顧客の理不尽な言動が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」として社会問題となり、2022年には厚生労働省がカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを公開。国をはじめ、自治体や企業もカスハラ対策に乗り出している。
スーパーやコンビニなどの多様な雇用形態における労働者の課題を解決する組織「UAゼンセン」にてカスハラ政策に取り組み、流通部門で副書記長を務める波岸孝典氏に話を聞いた。そのうえで、カスハラの定義や現場のリアル、労働者や顧客として気をつけることなどを紹介したい。

東京都カスタマーハラスメント防止条例も含め、現時点でカスハラに対する罰則はないが、「こういった世の中の動きが、顧客が自らの言動に注意したり、安心安全な職場づくりに向けた企業による取り組みの後押しにつながったりしているようです」と波岸氏は言う。

◆企業が対策をするメリットと「いま」の理由

セクハラやパワハラ、そして今度はカスハラについての対応を求められている企業にとって、対策にかかる費用や人員は頭の痛い問題だろう。それでも、「カスハラ対策は企業側にとってもメリットがあり、多くの企業が準備中のいまがチャンス」だと波岸氏は話す。