奈良市で部活動をしていた中高生が、落雷により病院に搬送されました。過去にも学校のグラウンドでの落雷事故は起きています。屋外で逃げる場所がない場合はどうすべきか、カサを差すのは安全か、低い姿勢を取るには…。具体的な備えを考えます。そこで今回の#みんなのギモンでは、「落雷で中高生搬送…どう備える?」をテーマに解説します。■部活中のサッカー部員ら6人が病院へ忽滑谷こころアナウンサー「10日、奈良市の中高一貫校のグラウンドで落雷があり、部活動をしていた中学生と高校生が病院に搬送されました」

「警察などによると、部活動をしていたサッカー部員ら6人が病院に搬送されたということです。このうち、心肺停止の状態だった男子中学生は呼吸が回復しましたが、今も意識不明の重体で、男子中学生もう1人も意識不明の重体です」鈴江奈々アナウンサー「とにかく回復されることを祈るばかりですが、(11日も)雷雲が発生しているところがあったので、引き続き注意が必要な状況ですよね」忽滑谷アナウンサー「不安定な天気が続いていますからね。当時の状況を振り返ります」■顧問ら「急に雨脚が強くなった」忽滑谷アナウンサー「落雷があった10日夕方の雷レーダーを見ると、奈良市の付近では複数の場所で落雷があったとみられます。当時グラウンドでは、中高のサッカー部約20人や野球部などが練習していました」「顧問らは『急に雨脚が強くなり、中断しようか迷っていたところ落雷があった』などと話しているということです」■過去にも…グラウンドでの落雷事故忽滑谷アナウンサー「こうした学校のグラウンドでの落雷事故は、これまでにも起きています。2014年8月には愛知県扶桑町の高校のグラウンドで野球部の練習試合中に落雷があり、高校生1人が亡くなりました」「去年の4月には宮崎市のグラウンドで、練習試合に来ていたサッカー部員の高校生18人が救急搬送されるということがありました。この宮崎市の事故を受けて、文部科学省は各都道府県の教育委員会などに、注意喚起をしています」「(文科省は)『指導者は落雷の危険性を認識し、事前に気象情報を確認する、天候の急変などの場合にはためらうことなく計画の変更・中止など適切な措置を講ずること』と呼び掛けています」森圭介アナウンサー「生徒の皆さん、雨が降っても練習を続けたいという気持ちはもちろんわかりますが、雨が降ってから動くということではなく、事前にどれだけ気象情報を確認しておくかということも大事なんですね」■積乱雲が近づいているサインは?忽滑谷アナウンサー「学校に限らず、どんなことに注意したらいいのか。黒い雲が近づいてくる、雷の音が聞こえてくる、急に冷たい風が吹いてくるなど変化を感じたら、雷の原因である積乱雲が近づいているサインですので、注意が必要です」「11日も各地で、大気の状態が不安定になっています。東京・汐留のLIVE映像を見ると、雲が厚くかかっているのがわかります」山崎誠アナウンサー「いろんな所で雷が落ちていますし、そういった所以外で急変して落ちてくることがあります。天気の急変があるという心構えと、そうした場合の対策をできる限り認識しておくことが大事ですよね」■死傷事故のほとんどは「側撃雷」忽滑谷アナウンサー「頭に入れておくというのが大事になってきますよね。落雷でどういった危険性があるのか。実験映像では、木のそばにマネキンを置いて落雷を発生させると、木を伝ってマネキンに向かって雷が飛んでいっているのがわかります」「雷で死傷する事故の原因のほとんどが、このように雷が樹木や人を通じて人体に飛び移ってしまう『側撃雷』です」「また、大人と子どもが並んだ状態だと大人の方が背が高く、被害に遭う可能性が高いといいます。ただ、手をつないでいると子どもにも感電が伝わる可能性があるので、十分に注意が必要だということです」鈴江アナウンサー「小さい子どもだったら必ず手をつないで歩きますので、落雷があるときはとにかく外に出ないようにするということを心掛けるしかないですね」■今回の事故、なにが起きた?忽滑谷アナウンサー「最も安全な行動を取っていただきたいと思います。今回の(奈良市の)事故ではなにが起きたと考えられるのか、雷のメカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授に聞きました」「搬送された生徒の症状が様々なことから、1つ目は雷が直撃する『直撃雷』の可能性があります。雷が落ちるというとこのイメージが強い方もいるかもしれません。2つ目は、木や人などを伝った『側撃雷』の可能性もあるということです」「3つ目は、手足のしびれなどの症状を訴えていた生徒もいたということなので、木や照明灯といった背の高いものなどに落ちた雷が地面を伝って感電する『地電流』の可能性も考えられるそうです」直川貴博キャスター(元福島中央テレビアナウンサー)「いろんな可能性を考えないといけませんが、私は福島に住んでいる時、(周囲が)開けていることが多かったので、(空を見ていると)黒い雲を見つけやすかったです。ただ去年、東京に遊びに来ている時、ビルが多いから気がつけなかったんですよね」鈴江アナウンサー「確かに、空が狭く感じますよね」直川キャスター「いきなりの急な雨で逃げ込む所がなかったので、地下街も1つの選択肢だなと思いました」■落雷リスクが高い行動とは?忽滑谷アナウンサー「直川さんのこの行動は正解で、具体的にどのような行動を取ったらいいのかを見てみます。小林教授によると、屋外にいて逃げる場所がない時は、コンクリートの建物や車があれば、その中に逃げ込むのが一番安全だといいます」「それもない場合は、木のそばに逃げるのは一番危険な行為なので絶対にやめてくださいということです。もしかしたら雨が降っていてカサを差している方もいるかもしれませんが、雷の時にカサを差すというのは大変危険です」森アナウンサー「カサを差さないという選択肢はなかなか難しいですけどね…」忽滑谷アナウンサー「畳んで持っておくようにしてください、ということでした。自転車に乗っている状態の時もあるかもしれませんが、落雷のリスクが低いのはなるべく低い姿勢を取ることなので、(つまりそれは)自転車を降りた状態になります。必ず降りるようにしてください」「公園などではあずま屋があるかもしれませんが、屋根付きの休憩できる場所に避難することについて、壁がないので雷に当たる可能性があり、危険なのでやめた方がいいということです」■実演…低い姿勢は「雷しゃがみ」で忽滑谷アナウンサー「実際に低い姿勢をどう取るといいのか。『雷しゃがみ』という名前で覚えてください。まず、しゃがんでできるだけ姿勢を低くしてください。その時に足を閉じて、地面との接地面を少なくするためにつま先立ちに。かかとはつけないようにしてください」「耳をふさいで、雷鳴で鼓膜が破れるのを防ぎます。足が開いていると電気の通り道ができてしまうので、なるべくコンパクトに小さく低い姿勢を取るようにしてください」「春は天気が急変することも多く、雷は雨が降ってからではなく、降る前に先に落ちることもあるということです。最新の情報を確認して早めの行動を取ってください」(2025年4月11日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
奈良市で部活動をしていた中高生が、落雷により病院に搬送されました。過去にも学校のグラウンドでの落雷事故は起きています。屋外で逃げる場所がない場合はどうすべきか、カサを差すのは安全か、低い姿勢を取るには…。具体的な備えを考えます。そこで今回の#みんなのギモンでは、「落雷で中高生搬送…どう備える?」をテーマに解説します。
忽滑谷こころアナウンサー「10日、奈良市の中高一貫校のグラウンドで落雷があり、部活動をしていた中学生と高校生が病院に搬送されました」
「警察などによると、部活動をしていたサッカー部員ら6人が病院に搬送されたということです。このうち、心肺停止の状態だった男子中学生は呼吸が回復しましたが、今も意識不明の重体で、男子中学生もう1人も意識不明の重体です」
鈴江奈々アナウンサー「とにかく回復されることを祈るばかりですが、(11日も)雷雲が発生しているところがあったので、引き続き注意が必要な状況ですよね」
忽滑谷アナウンサー「不安定な天気が続いていますからね。当時の状況を振り返ります」
忽滑谷アナウンサー「落雷があった10日夕方の雷レーダーを見ると、奈良市の付近では複数の場所で落雷があったとみられます。当時グラウンドでは、中高のサッカー部約20人や野球部などが練習していました」
「顧問らは『急に雨脚が強くなり、中断しようか迷っていたところ落雷があった』などと話しているということです」
忽滑谷アナウンサー「こうした学校のグラウンドでの落雷事故は、これまでにも起きています。2014年8月には愛知県扶桑町の高校のグラウンドで野球部の練習試合中に落雷があり、高校生1人が亡くなりました」
「去年の4月には宮崎市のグラウンドで、練習試合に来ていたサッカー部員の高校生18人が救急搬送されるということがありました。この宮崎市の事故を受けて、文部科学省は各都道府県の教育委員会などに、注意喚起をしています」
「(文科省は)『指導者は落雷の危険性を認識し、事前に気象情報を確認する、天候の急変などの場合にはためらうことなく計画の変更・中止など適切な措置を講ずること』と呼び掛けています」
森圭介アナウンサー「生徒の皆さん、雨が降っても練習を続けたいという気持ちはもちろんわかりますが、雨が降ってから動くということではなく、事前にどれだけ気象情報を確認しておくかということも大事なんですね」
忽滑谷アナウンサー「学校に限らず、どんなことに注意したらいいのか。黒い雲が近づいてくる、雷の音が聞こえてくる、急に冷たい風が吹いてくるなど変化を感じたら、雷の原因である積乱雲が近づいているサインですので、注意が必要です」
「11日も各地で、大気の状態が不安定になっています。東京・汐留のLIVE映像を見ると、雲が厚くかかっているのがわかります」
山崎誠アナウンサー「いろんな所で雷が落ちていますし、そういった所以外で急変して落ちてくることがあります。天気の急変があるという心構えと、そうした場合の対策をできる限り認識しておくことが大事ですよね」
忽滑谷アナウンサー「頭に入れておくというのが大事になってきますよね。落雷でどういった危険性があるのか。実験映像では、木のそばにマネキンを置いて落雷を発生させると、木を伝ってマネキンに向かって雷が飛んでいっているのがわかります」
「雷で死傷する事故の原因のほとんどが、このように雷が樹木や人を通じて人体に飛び移ってしまう『側撃雷』です」
「また、大人と子どもが並んだ状態だと大人の方が背が高く、被害に遭う可能性が高いといいます。ただ、手をつないでいると子どもにも感電が伝わる可能性があるので、十分に注意が必要だということです」
鈴江アナウンサー「小さい子どもだったら必ず手をつないで歩きますので、落雷があるときはとにかく外に出ないようにするということを心掛けるしかないですね」
忽滑谷アナウンサー「最も安全な行動を取っていただきたいと思います。今回の(奈良市の)事故ではなにが起きたと考えられるのか、雷のメカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授に聞きました」
「搬送された生徒の症状が様々なことから、1つ目は雷が直撃する『直撃雷』の可能性があります。雷が落ちるというとこのイメージが強い方もいるかもしれません。2つ目は、木や人などを伝った『側撃雷』の可能性もあるということです」
「3つ目は、手足のしびれなどの症状を訴えていた生徒もいたということなので、木や照明灯といった背の高いものなどに落ちた雷が地面を伝って感電する『地電流』の可能性も考えられるそうです」
直川貴博キャスター(元福島中央テレビアナウンサー)「いろんな可能性を考えないといけませんが、私は福島に住んでいる時、(周囲が)開けていることが多かったので、(空を見ていると)黒い雲を見つけやすかったです。ただ去年、東京に遊びに来ている時、ビルが多いから気がつけなかったんですよね」
鈴江アナウンサー「確かに、空が狭く感じますよね」
直川キャスター「いきなりの急な雨で逃げ込む所がなかったので、地下街も1つの選択肢だなと思いました」
忽滑谷アナウンサー「直川さんのこの行動は正解で、具体的にどのような行動を取ったらいいのかを見てみます。小林教授によると、屋外にいて逃げる場所がない時は、コンクリートの建物や車があれば、その中に逃げ込むのが一番安全だといいます」
「それもない場合は、木のそばに逃げるのは一番危険な行為なので絶対にやめてくださいということです。もしかしたら雨が降っていてカサを差している方もいるかもしれませんが、雷の時にカサを差すというのは大変危険です」
森アナウンサー「カサを差さないという選択肢はなかなか難しいですけどね…」
忽滑谷アナウンサー「畳んで持っておくようにしてください、ということでした。自転車に乗っている状態の時もあるかもしれませんが、落雷のリスクが低いのはなるべく低い姿勢を取ることなので、(つまりそれは)自転車を降りた状態になります。必ず降りるようにしてください」
「公園などではあずま屋があるかもしれませんが、屋根付きの休憩できる場所に避難することについて、壁がないので雷に当たる可能性があり、危険なのでやめた方がいいということです」
忽滑谷アナウンサー「実際に低い姿勢をどう取るといいのか。『雷しゃがみ』という名前で覚えてください。まず、しゃがんでできるだけ姿勢を低くしてください。その時に足を閉じて、地面との接地面を少なくするためにつま先立ちに。かかとはつけないようにしてください」
「耳をふさいで、雷鳴で鼓膜が破れるのを防ぎます。足が開いていると電気の通り道ができてしまうので、なるべくコンパクトに小さく低い姿勢を取るようにしてください」
「春は天気が急変することも多く、雷は雨が降ってからではなく、降る前に先に落ちることもあるということです。最新の情報を確認して早めの行動を取ってください」
【みんなのギモン】身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)