カッターナイフで脅すなどして、計10人の小学生女児に性的暴行を加えた男(28)。先月、大阪地裁で無期懲役を言い渡されましたが、判決を不服として控訴しました。▼尾行や見張りで被害女児らの行動パターンを把握 カッターナイフで脅すなどして性的暴行「言うこと聞いてくれたらお金あげる。500円でいい?」判決によりますと元病院職員の柳本智也被告(28)は2016年~2022年、計10人の小学生女児(当時8~12)に対し性的暴行を加え、一部の女児にはケガをさせました。
柳本被告は事前に尾行や見張りを行い、被害女児らの行動パターンや家族の不在時間などを調べてスマートフォンに記録。検察の論告によれば、長いケースで犯行の約11か月前から尾行や見張りを行っていたといいます。そして、被害女児らが帰宅し、自宅玄関ドアの鍵を開けて入る際に一緒に押し入ったり、集合住宅の共用部分に侵入して犯行に及びました。各犯行時には、カッターナイフを示したり、「泣いたら殺すぞ」「家族も殺されるで」などの言葉を使ったりして、被害女児らを脅したといいます。さらに「言うこと聞いてくれたらお金あげる。500円でいい?」などと、“お小遣い”で被害女児を手なずけようとした場面もあったということです。▼母親に「ごめんなさい」と泣き続けた被害女児検察や被害者代理人の論告によれば、被害女児らは深刻な心の傷を負っています。ある被害女児は、被害に遭った直後、帰宅した母親に「ごめんなさい」と何度も言って泣き続けたといいます。現在もなお、就寝の際に照明を消せない被害女児や、男性に対して恐怖心を抱く被害女児もいるといいます。▼被告は最終陳述で “この先社会復帰が許されるのであれば、周りの人を幸せにできる存在になりたい”裁判で起訴内容を認めた柳本被告ですが、「犯行中に被害女児が痛がっているのを認識はしていたが、気持ちよくなっていると思っていた」などの旨の供述を展開。最終陳述では「法廷で被害者側の声を聴き、自分が犯したことの重大さを再認識させられた」と述べた一方、意図は判然としなかったものの「(刑を終えて)出所してからが第2の懲役になる」と述べ、「もしこの先社会復帰が許されるのであれば、周りの人を幸せにできる、そんな存在になりたいと思う」という趣旨の発言もしていました。▼検察の求刑通り無期懲役の判決2月18日の判決で大阪地裁(伊藤寛樹裁判長)は、「同時並行で複数の女児の行動確認を行い、随時犯行の標的を切りかえるなどして実行の可能性を吟味するなど、著しく高度の計画性を備えた犯行。卑わいな文言を申し向けて、女児に復唱させるなどの凌辱行為も卑劣・悪質の極みに属する」と糾弾。「個別に見ても重い部類の性的加害が、長期間にわたり数多く積み重なっている以上、総合評価する際に非難の上限を低くするのは適当ではない。評価に見合う処罰を、有期懲役刑の範囲内にとどめるのは困難」として、検察側の求刑通り、柳本智也被告に無期懲役を言い渡していました。▼被告本人が控訴大阪地裁によりますと、控訴期限だった3月4日、判決を不服として柳本被告本人が控訴したということです。大阪高裁で控訴審が行われることになります。