ジェンダー表現への意識の高まりから、昨今、SNSを中心に企業へ厳しい視線が投げかけられることが増えている。東洋水産「マルちゃん 赤いきつね」のアニメCMに「性的」との批判が寄せられた騒動は記憶に新しい。
【写真から考える】『無印良品』女性用ショーツのみモデル着用画像の理由
この騒動では「非実在型ネット炎上」という指摘も一部でなされていた 。少数の批判的な意見がSNSで拡散されるなどした結果「炎上した」と騒ぎ立てることで作られる“炎上”のことを指す。何をもって「炎上」とするかには、さまざまな評価の仕方があり、「マルちゃん」のケースについてはそれが「炎上」だったかどうかは議論が分かれるところだ。
いずれにせよ、企業としては、制作意図が語られないなかで、SNSでの一部投稿が自社のビジネスに及ぼすリスクを常に負っていることになる。そうしたなか、大手ブランド「無印良品」の商品画像への違和感を表明する声が一部で上がっている。
食品から衣類、生活雑貨まで幅広く展開する「無印良品」では、下着も取り扱っている。同ブランドのオンラインストアでは、女性用ショーツは生身のモデルによる着用画像が掲載されている一方で、男性用のトランクス・ボクサーパンツだとマネキンに穿かせた画像になっている。なお、子ども用パンツもマネキンによる着用画像のみだった。
この違いに対して、ネット上で、〈キモい〉(下記、引用は原文ママ)という声が一部で上がった。〈女性は鑑賞対象、という認識がナチュラルに横たわっているんだな……〉〈女性はあそこがくっきり見えるくらいなのに〉〈女もマネキンでいいよ〉と批判されており、Xには 4万いいねを超える反響のポストもある。
一方で、〈女の方が下着にこだわるからでは?〉や〈むしろ女性客のために企業側が金掛けてると思うけどな〉との意見も寄せられている。また、〈純粋になんでなんだろう〉と不思議がる声もあり、オンラインストアにおける画像の違いに注目が集まった。
一体どのような経緯で、女性用ショーツのみにおいて、モデルの着用画像が掲載されたのか。「無印良品」を運営する株式会社良品計画に問い合わせたところ、以下のような回答だった。
「無印良品では、お客様との対話を通したモノづくりを進めております。今回のネットストアの画像掲載についても、お客様から婦人については『着用イメージを知りたい』というお声を実際に複数いただき、現在婦人はモデルをテスト採用しております。紳士については、そういったお声がないためマネキンとしています」(広報課の担当者)
あくまで女性からの要望に応えて、モデルを起用したという。企業として女性のことを「鑑賞対象」などと考えていないことは当然だろう。
あらゆる企業が作るウェブサイト上の素材には、今後もSNS上で様々な意見が飛び交うことが予想される。そうした場合、企業側が意図や背景を説明する場面も増えそうだ。