「今回逮捕したのは三重県警じゃなく愛知県警だろ? おそらく愛知の組織から買っていて、尻尾切りにあったのかなあなんて想像しちゃうよな」──三重県内の違法薬物事情に詳しいある人物は、“エリート教師”の逮捕を受けてそう独りごちた。
【写真】「覚醒剤と注射器数百本を押収された」自宅とは “優しい元教頭先生”として知られた伊東和彦容疑者ほか
愛知県警は2月26日、自宅で覚醒剤を所持していたとして、三重県津市の教育委員会教育研究支援課長の伊東和彦容疑者(52)を現行犯逮捕した。情報提供を受けて、容疑者宅を家宅捜索した愛知県警は、ベッドのマットレスの下から覚醒剤の入ったポーチを発見。ほかにも、自宅からは注射器が数百本見つかるなどしており、容疑者は容疑を認めているという。
伊東容疑者は1996年に三重県教育委員会に採用され、県内各市の小学校で教鞭を執ってキャリアを積んできた。2022~2024年には津市内の小学校で教頭を務め、昨年4月に現職へ異動。容疑者が課長を務めていた教育研究支援課は、現場の教員に対する教育のほか、児童らに薬物の危険性を啓発する指導も担っていた。
教育委員会の関係者はこう明かす。
「伊東さんが勤めていた小学校でも、各学年で薬物乱用啓発セミナーをやっていたのですが、それをやるように指示する教育委員会の部署のトップが伊東さんだったんです。伊東さんが小学校に在職していたときも、警察署の方を招いて、薬物乱用啓発セミナーをやっていました。もしそのとき、すでに伊東さんが薬物をやっていたとしたら……。彼はどんな気持ちでセミナーを開催したのかと考えると、本当にショックが大きいです」
容疑者を知る人物らは一様に、今回の事件への驚きを口にした。冒頭の同級生も、伊東容疑者の逮捕で受けたショックは大きいようだ。
「5年前に同窓会で再会しました。昔から変わらず、優等生って感じでしたよ。中学時代の担任の先生に代表で花束を渡したのも彼ですから。だから報道で彼の逮捕を知った時には大声をあげてしまいました。
伊東君とは小学校の5、6年生ではクラスも同じだったんです。勉強がよくできる優等生でした。みんなが異性の同級生と話すのを恥ずかしがる時期に、彼は気にせず女子に話しかけていたからか、クラスではモテていましたね。確か児童会役員もやっていました。だからまさか、と……」
大学時代、同じ学部学科で学んだという同級生も取材にこう話した。
「大学での定期試験で、鉄棒のテストがあったんです。試験前に体育館でみんなで練習したのですが、その時に彼の手があざだらけになっていたのを、覚えています。毎年、学祭では一致団結して神輿を徹夜で作って、そんなときも彼は一生懸命で、とても協力的で……。今回の事件は内容が内容だけに嘘であってほしいですし、もし本当なら、何をやっているんだって感じですよ。でも大事な仲間だから、なんとか乗り越えてほしいです」
直近の職場だった津市教育委員会でもその仕事ぶりは評価されていたようだ。一緒に仕事をしたことがあるという人物はこう振り返る。
「数えるほどですが、仕事で話したことがあります。役所ってちょっと気難しいというか、コミュニケーションが取りにくい人が一定数いるのですが、彼はとても穏やかで好感の持てる話し方をするんです。とても良い職員さんです。仕事もできますしね。きっと教育現場でも生徒や保護者に信頼される教師だったのだと思います」
しかし、過去の伊東容疑者を振り返ってみると、小さな違和感が脳裏をかすめたという。
「彼みたいな人が覚醒剤で逮捕されるなんて、という疑問でいっぱいです。ですが……彼は夏場でもいつも長袖を着ていたんですよね、いま振り返るとちょっと違和感があるなって。腕まくりをしていたことはありましたが、酷暑でみんな半袖のなか、ひとりだけ長袖だったのは印象的でした」
伊東容疑者の“表の顔”の評判はすこぶるいい。そんな好人物が、どこで違法薬物と接点を持ってしまったのだろうか。三重県内を取材していると、薬物事情に詳しいある人物に行き当たった。その人物は伊東容疑者のことは知らないとしながらも、こんな“アングラ事情”を明かした。
「三重県の若い奴らが薬物買うってなると、県内にあるルートがメインなんだよ。でも今回逮捕したのは三重県警じゃなく愛知県警だろ? 愛知の組織から買っていて、尻尾切りにあったのかなあなんて想像しちゃうよな。たまにいるんだよ、一匹狼みたいな感じで県外の組織から直に買ってる奴。報道では、売人の疑いもあるって書き方されてたけど、流石にそんなことあるかって疑ってるけどね」
エリート教師のまさかのスキャンダルに、地元政界や教育界だけでなく、アンダーグラウンドでもさまざまな憶測が飛び交っているようだ。地元紙社会部記者はこう話す。
「今回の事件は第三者による『情報提供』によって着手しています。そこからも推測できるのは、今回の事件が愛知県警による大規模な薬物捜査の流れの中にあるとみられるということ。今後の捜査の進展が待たれます」
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