪ジャーナリスト・多田文明さん:LINEでやりとりをすると、基本的に相手の身元がわからない。犯人がどこにいるか追跡するのはほとんど難しいと思う。(「イット!」 6月27日放送より)