先日、お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまが公式YouTubeにて、「この度、オンラインカジノにまつわる事情聴取を受けたという記事により大変お騒がせしてしまい大変申し訳ございません」と謝罪した。
【映像】高比良くるまのYoutubeでの釈明コメント
違法なオンラインカジノへの関与。今月、吉本興業の芸人らがオンラインカジノに関連した捜査で警察から事情聴取を受けており、高比良もその1人だった。YouTubeでは2019年末に大学時代の知人から誘われたことがきっかけだったと説明し、違法ではないという認識だったと釈明。
近年、警察はオンラインカジノの取り締まりを強化している。一方、Xでは「オンラインカジノがダメでIRならOKという理屈が解らない」「IRカジノ合法化なんて言うから勘違いしてオンラインカジノやるヤツいる」との疑問の声が…。『ABEMA Prime』ではオンラインカジノについて、専門家と共に考えた。
今回の事情聴取について、コールグリーン法律事務所代表、弁護士の津田岳宏氏は「個人的にはかわいそうだと思う。オンラインカジノは、2022年10月に警察がオンラインカジノは犯罪だから捕まる、とHPで告知した。高比良さんがやっていたのは、2019年から2020年なので、その頃は告知していない。オンラインカジノは海外では合法、その胴元は日本の警察は捕まえられないという特殊性がある。このような特殊事情がある中で、高比良さんも違法じゃないと認識していたと思う」と話す。
そもそも、オンラインカジノが日本でスタートしたのはいつなのか。ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子氏は「2012年くらいだ。私たちの相談の現場にも2018年頃には全体の4%くらい来ていた」と答えた。
2024年のオンラインカジノ摘発者数は279人で、2023年に比べて3倍となっている。急激に増えた理由について、津田氏は「警察のキャンペーンだ。2022年10月に警察が告知したにも関わらず、違法だと認識していない人がたくさんいる。警察からすると当然警鐘を鳴らしていきたい。国民全体に周知徹底させていくために検挙された数が増えた」。
オンラインカジノ誘導の手口は、「ライセンスを受けている」「違法ではない」などの安全を謳う宣伝文句に、有名人が無料版の広告塔。また、「50回無料」「2万円分サービス」など初回特典で誘導を促す。そして、無料版を試してもらい海外のサイトを経由した「有料版」へ誘導させる。
田中氏は「政府は無料版がOKと言っていないが、明文化していない」とした上で、「課金した瞬間、違法になる。そもそも無料版だけだと商売にならないから、有料版に誘導する。また、有料版と無料版は同じ名前だから、検索したら有料版が出てくる。こんな詐欺手法をOKとしていいのか、国会で明文化するべきだ。業者側が勝手に『無料版はOKだよね』と言っているだけだ」と訴える。
明文化しない理由については、「(オンラインカジノは)複雑じゃないか。だから政治家の先生が理解できないということもあるんじゃないか」と推測した。
津田氏は、警察が規制しようとしていることについて「『お金をかけてプレーする行為』と『それをあからさまにやっちゃう行為』なんじゃないかと思っている。これは賭博罪の伝統的な規制に対するやり方だ」。
また、「法律が全然追いついていない」といい、「刑法が作られたのは明治時代だ。オンラインはその時代の人からしたら“どこでもドア”みたいなもの。日本にいて、外国、ヨーロッパで賭博ができると言っても、『はあ?』となるだけだ」との見方を示した。
日本のオンラインカジノ利用者数は200万人以上と言われ、国内からのアクセス数は世界3位(『第211回 国会参議院質問主意書』より)。実際、被害にあってる人について、田中氏は「若い人たちで、スマホに長けている人たちだ。早い子では高校生であっている。それで追い詰められていった子が闇バイトとかに行っているので、その子たちを大人がしっかり守らなきゃと思っている」。
国がIRを進めている中、オンラインカジノはダメだと言っている現状について、津田氏は「私からすると賭博とはそういうものだ。薬物とはちょっと違う。徹底的に駄目というわけではなくて、この程度までは許してあげると警察や政府が決められる。そもそも競馬だってはるか昔は違法で、違法、黙認、公認という段階を踏んでいる」と語る。
賭博の性質上、アウトとセーフのラインを明確にできないのか。「全面的に禁止してしまうと、必ず反社会的勢力が出てくる。いわゆる風俗店と一緒だ。禁止してもユーザーはいるから、結局すべて反社会的勢力が資金源として取り込んでしまう。国が、この程度まではやってもいいよと決めて、そこに対してコントロールを加えていく。これが賭博に対する行政の伝統的なあり方だ」。
また、規制を厳しくした場合でも、「恐らく反社会的勢力が抜け道みたいなサイトを作る。そこはアルカポネの禁酒法時代の話と一緒で、規制しすぎてしまっても駄目だ。かといって野放しにもできない。絶妙な塩梅みたいなのがある。それを決めるのは警察だ」とした。
(『ABEMA Prime』より)