春麗らかな陽が射す、4月某日。満開の桜のように笑顔を咲かせて上着を脱ぎ、ノースリーブ姿になったグラビアアイドルでYouTuberのしーちゃんさん(40)。袖口から伸びた白く透き通った腕を見れば、うっすらと産毛が生えており、さらにはワキの下にまで──。
【写真】18年間生やし続けたしーちゃんさんのワキ毛「白く透き通った腕の下には…」
3月7日放送『ダマってられない女たち』(ABEMA)の“ワキ毛を剃らない選択をする女性たち”特集に出演し、話題となったしーちゃんさん。ムダ毛処理をしていないことを初めて明かしたのは遡ること16年前。彼女がYouTube上で公開した『#30恥ずかしいけど見せます-Shows though it is shameful-』という動画だった。その時点で2年間ほど処理していなかったため、現在“未処理歴”は18年間に及ぶという。
今や女性だけでなく男性の脱毛も人気の時代。そんななか、彼女はなぜ、ムダ毛を処理しない生き方を選択したのだろうか──。【前後編の前編 後編を読む】
* * *──では、よろしくお願いします。ところで、「しーちゃんさん」なのか「しーさん」なのか、はたまた「しーちゃん」とお呼びすればよいのか……。
「あ、そうですよね、難しいですよね。好きに呼んでいただいて大丈夫ですが……まあでも、“さん”付けですかね。“しーちゃんさん”でお願いします(笑)」
──では改めまして、しーちゃんさん。本日はよろしくお願いします。『ダマってられない女たち』に出演し、18年間ワキ毛処理をしていないことを明かされたわけですが、なぜ“剃らない”という選択をしたのですか。
「最初から『処理をやめよう』って決心していたわけじゃなくて、18年前に体調が悪くて処理できない日が続いたことがキッカケだったんです。しかも、当時は冬だったので『誰にも見られないし、まあいっか』と思って3か月くらい放置していたんですけど、あるとき『このまま剃らなくてよくない?』って気づいて。『ワキを剃ったところで、出番なくない?』というか」
──出番、というのは。
「たとえばお化粧なら、人と会うときに『綺麗に見せられてよかった』というのがありますけど、ワキって人に見せる場面が全然ないじゃないですか。そう考えると、『もしかして、ワキ毛を剃ってる時間って、すごくムダだったんじゃないか?』と」
──特に、冬だと“出番”がないですよね。とはいえ、夏になるとノースリーブになることもあるでしょうし、出番がすこし増えませんか?
「そうなんですよね。でも、生やしたまま過ごすうちに『このままで大丈夫かもしれない』って思うようになったんですよ。それ以上に、“ワキ毛処理=ムダ”って思いも強くなり。だって、時間もかかるしお肌も痛めるし、処理後のプツプツが気になるとか剃り残しが嫌だとか、とにかく神経質になる。でも生やしていると毛も柔らかいしナチュラルだし、こっちのがよくない?って」 ──ワキ毛がある方が“自然”になっていく。
「そうなんです。髪の毛生えてるとか、眉毛生えてるとか、そういう感覚。それに、生やして気づいたんですけど、ワキ毛って必要なんですよ。汗が溜まってくれるし、摩擦も抑えてくれるし、人体構造として絶対必要なものだって実感しました。男性の皆さんも、ぜひ剃ってみてほしいです。『ないとダメだな』って分かります!(笑)」
──海や銭湯など、ワキの“出番”がある場所に行くことはありますか?
「海も銭湯も行きます。“出番”はあれど、あまり人は見ていないと思います。『よそはよそ、うちはうち』というか、そんなに自意識過剰にならなくてもよいと思うスタンスになりました」
──そういうスタンスになったキッカケはあったんですか?
「もちろん最初は結構気になりました。棚から物を取るときとか、ワキが露わになるたびに『剃った方がいいのかな』と思うこともありましたけど、他人の目を気にせずに自分を受け入れて、やりたいように生きようと決心したので」
──16年前、ワキ毛の処理をしていないことを初公表した動画『#30恥ずかしいけど見せます-Shows though it is shameful-』が、現在は1612万回再生を超えています。公表することに葛藤や怖さはなかったんですか?
「怖くはなかったですね。公開した後も、こんなに認めてくれるんだ、と自己肯定感にも繋がりました。というか、いま1612万回も再生されているんですか!? 当時もネットニュースなどで取り上げていただいて、『需要あるな』とは思いましたが、だいぶ増えましたね(笑)。皆さんのおかげです。やっぱりこう反響が数字で現れると、『受け入れてもらえている』という実感が増しますよね」
──“需要”というのは、主に男性の?
「公開した2008年当時から現在まで、男性ファンの反応がずっと好意的で変わらないんですよ。YouTubeライブをしていても、『見せてください』みたいな。ほんと、『男の子やな』って(笑)。でも自分的には見せるために生やしているわけじゃないから、雑談中のふとしたときに『あ、見えた』『ちょっとラッキー』ぐらいでおさめといてください、みたいなところではあるんですけど」
──ワキは見世物じゃない、と。
「でもやっぱりこの16年間で、そういう反応をしてくれる男性が増えた気がしますし、極端に嫌な顔をする女性も減った気がします。昔は、友人の結婚式とかにキャミソールのワンピースを着ていくと、『ぎゃあ!』みたいな反応されたんですけど、いまはなくなってきましたね」
──海外では、マドンナさんやレディー・ガガさん、エマ・ワトソンさんなどワキ毛を生やすセレブも多く、若者の間では『ジャニュヘアリー運動(=女性の体毛は自然だとアピールする運動)』なども起こっています。
「私は“美しいと感じるものは人それぞれ”だと思っているので、例えば声高らかに『ワキ毛を剃るのをやめましょう!』と主張したいわけじゃないんです。今の時代、美意識が高すぎるというか、美に対してストイックだなとは感じます。細くならなくちゃ、ツルツルにしなくちゃ、男もファンデーション塗らなくちゃ、とか。でも、もっと“多様化”しているんだから、私みたいな人も細くてツルツルな人も、それぞれいていいんだ、っていうスタンスでみんなが生きていければいいんじゃないかな、という考えです」
──本当はしーちゃんさんみたいに「ワキ毛を生やしたい」という女性がいることも認められる社会になればいいと。
「付き合っている人がワキ毛を生やしてて『嫌だ』ってなるよりかは、『別に生やしてていいんだ』とか『生やしてていいね』とか言ってくれる男性が増えれば、女性もムダ毛を気にしなくていい世の中になるんじゃないかなと思いますね」
人生の半分をワキ毛とともに過ごしてきた彼女は、90分熱く語り尽くした。後編では、18年間生やし続けたワキ毛を“処理”した背景、現在の思いなどを明かしている。
(後編につづく)