大阪・関西万博の開幕まで1週間を切った。
“維新色”が非常に強いが万博は国家事業だ。
4月5日にはテストランに石破茂首相(68)が訪れ、会場内の様子や海外パビリオンの準備状況を視察した。石破首相は視察をしたうえで、
「いろいろ心配する声もあったが開幕には間に合う」
と太鼓判を押した。
盛り上がり具合をニュースでは報道し、“機運醸成はばっちり”と言いたいところだが現状はネガティブ要素が山積みしている。
まず5日のテストランで判明したのは、抽選で選ばれた大阪府民ら計約3万人という限られた人数が来場しただけでも、会場に入るまでに1時間半以上かかったということ。期間中は1日最大22万7000人の来場者を想定している。
「駅から入場口までの距離が短すぎて、逃げ場がない。駅の階段などでパンクを起こし“雑踏事故の危険性があるのではないか”という声が上がったようです。入場口で手荷物検査などがあるため、予約していてもスムーズには入れず、テストランの状態でもパビリオンの予約時間に間に合わなかったケースが発生していましたね」(全国紙記者)
そんなグダグダなテストランをしている真っただ中の6日、爆発する恐れのあるメタンガスが検知されたと万博協会が発表。午後4時ごろ会場の西側「グリーンワールド」工区で、着火すれば爆発の可能性があるとされる濃度の基準値を超えるメタンガスが検知された。
SNSで消防隊員が作業に当たっている映像が拡散されたが、警告音のようなブザーが鳴り響いていた。自然換気を行い、約1時間後に基準値を下回ったことを確認し規制を解除したようだ。
「少し前の3月10日には、万博会場となる目玉の大屋根リングの土台部分の盛り土が海水で浸食されていると発表されました。『つながりの海』と『ウォータープラザ』の護岸あわせて約1100メートルのうち、半分以上の約600メートルの護岸が海水に浸食されてしまったのです」(前出・全国紙記者)
写真を見ても土台のすぐ近くの砂が侵食されている。なぜこのようなことが予測できなかったのか理解に苦しむ。“棒倒し”のように大屋根リングが崩壊しなければいいが。
しかし、在阪のテレビ局スタッフからは
「ネガティブ要素は山ほどあるが、報道しづらくなってきている」
と複雑な心境を明かす。
「テレビ局はこれまで万博のニュースを扱ううえで、パビリオンの遅れやチケットの売れ行きが悪いなどネガティブ要素もしっかり報道してきました。しかし来週からは万博本番。実はテレビ各局は万博に協賛・参画しているため、局内に担当の事務局のような部署が存在する。本番になれば、どんどん現場から中継したりロケしたりして盛り上げなければならない。局内の万博担当からは“そろそろネガティブな報道はやめて盛り上げるほうへ切り替えてもらえると助かる”とお願いされていますよ。メタンガスなどはストレートニュースで短めに扱っていますが、大々的には扱いにくい雰囲気ですね」
バラエティーや情報番組などは、キー局から独自のクルーを出して取材する場合もあるが、基本的には関西のニュースは在阪局が取材したものをキー局が全国へ放送する。大阪のテレビ局がネガティブな情報を出さなければ、おのずと全国に向け放送される機会も少なくなる。
「大屋根リングの一番上は1周ぐるっと歩けるようになっているのですが、名前に反して“屋根がない”。夏になれば入場口、パビリオンの行列、大屋根リング上などで熱中症が続出するでしょう。おまけにメタンガスがいつ、どこから発生するかわからない。もしルールを守らない人がその辺でタバコに火をつけたら爆発する危険性もあります。万博には大阪府内の小学生などもたくさん招待でやってくる。大きな事故が起こらなければいいのですが……」(同・在阪テレビ局スタッフ)
真実を報じるはずのテレビ局が、協賛しているため、ポジティブな報道を恣意的に報じなければならないとは何とも皮肉なものだ。