2023年7月、札幌市・ススキノのホテルで頭部を切断された男性の遺体が発見された事件。逮捕された親子3人のうち、殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪に問われている父・田村修被告(61)の第7回公判が、2月4日に札幌地裁で開かれた。
【写真】独特な色使いの「美女」や「モンスター」…田村瑠奈被告がコンテストに出品していたミニチュアフィギュアなどの塗装作品。他、瑠奈被告が飲んでいた「目玉テキーラ」など
これまでの裁判を通して、殺人や死体損壊などの罪に問われている娘・田村瑠奈被告(30)の“夜遊び”の実態も明らかになった。瑠奈被告は、2023年5月28日、ススキノの有名なダンスクラブで被害男性Aさんと出会い、その日に肉体関係を持ち、トラブルになった。
その約1か月後の6月下旬、瑠奈被告は、クラブで意気投合したというまた別の男性とホテルに行っている。全国紙の社会部記者が解説する。
「修被告は、娘の夜遊びを車で送迎したというのだから驚きです。また、瑠奈被告は、『ドンキに行ったがムチはなかったので、その人のベルトで叩いた』など、その男性とSMプレイを楽しんだことを両親に赤裸々に報告したそうです。なんと使用済みコンドームを自宅に持ち帰ったともいいます」
第7回公判では、弁護人が“ホテルに行った娘を待つ心情”について修被告に尋ねた。
修被告「(瑠奈は)10年来の引きこもりで、自発的に何かしようとしている。周りからは奇異な目で見られても、親として考えてやりたい思いでした」
早朝、ホテルから出てきた瑠奈被告を自宅に送り届けた後、修被告は仕事に向かった。そんな無茶苦茶なスケジュールも「そうしてあげたかった」と娘を思う一心だったようだ。
瑠奈被告は、中学から不登校になり、18歳ごろから自宅に引きこもるようになった。繊細な娘の心を守ることは一家の最優先事項だったが、両親ともに“言いなりではなかった”と主張している。弁護人の「瑠奈の要望で断ったことを挙げてほしい」という質問に対して、修被告は、「6月26日に東京のM男と『(ホテルで)もっと長くやりたい』と言うのを『明日の仕事に支障があるから短くして』と言った」と答えた。
また、総額1000万円を超えるほど大量の高級ドールを買い与えた理由を説明しながら、修被告が涙する場面もあった。
修被告「理由はふたつあります。ひとつは、お気に入りのドールを見ていると心が休まる。(瑠奈は)よく『早く死にたい』などと言うので、生きる糧になってくれたらと。
ふたつめは、入手したドールをメイクする。『死にたいけど、(ドールを)きれいにするまで死ねない』と言い、(涙声になりながら)ドールがある限り生きていてくれると思って購入していました」
修被告によると、たとえ瑠奈被告が興奮状態だろうと要望を断ることはあったという。
弁護人「興奮時は瑠奈の言うことをなんでも聞くか?」
修「できないことはできないと言います。興奮が収まるまで離れるし、瑠奈も『出ていって』と言います」
弁護「瑠奈は『自分を殺せ。それがあなたのresponsibility(責任)だ』と言っていたようだが」
修「それはできませんと(言った)」
弁護「(瑠奈が)興奮していても、できないことはできないと言っていた?」
修「はい」
全てが言いなりではなかったとしても、十分奇妙な親子関係のように感じられる。歪な家庭の根底にあるのは、娘を思う親心だったのか。