3月24日午後4時半すぎ、静岡県浜松市中央区の市道で小学生の女児4人に軽トラックが突っ込み、小学2年生の石川琴陽さん(8)が死亡、小学4年生の姉が意識不明の重体となる事故が起きた。残る2人の小学4年生は、軽傷を負い救急搬送されたが、意識はあるという。
【現場写真】道路脇の擁壁には衝突による損傷が約20メートルにわたり残っていた
軽トラックを運転していたのは、同区在住で農業を営む古橋昭彦容疑者(78)。古橋容疑者は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕され、警察の調べに対し「なぜぶつかったのか分からない」「事故当時の記憶がない」などと供述しているという。大手紙社会部記者が語る。
「事故現場は、浜松市動物園の正門ゲートを出て南に150メートルほど進んだあたりで、姉妹の自宅まで歩いて1分とかからない場所でした。カーブがある坂になっており、軽トラックは坂を下る最中に減速しないまま、女児4人の自転車の列に後ろから突っ込んだとみられています」(大手紙社会部記者)
あたりは車通りが多く、特に晴れた土日は動物園の来園者で往来が激しい通りだという。現場周辺では過去10年で4件の事故が発生していたが、これまで死者はいなかった。また、現場には目立ったブレーキ痕がなく、道路脇の擁壁には衝突による損傷が約20メートルにわたり残っていたという。
「捜査関係者によると、古橋容疑者は2024年7月31日に運転免許証を更新していたといいます。また、男が運転していた軽トラックに明らかな故障など異常は確認されていないとのことです。
警察は古橋容疑者の既往歴や通院歴、持病の有無や家宅捜索で押収した“お薬手帳”の内容などを含め、事故が起きた当時の状況や原因について調べています」(同前)
少女4人が死傷した痛ましい事故。その発生直後、近隣に住む目撃者の男性が、古橋容疑者と言葉を交わしていた──。
3月24日の午後4時半すぎ、近隣男性(90代)が自宅で時代劇を見ていたところ、パトカーと救急車のけたたましいサイレンの音が聞こえたという。何事かと思い外に出ると、道沿いにパトカーと消防車が連なり、警察の人がたくさんいるのが見えたという。
「サイレンの音で気になって様子を見に行くと、私の家の柵越しに加害者と思われる男性が立っていました。上に黒い服を着て、下は作業着ズボンを履いていました。救急車が被害者を運びだした後、男に『おじさんがやったの?』と尋ねると、男は『そうだ』と答えました。
私はつづけて『子供が自転車で4台下っているのわからなかった? どこ向いてたんだ!』と聞きましたが、男はぼーっとした表情で『わからなかった』と。ずっとぼんやりとしていたので、『あんたが轢いたのは犬や猫じゃないで、人間やで!』と怒ったところ、男は無言のまま呆然とうなだれるばかりでした」(近隣に住む90代男性)
目撃男性の家の裏には、被害者姉妹の自宅もある。男性は、普段の姉妹の様子をこう語る。
「顔見知りだし、私が町内会の会長をしていた時に回覧板を回しにいったこともある。挨拶したら元気いっぱいに返してくれるいい子だった。お姉ちゃんと仲が良い子がいて、よくその子のところに遊びに行っていたみたい。自転車で出かける姿を何回か見たよ」(同前)
テレビ静岡によると、男は「過去にも気がついたら事故を起こしていたことがあった」と供述しているという。78歳の古橋容疑者はそうした事故歴があってなお、ハンドルを握っていたことになる。なぜ若い命が失われなくてはならなかったのか。事故の原因究明が待たれる。