NHK党の立花孝志党首がナタで襲撃された事件で、現場にいた警察官の対応に疑問の声が上がっている。
立花氏は14日、午後5時過ぎに東京・霞が関の財務省向かいの経産省前の歩道で宮西詩音容疑者に切り付けられ、全治1か月の重傷を負った。100人以上の聴衆や配信者、報道関係者がいる衆人環視の中での凶行で、ネット上でざわついたのは、制服を着た警察官の動きだ。
襲撃直後に1人の警察官は立花氏に付き添ったが、もう2人は容疑者の周りで、拘束するわけでもなく、静観したままだった。容疑者を確保したのは一般人男性とNHK党の議員秘書で、警視庁OBからは「警察官はカカシか」と批判された。
現場で取材した記者も襲撃直後に歩道に落ちていたナタが再び使用されないように警察官に押収を要請したが、聞き入れられることはなく、放置されたまま。高音アラートが鳴り響いた閃光手りゅう弾も、現場では「爆弾のようにも見える。爆発したら危ないんじゃないか」との声が上がっていたが、鑑識作業が行われるまでの1時間30分間、現場に残ったままだった。

現場にいた警察官は立花氏の警護に当たっていたわけではなく、財務省解体デモで周辺に押し寄せた人が歩道に滞留しないように雑踏警備に当たっていた機動隊とみられる。所轄の丸の内警察署の警察官が現場に駆け付けたのは襲撃から6分後。宮西容疑者がほかに凶器などを所持していないかを調べる身体捜索がようやく行われていた。
昨年の都知事選に出馬した元神奈川県警警察官の前田太一氏は「実際に事件を捜査するのは丸の内警察署。機動隊が逮捕すると、(手続き上)ちょっと面倒くさいと考えたのでは。本来あってはならないが、被疑者が暴れているわけでもなく、あそこまで落ち着かれると押さえ付けるまではしないのかなとも思う。所轄の人に来てもらって、現行犯逮捕されて、処理する方が自然というかスムーズな流れになる」と雑踏警備が任務で、他の事案にかかわりたくなかった深層心理が働いたと推測した。