日本を愛したブラジル人女性の命が、煙に巻かれて奪われた──。
《写真》美脚がスラリと映えるアマンダさんやディズニーシーを訪れていたアマンダさんなど
5月1日午前9時過ぎ、千葉県成田市のアパートの一室で火災が発生し、焼け跡からブラジル国籍のアマンダ・ボルヘス・ダ・シルバさん(30)の遺体が発見された。アマンダさんは、4月に三重県鈴鹿市で開催された「2025 F1 日本グランプリ」観戦のために来日。その後も日本各地の観光を楽しんでいた矢先の悲劇だった。
警察は、この部屋に住むスリランカ国籍の無職、アベースリヤ・パタバディゲ・パトゥム・ウダヤンガ容疑者(31)を火を消し止めることなく現場を立ち去ったとして、放火の疑いで逮捕した。全国紙記者が語る。
「アマンダさんは言語学の修士号を持つ研究者でした。1.2万人以上のフォロワーを抱えるインスタグラムには、京都の伏見稲荷大社や金閣寺、活気あふれる新宿の街並み、東京ディズニーシーを満喫する写真を数多く投稿していました」
日本旅行を満喫していた彼女の身に、一体何が起きたのか。取材班は、事件の舞台となった千葉県成田市を訪れた。
現場は成田空港から車で10分ほど、一軒家やアパートが軒を連ねる住宅街だ。空港では深夜まで飛行機が離着陸しており、街には騒音計が取り付けられている。アマンダさんは遺体で発見された日の翌日、ブラジルへ帰国する予定だったという。しかし、それは叶わなかった。
アマンダさんが見つかったアパートの向かいの家に住む女性は、火事を目撃していたという。
「9時10分くらいかな、消防車の音がすぐ近くでとまったので異変に気づきました。家の窓から外を覗いたのですが、火の手は見えなくて、炎は全然出ていませんでした。でも消防の方が(火事現場の)ドアを開けた時に、黒い煙がブワッと出てきたの。それは覚えています」
しばらくすると、アパートから担架で運び出される人影が見えたという。
「前後に一人ずつ隊員の方がいて、2人で人が乗った担架を運んでいました。担架の上では心肺蘇生していらして……。運び出された方は、ひどい火傷を負っているというよりは、煤で汚れているような感じでした。短いパンツをはいていたのが見えました」
その後も大きく炎が上がることはなく、火事は10時前後には収束したという。しかし、この女性は火事の数か月前にも“異変”を感じていた。
「そういえばここ数か月、しょっちゅうパトカーが来ていたんですよ。私がはっきり覚えているのは、3か月くらい前の夜と、先月の日中です。パトカーがアパートの前に停まって、警察の方が住人の方と2~3時間くらい話し込んでいました。誰かを連行するというよりは、何かを諭しているような、話し合いをしているような雰囲気でしたね」
他の近隣住民も、このアパートでのトラブルはたびたび目撃していたという。70代女性の話。
「パトカーが来ているのは、私も何度か見ましたよ。あそこはよく騒いでいたからね。大きい声がよく聞こえていたし、私の息子は喧嘩しているような声を聞いたことがあるみたい」
亡くなる1日前に、〈日本はとても安全な国。だから私はここに移住したい〉などとSNSに投稿していたアマンダさん。最期に彼女を襲った恐怖は、如何ばかりだっただろうか──。