目の水晶体が濁って見えにくくなる白内障は、高齢者に多く発症します。症状は年齢とともに進行するのが一般的です。ところが、場合によっては急に症状が進むこともあります。
白内障の原因は老化だけに限りません。ほかの病気によるものや外傷性のものなどさまざまです。なかには急に進行するタイプもあり、年のせいと放置すべきではありません。
この記事では急に進む白内障について原因・症状・予防法を解説します。最近見え方が変わったと感じる方は、この記事を参考にしてください。
ステロイド薬
糖尿病
放射能
外傷・刺激
まずステロイド剤の副作用が挙げられます。全身的な病気の治療に使うステロイド内服薬や喘息の吸入薬による白内障の進行は早く、数ヵ月で症状が現れ1年で手術が必要になる例もあるほどです。また、糖尿病による高血糖の影響でも白内障がおこり、特に若い方で進行が早くなります。そして、放射線・紫外線被ばくでも水晶体に濁りが生じて白内障になり、進行を早める要因は被ばく量です。白内障は目に対する外傷・刺激でも発症します。アトピー性皮膚炎での白内障はステロイドの影響もありますが、目の周囲におこる炎症を掻く・叩くことも原因です。また、スポーツなどでの打撲による外傷性白内障もみられます。
視力が落ちる
視野が白くかすむ
薄暗く見える
夜に光をまぶしく感じる
ボケて見える
どのような症状が出てくるかは人により違いますが、初期には視力の低下が多くみられます。メガネの調整では改善せず、眼科で検査をして白内障が発見される事例が多いようです。水晶体が濁ることから白くかすむ症状は推察できる通りですが、それよりも光の透過度が落ちて薄暗く感じる症状の方が多くみられます。また、濁った水晶体内部で光が拡散するため、夜間に街路灯や対向車のライトをまぶしく感じる症状も特徴的です。進行にともなって水晶体が変形して屈折率が変わるため、対象がぼやけたり逆に老眼が改善する例もみられます。
白内障は80歳では100%の方が罹患するといわれ、珍しくはない病気です。ただし、生活には大きな影響を与えるため、決して軽視はできません。この記事では、白内障でも急に症状が進行する原因・症状を解説し、手術や使用するレンズについても詳しくみてきました。急に症状が進むと心配しますが、それぞれ適切な対処法があり、最終的には手術ができるので深刻なことにはなりません。手術は健康保険が適用され、安全で短時間でできるようになりました。また、早期発見できれば薬で進行を抑える方法もあります。どちらを選ぶかの検討には、この記事を参考にしてください。
白内障と疫学研究|日本白内障学会
白内障手術と眼内レンズ 眼内レンズを上手に選ぶために|公益社団法人 日本眼科医会
眼内レンズの問題点|日本白内障学会
多焦点眼内レンズの費用|日本白内障屈折矯正手術学会
白内障の手術|公益財団法人 日本眼科学会
白内障手術
白内障を予防するには|日本白内障学会
白内障の治療|公益財団法人長寿科学振興財団
白内障とQOL|日本白内障学会
白内障とは|国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院
東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。