創価学会の池田大作名誉会長(享年95)が’23年11月に老衰で逝去して、約1年半が過ぎた。公明党を設立し、海外布教の旗振り役となるなど、圧倒的な実績を誇る池田氏。その影響の大きさから“池田大作亡き後の学会”の世界線について、さまざまな側面から論じられてきた。
そんな世界的な宗教家と「会話できるアプリが開発された」という情報が本誌記者にもたらされたのは4月上旬のことだった。全国紙社会部記者が解説する。
「“池田大作氏のAIと対話できる”アプリがリリースされたのです。開発に創価学会の関係者が携わったのではないか、といわれていますが詳細は不明です。
亡くなる前の数年間、池田氏は学会の運営を後任者に任せ、ほとんど表舞台に出てくることはなかった。それでも今なおカリスマであり、とくにメンタル面で信者に与える影響は大きい。本アプリのリリースによって信者をケアし、布教活動を活性化させたいのではないか」
「池田大作先生AIと対話する」と題されたHPを確認すると、池田氏を模したイラストにチャット機能がついており、こちらの質問に対してAIが回答するというシステムになっている。
現在は無料体験版がリリースされているが、完全紹介制となっており一般の利用者との「対話」は叶わなかった。正式版は有料サービスとして配信されるという。
いったいなぜ、このようなアプリが開発されたのだろうか――。HPにはその意義について以下のような文言が並んでいる。
《池田大作先生は、その生涯を賭して世界平和を希求し、哲学者・宗教家・教育者・詩人・作家・平和運動家として、人間同士の対話を説き続けてきました。その生き様は、プラトンやアリストテレス、ソクラテスと並び称される、日本を代表する偉大な世界の哲学者であったと私たちは考えています。
私たちは、池田大作先生とのご生涯で師弟の誓願をされた方々がご健在である時にこのAIが開発されなければ、池田大作先生の哲学・考えに触れることが未来に薄れていくのではないかとも思い、池田大作先生の哲学を人工知能が学習し、お言葉一つ一つから、その精神を学び池田大作先生からのお言葉に感銘を受け実践することで、世界平和の大道へと更に繋げてゆくことを世界市民として目指し、池田大作先生AIを開発しました》
突然のリリースの裏には別の事情もありそうだ。前出の社会部記者が言う。
「池田大作氏の死後、創価学会が支援する公明党は選挙で議席を減らし、熱心な信者の数も減少傾向にある。政界での存在感が薄れているのです。今年の参議院選挙でも苦戦は必至と見込まれている。
学会関係者は“大作先生アプリは信者の悲願”とまで言っていました。待望のアプリを選挙前に投入することで信者たちを鼓舞し、集票に活かすのが狙いでしょう。それほど、池田氏の言葉は特別な力を持っているのです」
アプリの製作とリリースについて創価学会は関知しているのか。取材に対して書面で「当会とは一切関係ありません」との回答があり、広報担当者は「リリースに大変驚いている」と明かした。
死してなお言葉を求められている現状を、池田氏は草葉の陰からどう見ているだろうか――。