2022年2月から夫と同棲を始め、2024年10月に結婚。今は夫と猫2匹と暮らしている。私は発達障害の一種のADHD(注意欠如・多動性障害)と算数LD(数字、計算に困難を抱える学習障害)持ちで、今まで発達障害に関する記事や書籍を出版してきたライターだ。

今年で38歳、夫は41歳。夫が再婚で前妻との間に子どもがいることもあり、子どもをつくるかどうかは私としては特に考えていなかった。今後も夫と2人で大好きなお酒を飲みに行ったりバンドのライブを見に行ったりして、お互いおじいちゃんおばあちゃんになるのだと思っていた。

周囲には子どもを産む選択をした人、産まない選択をした人がおり、それぞれの楽しみを持っていた。どんどん出産できる年齢のタイムリミットが迫ってきた中、私は産まない選択をしたつもりだった。

◆尿が出づらく泌尿器科へ行くも、病気の気配はナシ

夫と二人、猫2匹の生活を続けていたある朝、5時に尿意で目が覚めた。しかし、トイレに行くもまったく尿が出ない。膀胱はパンパンで下腹をつつけば漏れそうなのに出ないのだ。これは膀胱炎なのではないかと疑い、近所の泌尿器科を調べると診察は9時から。診察開始の時間までトイレに20回ほど駆け込み、ようやく少しずつ尿が出始めた。

診察開始時間になり泌尿器科に行って尿検査後、膀胱炎ではないし尿にも異常はないと診断された。この日は残尿感や頻尿を防ぐ漢方を処方され、「来週尿が溜まった状態で超音波検査をしましょう」と医師に言われた。

この漢方は効き、すぐに尿が出にくい症状は緩和された。翌週、尿を溜めた状態で泌尿器科へ向かった。昔、母が子宮筋腫により膀胱が圧迫されて尿が出にくくなったことがあったので、私も子宮筋腫の影響で尿が出にくくなっているのではないかと思いつつ超音波検査を受けた。超音波検査の機器をお腹に当てられるとモニタに尿がたっぷり溜まった膀胱が映し出された。

◆突然の妊娠発覚! 宇宙人のような影が

「膀胱に異常はありませんね。では子宮を見てみましょう」

医師はそう言って機器をずらした。すると、モニタには何かピクピク動く宇宙人のような影が映し出された。

「妊娠してるじゃないですか!」

医師が声を上げた。私も「えええええ!!!!」という声しか出なかった。どうやら、胎児が膀胱を圧迫していたため尿が出づらくなっていたようだ。

医師はすぐに超音波検査の機器を片付け、「処方した薬はすぐにやめてください! うちではなく産婦人科へ行ってください!」と言い、私は追い出されるよう泌尿器科を出た。

頭の中が混乱している。一旦家へ帰り産婦人科を調べ、今から受診してもいいか電話をかけると電話口の受付の女性から優しく承諾をもらった。

産婦人科へ行くと初老の男性医師が診てくれた。内診台に上がると医師が「あれ? 大きい……」とつぶやく。大きいってどのくらい……? そのままエコー検査を受けると、モニタに胎児が映し出された。すでに頭や体の形がわかるまで成長している。

◆すでに安定期に入っていた

「16週に入っています。びっくりしましたね~。おめでとうございます」

医師はそう言って祝福してくれた。流産の心配が大きかったり、つわりで苦しんだりする妊娠初期を通り越して、もう安定期である中期に入っているので、突然妊婦になった気分だった。

産まない選択をしたつもりだったのに私は今、妊娠している。妊娠しているとはつゆ知らず、いつも通りの日常を送っていた。飲酒もしていたし脂っこいものも食べていたし、妊婦に禁じられている激しい運動もしていた。明け方近くまで起きていることもあって、到底健康的な生活を送っていたとは言えない。

こんな生活を5か月も送っていてお腹の子の健康は大丈夫なのだろうか? 今まで独身生活、そして子どもがいない分自由な生活を謳歌してきた私がまともな親になれるのだろうか? 不安なことばかり脳裏によぎる。