年末年始など地元に帰省するタイミングで、中学校や高校の同窓会が開かれる機会が増える。ともに過ごした思い出を語り合う時間を楽しみにしている人もいるだろう。
かつて憧れた異性の同級生との再会への期待にも胸が躍るだろうが、あまりに親密になりすぎることにはリスクもある。
弁護士ドットコムニュース編集部には「同窓会をきっかけに不倫をした」との体験談が届いている。男女トラブルに詳しい弁護士のもとにも、同窓会をきっかけとした不貞行為の相談事例が複数寄せられるという。
弁護士は「同窓会では異性が輝いて見えることがある」として、不貞行為に及んだ場合に慰謝料請求を受けるリスクにも警鐘を鳴らす。
「同窓会不倫」をテーマに読者に体験を求めたところ、弁護士ドットコムのLINEに多くのエピソードが寄せられた。同窓会は「恋愛の場」として機能しているようだ。

「先日参加した同窓会で、学生時代パッとしなかった男の子が、かっこよくなってて、有名企業に勤めていて、去年結婚したらしい。思いがけず、ときめいてしまった」(20代女性)
恋愛から結婚に至るケースもあるという。
「中学時代の同窓会がきっかけで結婚した独身の組み合わせが3組ありました。30代の頃でした」(50代女性)
「同窓会で再会し結婚に至りました。卒業後8年目のことです。同窓会大事ですよ」(プロフィールの記載なし)
しかし、独身者同士の恋愛や結婚ではなく、既婚者の不倫に発展することもある。
男女問わず、多くの体験が寄せられた。
中学の同窓会で毎年幹事役をつとめている60代男性のAさんは、10年以上前に独身の同級生と交際に発展したという。
「同窓会に参加できなかった彼女と、数日前にお会いすることになり、そこからお付き合いしました。当時は出張族だったため家族にバレることはありませんでした」(Aさん)
5年以上前の中学の同窓会で火がついたのは「10クラスあったマンモス校」出身の50代女性Bさんだ。
その場では同級生と楽しく話すだけで終わった。しかし、それから作られたFacebookのグループを通じて「会いたかった男子と繋がり個人的に会うことに」なったという。
ともに既婚者だったが、女性から思いを伝えて、年に5回ほど会う男女関係に発展し、今でも続いているという。
「他にも2人の男性とワンナイトしました。同窓会をきっかけに個々に連絡先交換し、その後も小さな同窓会が行われ参加してると、個別で飲みに行くことが増えました。その延長で、ということが多いです」(Bさん)
共学ではなく、女子校の同窓会でも「不倫」に発展したと明かしたのは、40代女性のCさんだ。
昨年の同窓会のあと、女子校時代に交際していた同級生と飲みに行き、そのまま一夜をともにしたという。
相手の彼女にバレるまで、2人の関係は再燃した。Cさんの夫は何も知らないそうだ。
「相手が女の子だったので私の主人にバレることもなく、嘘もつく必要なくお泊まりできて楽しかったです」

「素敵な思い出だったけど、元夫に知られていたら…。どんなことがあっても不倫はダメです」と自らを戒めるのは60代女性のDさん。
20年ほど前の同窓会で再会した男性と交際した。Dさんは当時既婚者で、男性は独身だった。
週に2回は逢瀬を楽しみ、結婚を考えるほどの関係だったが「いつ元夫にバレるかと疲れてきた私から別れを切り出した」ことから終止符を打ったという。
「彼氏からもらった私の誕生石である高純度の素敵なサファイアのネックレスをバースデープレゼントにもらいました。大好きで現在も持っています」
宝石と思い出だけはきれいだが、もし不倫関係がバレていたら、法的な責任を追及されていた可能性がある。
「元夫に知られていたら、私の現在の平和な年金暮らしは実現していません。離婚後も色々なご縁がありましたが、いくら素敵な人でも、既婚者の場合は『離婚して綺麗な戸籍になってから、その時にまだ私に想いがあったならばまた私も考えます!』ときっぱりと伝えています」(Dさん)
既婚と独身、さまざまな事情を抱えながらも、仲が縮まりやすい同窓会には「不倫」に陥る危険性もある。

独身の40代女性Eさんは「5年ほど前に高校の同窓会が開催されたが、ハガキが来た時点で断りました」と明かす。
「かつて好きだった人と再会した時、相手が既婚者だったら切ない思いをするのが嫌だったから。不倫を未然に防ぐためには、相手の状況や自分の気持ちを考えて行動したいです。 自分の精神衛生上、行かなくてよかったと思いました」
同窓会をきっかけとして、不倫やトラブルに至る男女は少なくないようだ。男女問題にくわしい近藤美香弁護士の元にも、そうした相談が寄せられるという。
「不貞行為に関するご相談の中に、同窓会がきっかけで出会ったという事例は複数あります。同窓であるという安心感から、短時間で親密になる傾向があるようです。
不貞行為は、民法上の不法行為に該当しますので,不貞行為を相手の配偶者に知られてしまった場合は、慰謝料を請求される可能性があります」(近藤弁護士)
相談を受けてきた経験を踏まえて、「同窓会不倫」について注意を呼びかける。
「育児などが一段落して、夫婦関係もマンネリ化しているタイミングで同窓会に参加すると、配偶者以外の異性が新鮮で輝いて見えることも多いようです。
しかし、不貞行為は、配偶者だけでなく、家族全員を深く傷つけてしまうことが多く、とりかえしがつかないこともあります。
久しぶりの出会いを楽しむことは素晴らしいと思いますが、一時の感情に惑わされず、大人として節度ある言動を心掛けることをおすすめします」(近藤弁護士)
【取材協力弁護士】近藤 美香(こんどう・みか)弁護士弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでのキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。事務所名:エトワール法律事務所事務所URL:https://etoile-lawoffice.jp/