「MU-TON(ムートン)」の名前で活動するラッパーの男・菅原勝也容疑者(30)が覚醒剤取締法違反の疑いで今月、逮捕されていた。菅原容疑者は即興でラップを披露するフリースタイルの評価が高く、数多くの全国大会で功績を収めてきた。ラッパー業界では一目置かれていた同容疑者は、警視庁の調べに対し「覚醒剤を使ったかどうかわからない。見えている世界が現実なのか妄想なのかわからない」などと供述しているという。いったい彼に何が起きたのか--。
【画像】人気ラッパー「MU-TON」が逮捕前にXに投稿した支離滅裂な言葉
社会部記者が解説する。
「菅原容疑者は2025年1月上旬から1月16日にかけて、東京都内や地元の福島県内で覚醒剤を使用した疑いが持たれています。菅原容疑者は16日、新宿区内のアパート敷地内を徘徊しており、目撃者が『全身黒い服の不審者が徘徊している』などと110番通報しました。
駆けつけた署員が職務質問して尿検査を実施したところ、覚醒剤の陽性反応が出ましたが、菅原容疑者はその場を立ち去り、福島県の実家にいるところを警視庁が逮捕しました。逮捕1か月前にも警察沙汰となるトラブルをおこしており、目をつけられていたのかもしれません」
逮捕される前の菅原容疑者は、評価が高いアーティストとしてラップ好きのファンの間で認知されていた。
「MU-TON(菅原容疑者)は即興でラップを披露するフリースタイルに定評がありまます。対戦形式で相手を言葉で打ち負かす『フリースタイルラップバトル』という競技では、数多くの全国大会で優勝するなど好成績を収めてきました。
その一つに、全国から集まったラッパーの頂点を決める大規模なMCバトルの大会“UMB”での優勝があります。ほかにも、地上波のフリースタイルラップバトルの番組『フリースタイルダンジョン』では、声の高さや強弱・速度に変化をつけるフロー、力強く歌う姿がかっこいいと人気が上がり、ファンも増えました。また一般的に、バトルが強いラッパーの場合、楽曲が売れている人は少ないのですが、MU-TONはリリック(歌詞)も自身で作り、楽曲も人気なアーティストとして有名です」(HIPHOPレーベル関係者)
菅原容疑者の人柄について、知人は次のように語る。
「一昨年は覚醒剤を使用している様子は全くなかったです。ですが、昨年の春ごろからラップバトルの大会を何回も無断で欠席するなどトラブル続きで、様子がおかしくなっていました。
周囲からは心配の声が上がっていましたし、半ば呆れている人たちもいました。疎遠になった友人たちもいると聞いています。本来、MU-TONはとても礼儀正しくて、飲み会でも、先輩に付き合って朝方まで一緒にいるほど気を遣うことができるような人間です。ただ、少し繊細な部分がありました」
その“繊細さ”は、今年1月にリリースしていた新曲にも見受けられる。
〈死にたいと思っている奴らシャブだけはやめとけ〉
〈あれは無駄に自信ついて死にたくても死ねなくなる〉
歌詞のなかでは何度も“死”という言葉をつかっていた。
新曲を発表後、今月の逮捕前の最後となった16日のInstagramの投稿では、意味の通らない文言を何回も綴っていた。
〈何も知らない皆さんへ 自分は目で見ただけで影を操って物質を変化させれます 明日世界で絶対触れない物が一つ変わってます 本当に変わってたら自分という存在を認めてもらいたい お楽しみに〉
また同日、今回の逮捕の決め手となった薬物検査らしきことにもSNSで言及していた。
〈昼からずっと俺の上飛んでるヘリコプター どこ行けばいいかなんかしらの方法で教えてくれ さっき東京警察病院で強制的にカテーテルやられて多分精子ちょっと抜かれたけど大丈夫〉
〈あいつら大きな勘違いをしている 俺の勝ちだ 明日から幸せな世界が始まるぜ あとやっぱり俺は人を傷つけらんなかった〉
意味不明な文章をいくつも投稿していた菅原容疑者。
前出の社会部記者が明かす。
「菅原容疑者は警視庁の取り調べに対し、『覚醒剤を使ったかどうかわからない。見えている世界が現実なのか妄想なのかわからない』と供述しているとのことです」
現実か妄想かわからないままXに投稿してしまったのだろうか。
友人のラッパーで、菅原容疑者とともに楽曲を作ったラッパーのSILENT KILLA JOINTは22日、Xを更新し、こうエールを送っている。
〈どんだけ嘘つかれても今までこいつと過ごした時間が楽しかった。 友達がおかしくなっていくのは見てられなかったし何回も止めた。俺は後悔してる。でもここから地獄の始まりだ。頑張ろうな〉
ラッパー仲間やファンらはMU-TONの再起を願っているが、まずは現実と向き合うことを願いたい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班