朝食を食べずに、あまり動かない生活をすると“ぽっこりお腹”の内臓脂肪型肥満につながるとの研究結果が発表されました。名古屋大学大学院の小田裕昭准教授に詳しく聞きます。
【写真を見る】“ぽっこりお腹”の原因は「朝食抜き」!?カギは『体内時計』論文発表の研究者が解説【ひるおび】
腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上あり、かつ血圧・血糖・脂質のうち2つ以上が基準値から外れるとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と診断されます。このメタボの該当者の割合(予備群も含む)は、女性よりも男性の方が多く、40歳以降割合が増えていくのがわかっています。
これまでメタボの原因は「食べ過ぎ」、「油の摂り過ぎ」と考えられていましたが、この内臓脂肪がなぜ蓄積されていくのかというメカニズムは不明でした。
名古屋大学大学院の小田裕昭准教授らの研究がイギリスの科学雑誌に掲載されました。「朝食を食べない生活」に加え、「あまり動かない生活」を送り続けると、ぽっこりお腹の原因になる(内臓脂肪が蓄積される)というものです。
研究ではラットによる実験が行われました。「朝食ありのラット」と「朝食抜きのラット」が活動量を半分に制限して生活を送った結果、体重に変化はありませんでしたが、「朝食抜きのラット」に内臓脂肪の蓄積が認められました。
恵俊彰:なんで食べないのに内臓脂肪がたまるんですか?
名古屋大学大学院 小田裕昭准教授:これは『体内時計』が崩れることが原因だと考えています。
小田准教授の研究によるとー
朝食を抜く生活をする⇒『体内時計』が乱れる⇒臓器の働きに影響⇒脂肪が燃焼されにくい
その結果、脂肪がどんどん蓄積されていくといいます。
名古屋大学大学院 小田裕昭准教授:『体内時計』といいますと、通常朝日を浴びてリセットされると考えられていますが、実際にはそれでコントロールされるのは脳の時計です。首から下の時計は食事によって初めてリセットされるので、朝食を食べないと脳が起きていても、体が起きていないという状況になります。体の中にはたくさんの時計があり、オーケストラのように音楽を奏でているんですが、それぞれがバラバラに演奏してしまうような状況が生まれているということです。
●日光を浴びる●きちんと朝食を食べることで『体内時計』がリセットされ整えられます。規則正しく、活動的な生活を心掛けましょう。また、「夜食」は体内時計を狂わせる要因となるので、避けた方が良いそうです。
朝食に必要な栄養素を、管理栄養士の渥美まゆ美氏に聞きました。【炭水化物】ごはん・パン・イモ・シリアル
【たんぱく質】魚・納豆や豆腐などの大豆製品・肉・たまご・乳製品
【ビタミン・ミネラル類】野菜:トマト・ブロッコリー・ほうれん草果物:バナナ・キウイ海藻類:めかぶ・もずく・乾燥わかめ
皆川玲奈アナウンサー:忙しい時はパン1枚などでも良いのでしょうか?
名古屋大学大学院 小田裕昭准教授:ある程度しっかりと食べないと、主に内臓の体内時計がリセットされません。重要なのは炭水化物ですが、炭水化物とタンパク質をある程度の量食べた方がいいと思います。
恵俊彰:今日僕は朝食にカレーパンと果物で、タンパク質を食べなかったんです。
名古屋大学大学院 小田裕昭准教授:体内時計をリセットする意味合いでは炭水化物で十分と考えられますが、筋肉を作る意味合いでは、たんぱく質が非常に重要です。どうしてもたんぱく質が少ない朝食が多いので、意識して摂った方がいいと思います。
コメンテーター 井上咲楽:私は食べない派ですね。コーヒーだけです。睡眠時間を優先したくなっちゃうんですよね。
名古屋大学大学院 小田裕昭准教授:若い人、20代30代で特に男性は朝食を食べない人が多いんですが、今そういう人たちが中年期になって少しメタボになりやすいんじゃないかという研究も出始めていますので、今は良くても、今後もしかしたら問題になってくるかもしれません。生活のリズムを改善することも重要ですけれども、まず、朝食を食べるということで1日が始まると思った方がいいと思います。
(ひるおび 2025年3月6日放送より)==========<プロフィール>小田裕昭氏名古屋大学大学院 准教授「お腹ぽっこりの原因は朝食なし+不活動」を研究イギリスの科学雑誌に論文を発表