〈AIで生成してない………?〉〈なんの参考にもならない〉──美容院がネット上で公開しているヘアカタログに対して、怒りの声が噴出している。日進月歩でAI技術が発展する今、“この画像は生成AIによるものだ”と断定することは難しくなっている。問題となっている画像を見てみると、カラフルに髪を染めた女性の背景になぜか赤い提灯が映り込んでいるなど、たしかに不自然な点がある。
【写真】〈AIで生成してない………?〉問題となっている画像、背景になぜか赤い提灯が映り込んでいる等、不自然な点がある
美容業界でも活用されているAI技術。直近ではユーザーのニーズと合致しない使い方もされているという。ファッション誌の編集者が解説する。
「AIを利用すれば、ヘアスタイルのイメージ画像が簡単に作れて、サロンモデルなどのコスト削減に繋がります。そのためAIの使い方を学ぶ美容師や、ヘアサロン向けのAI画像サービスなどが増えています。
ただ、ヘアスタイルのイメージを共有するぶんにはAI画像は有用なのですが、『このサロンの美容師は、この通りのヘアスタイルにする技術を持っている』という情報としてヘアカタログを捉えているユーザーは、“参考にならない”と悪印象を抱きかねません。
実際、日本最大級の検索・予約サイト「ホットペッパービューティー」は、『再現性がない』として、AIによるスタイル画像の使用を禁止しています」
「ホットペッパービューティー」を運営する株式会社リクルートの広報部に、AIをめぐる広告表記ルールについて問い合わせたところ、「広告作成に関するルールにつきましては、一般には非公開とさせていただいておりますため、ご提供いたしかねます」との回答だった。しかし、昨年2月より広告表記ルール内にAI画像/動画についての条項を追加したことは認めた。
「『ホットペッパービューティー』では、スタイル画像はユーザーがスタイルやスタイリスト、サロンを選択する際の判断材料とするため、情報が正しく伝わることを重視しております。そのため、掲載するイメージ写真は一定の制限を設けており、現時点では生成AIの画像掲載を禁止しています。
また、店舗様にもこのルールを周知し、掲載を行わないようお願いしております」(リクルートの広報担当者、以下同)
とはいえ、AI画像対策は試行錯誤が続いているようだ。
「AI技術は日々進化しており、現時点ではAI画像を完全に識別する方法が確立されていないのが実情です。そのため、引き続き適切な対応を検討し、ユーザーの皆様に信頼できる情報を提供できるよう努めてまいります」
生成AIをめぐっては著作権侵害やデマ情報拡散などのリスクが指摘されており、今年2月末には、政府がAIに特化した新法案を国会に提出したことが大きな話題となった。AIを使いこなせば業務効率化に大きく役立つ一方でリスクも多いため、各業界が対応に苦慮しているのが現状だが、美容業界もその例外ではないようだ。