コメの高騰が止まらない。
「今はかろうじて3000円台の商品もありますけど、セール期間が終わったら全商品が4000円台になっちゃいますね」
埼玉県内にあるホームセンターの食品担当者はそう嘆いた。
農水省によると3月3日からの1週間でスーパーマーケットにて販売されたコメ5kgあたりの平均価格は、2024年の同じ時期と比べて2000円以上高い4077円だった。現在も高騰は続いており、5000円超えを危惧する声も上がっている。
「ウチの店で扱っている5kgのおコメは9品種。そのうち7品種で4000円を超えています。扱っているのは、『あきたこまち』や『こしひかり』、近年人気の北海道のお米などですが、去年から値段は上がり続けています」
実際、業者間での相対取引価格も去年の同じ時期から73%上昇しており、6ヵ月連続での高値更新となっている。
「食べ盛りのお子さんがいらっしゃるお客さんで『背に腹は代えられない』と輸入米を買われる方が多くいらっしゃいました。ウチもカリフォルニア米を扱っていた時期がありましたが、値段は日本のおコメより1000円近く安めでした。
ただ、味は好みが分かれるようで“日本のおコメと変わらない”と言う方もいれば、“二度と買わない”と言うお客さんもいらっしゃいました」
店舗を訪れた時には輸入米は置いておらず、「次、いつ入荷されるかわからない」という。この日売り場にあったコメの最安値は3000円台後半の北海道米だった。
「広告の品なのでこのお値段ですけど、セール期間が過ぎたらこのお値段では出せないですね。そもそも入荷数も限られている。期間終了を待たずに無くなってしまわないよう、売り場に出す数を調節しています」
価格高騰を受けて、かつては扱いが少なかった2kg袋の商品が数多く並ぶようになっている。
「定期的に5kg袋を買われていた方の購入頻度が減り、2kg袋を買われるようになった気がします。ウチは高齢のお客様が多いのでその傾向が強いかもしれません。
お米全体の売上は去年の同月より上がっています。値段がこれだけ上がっているので当然なのですが、私も毎日、コメを食べていますから……。政府の備蓄米の拠出で値段が少しでも下がることを願っています。正直、下がるかどうか、今は予想できないですね」
都内で米穀店を運営する五ツ星お米マイスターの西島豊造氏はこう話す。
「消費者が備蓄米をどう捉えるか、が重要です。“備蓄米や古米でもいいから、安いものを買いたい”となれば、コメの値段は全体的に落ち着くでしょう。逆に、消費者が備蓄米を拒絶して安いものを買わなければ、コシヒカリやあきたこまちのような人気銘柄はさらに値上がりしてしまいます。
今年の秋に新米が出ますが、すでに多くの業者が高い値段で青田買いしているので、価格が下がることはないでしょうね。今の値段で新米シーズンに突入してしまう可能性が高いというのが正直なところです」
我々の主食は、高級食材になってしまった。