「コメを買ったことがない」発言で炎上している江藤拓農水相の問題が拡大している。江藤氏は辞任を否定したものの、石破茂首相が「任命権者として大変申し訳ない」と謝罪したのだ。結局、クビはなさそうだが、備蓄米の放出がされてもコメの価格はまだ上がりそうなだけに、国民の怒りはやみそうにない。
江藤氏は18日の講演で、「(コメを)買ったことがない。支援者の方がたくさんくださるので、まさに売るほどある。私の家の食糧庫には」と発言。この件が報じられるとコメの価格高騰に困っている国民が激高。SNSでは「早く辞任して」「米を買ったことがない人に米価格高騰の現実が分かるわけない」などと批判であふれ返った。
19日に江藤氏は「玄米で買ってほしいということを強調するあまり、私の実態と違うことを言って騒がせたことは遺憾」と釈明。「会場も盛り上がっていたのでウケを狙って強めに言いました」とリップサービスが含まれていたとした。
コメをもらったことは確かにあるようだ。2010年10月に公式ブログで「旨い米は最高のご馳走」との投稿をアップ。自宅で食べていたコメのおいしさに驚き、妻に「この米どうした?」と聞くと、「あなたが西都でもらったお米よ」と返ってきたという。
江藤氏がコメをくれた相手にお礼の電話をすると、「『また米やるけん、取りに来ない』と言うので本当に行ってみると、今度は60キロもくれました! メチャメチャ嬉しい!」と爐かわり瓠ほかにも大根やレタスをもらった投稿もあった。
発言をめぐって与野党から批判が相次いでいるが、首の皮1枚つながりそうだ。19日夜に石破氏と江藤氏が面会。石破氏は「反省してコメの価格が下がるように引き続き努力して」と職務続投を容認する発言をしたという。もっとも参院選を前にとんでもないマイナスになったことは間違いない。
江藤氏は当選8回目で、父親は建設大臣などを歴任した江藤隆美氏。農水行政に詳しく、農水相に就任するのも2回目だ。本来なら無難な仕事ぶりが期待されていたはず。
永田町関係者は「政治家の失言の多くが政治資金パーティーなど支援者が集まる場で行われています。身内だけなら気も緩むし、盛り上げようとリップサービスしがちというのはあります」と指摘。江藤氏も政治家にありがちなミスを犯したわけだ。
ウケ狙いの失言の代表例は2010年の民主党政権時代にあった柳田稔法相の発言がそうだ。大臣就任祝いの会合で「個別の事案については答えを差し控える」「法と証拠に基づいて適切にやっている」というフレーズを例に挙げ、「法相はいい。この二つを覚えておけばいい。分からなかったらこれを言う」と放言していたのだ。
当時、江藤氏はブログで「法務大臣の信じられない発言には、皆様も開いた口がふさがらないと思います。民主党の大臣たちには、けじめをつけ『自らを律する』覚悟が全く見られないのは嘆かわしい事です。私は、政治家こそ『武士道』の精神を持たねばならないと思っています。日本人は『恥を知る』伝統を持っていたはずです」と批判していた。
ブーメランとなってしまった。