扶養控除103万円の壁に注目が集まっている。
少子高齢化に伴い労働者人口が劇的に減少、物価高騰や教育費が値上がりするなか、従来どおりの賃金のままでは暮らすだけでも精一杯の状態に、103万円の壁の引上げは喜ばしいニュースと捉える人も多いだろう。
石破首相は、昨年に岸田内閣が表明した最低賃金の全国平均を1500円に引き上げるという2030年までの目標を2020年代には実現すると明言。2025年の春闘を待たずに賃上げを示した企業も多く、経団連も賃上げ定着は社会的責務として、さらなる値上がりが目されている。
老若男女問わず、誰もがより多くをもらえる給与体系に期待値が高まる一方で、埼玉県在住の専業主婦、マリコさん(仮名、40代)は労働は割に合わないと一刀両断。変わりにSNS等でみつけたサンプル品をもらうことで節約を試みた女性だ。
週末ごとにイベントに出向き、効率よく会場を回ることで大量のサンプル品を入手。夫も大喜びで嬉々として出かけていたが、自宅にたまる大量のサンプル品をもっと有効活用しようとフリマアプリで売却することを思いつく。
「使わないまま自宅に眠らせておくくらいならフリマアプリで売っちゃおうと思ったんです。ほしい人にお譲りできたらいいなと思っていたので、高額での出品はしていないですが、塵も積もれば山となるで、これが意外と良い収入になっているんです」
マリコさんの話によると、抽選やイベント等で配布された物品は自分で使うことが前提で、転売して利益を得ることは利用規約違反に該当する。具体的な罰則は不明とのことだが、出入り禁止や物品の返却などが考えられ、いまのところマリコさん自身に罰則の連絡はなく、本人も「転売をやめる気はない」と開き直る。
とはいえ、マリコさんの試供品を転売には疑問が残る。
企業側としては試供品はあくまで「気に入ったら購入を検討してほしい」または「正式に店頭に並ぶ前段階の試験的な商品」などの理由があって配布している事情がある。
仮に試供品そのものになんらかの問題があった場合、クレームは転売したマリコさんに向かわず企業側に向かってしまうのが一般的だ。
フリマサイトに試作品、試供品といった言葉はふせて「新製品」や「限定品」などの文字を目立たせ、金額も安ければそれに飛びつく購入者もいるだろう。それによって、企業側がユーザーに対する「安心と安全」は担保できず、その結果、商品のブランドや企業の価値や評価を下げてしまうことにもつながる。
さらに購入者側にとっても、万が一のことで健康を損ねる可能性があり、その保証もないためマリコさんのような販売者から購入するするのは危険だ。
つまりマリコさんの行為は、「まずはお試しでみなさんに使っていただいて」という好意を逆手にとり、かつ購入者に対しても配慮のない悪質な行為とも言えるのだ。
しかしマリコさんはそういったことはまったく意に介さない様子で嬉々として話す。
「仕入れ0円なのでどんなに安くてもプラスになる。いくらで売れても良いのでそれも気楽でした。タダで貰ったものを使えば生活費が浮く、不要なものを売れば利益になる、一石二鳥で最高です。フリマアプリでは月3万円ほど利益もでて、ようやく数年ぶりに貯金ができました。
サンプルをもらうようになってからは日用品も買わなくなり、月で1万円くらいは節約になっていると思います。特にシャンプーは家族全員が使えるので本当に助かっています」
これに味をしめたマリコさんは、さらに家族でイベント巡りをすれば4倍になると思いつく。さっそく夫に話すとすぐに快諾。そこからマリコさん家族の週末イベント巡りが始まった。
イベント巡りでは新製品や期間限定の食べ物や飲み物をもらえることもあり、都内に家族で外出しても出費が抑えられる。普段はめったに出かけない一家にとって、この「お出かけ」に子どもも喜んでいるそうだ。
万が一のために持参した手作りおにぎりと水筒を広げて、都心の大きな公園で家族全員で食べるおにぎりは美味しかったと話していた。
「毎回、人数分サンプルを貰うことができました。SNSフォローで貰えることも多いので、子どもに古いスマートフォンを持たせて、専用のSNSアカウントを作りました。
家族総出でサンプルめぐりをしたおかげで、転売も月10万円以上のプラス、そのお金で子どものゲームやおもちゃを買えるようになって、確実にお金に余裕ができたんです」
そんなマリコさん一家に白い目を向ける人たちも当然いる。
「都内のイベントなのでたくさんの人がいますが、毎週のように巡っていると顔見知りが増えていきました。特に交流はないのですが、顔を見たらお互い、『またいるー』って思う感じです。
女性向けのフェムケアイベントに家族で参加した時には、私たちに聞こえるくらいのやや大きめの声で『男や子供が参加してどうするの?』『空気読んでほしい』『こじき』とか言われているのを聞いてしまいました。
その時はサンプル品を貰うのに必死だったので気に留めてはいなかったのですが、帰宅後に夫が『参加するイベントは選ばないといけないかもね』『こじきかー、まぁその通りだけど』とつぶやいていました」
毎週のように都内でイベント巡りをしているので、子供たちも「今日は何がもらえるかな?」「今日もたくさんもらえたね!」と周囲に人がいるにも関わらず、大きな声で誇らしげに言うようになった。
マンションには同じ学校の家庭も多く、家族全員がパンパンになったエコバッグを抱えて帰宅する姿を目撃されているかもしれない、フリマアプリの発送で大量の荷物を持ち出しているのもわママ友に知られているかもしれない…。マリコさんはだんだん恥ずかしい気持ちになっていった。
自尊心に負い目を感じたマリコさんだが「でも、やめるわけにはいかないんです」と話す。
「サンプルのおかげで生活はかなり潤っています。貯金額は半年で30万円弱になりました。働かずに生活が潤ってなおかつ貯金ができているんですよ? パート求人を見ることもありますが、イベント巡りのほうが後ろ指を刺されたとしても楽です。
家族で参加すると目立つことが分かったので、最近は私一人で参加したり、サングラスや帽子を被って変装するなど工夫もしています。かなり歩くので健康的、40代の私よりも年齢の高い参加者も多いです。できる限り、家族のためにも続けていきたい」
マリコさん自身は周囲にバレているかもしれないと思ってはいるようだが、現実は気づかれている可能性が非常に高い。
さらに近年では転売ヤーの存在が問題視されており企業側もその措置を厳しく設けている可能性もある。違反行為の企業体制はそれぞれだが、マリコさんが半年で貯めた”30万円”より高額の違反金などを求められる可能性もある。タダより高いものはないのだ。
転売行為で利益を得ること、使用目的以外でのイベント参加は利用規約違反だ。自分さえよければいいという考えは非常に危険だ。
様々な事情から働きに出ることが難しい人もいるかもしれない。しかし違反行為に該当する利益の得方は良くない。自分自身の行動を一度見つめなおし、不当に得た利益で本当に家族が喜ぶのかを冷静になって考えてみてほしい。
…つづく<私は妻の奴隷です…財力につられ「地主の娘」と結婚した男性の末路…楽しみは夜の生活だけ、毎日監視されている>では、付き合っている彼女から、裕福な女性に乗り換え逆玉に乗った男性の「息苦しい生活」を明かします。
私は妻の奴隷です…財力につられ「地主の娘」と結婚した男性の末路…楽しみは夜の生活だけ、毎日監視されている