“アウトロー系”と呼ばれる投稿を行い、フォロワー91万以上を誇るインフルエンサー集団「Z李(ジェット・リー)」を運営していたとされる田記正規容疑者、宿輪幸治容疑者ら5人が、住居侵入の疑いで逮捕された。
【映像】逮捕されたZ李メンバー(実際の映像)
Z李は、競馬や競艇、競輪など公営ギャンブルの予想などをする総合ばくちサロン「新宿租界」を主宰するほか、犯罪への関与がうわさされる人物の暴露をふくめた追及を行うなどで話題になった。一方で、保護猫や、ひとり親家庭の支援、路上生活者への炊き出しなどの慈善活動も行っている。
ネット界隈に詳しい文筆家の古谷経衡氏は、「新宿租界が好きで、よく見ていた。“ネットアウトロー”の一種だ」としつつ、「アングラ情報とかアウトロー情報を自分なりに書くみたいな人は、山のように存在する」とも語る。
古谷氏によると、「暴力団関係だと(ジャーナリストの)溝口敦氏という大御所がいるが、溝口氏がZ李を引用している記事は読んだことがない。たぶん溝口氏の視野に入らず、信用もできないからだ。本当に裏社会を知っている人は、本名で(本を)書いている」という。
また古谷氏は「犯罪=こっそりやるもの」といった概念が通用しなくなり、法や制度が想定しない現象が、ネットを介して公然と行われ始めていると指摘する。「“つばさの党”みたいな感じで、『罰金を払えば売名になる』みたいな、道徳観や倫理観がぶっ飛んでいる人が一定数いる。Z李も90万人に見せていたのが信じられない。常識がぶっ壊れている」。
「つばさの党」代表の黒川敦彦被告は、4月の衆議院補欠選挙で、他候補を妨害したとして起訴されたが、11月の初公判では“政治的表現の自由”を理由に、無罪を主張している。
想定されていない現象は、2023年末に川崎市の多摩川で発生したスーツケース死体遺棄事件でも起きていた。被害者が動画配信者だったこともあり、警察の取り調べを受けた配信者たちが、その内容を配信したため、捜査状況が外部流出すると判断した警察が、関係者への聴取を一時中断した。古谷氏は「(警察が)野に放つことは絶対にしない。見せしめだ」と指摘する。
Z李について、元徳島県警警部の秋山博康氏は「警視庁だけでなく、複数の警察署が合同捜査本部を作り、余罪をふくめて捜査を進めている」と見ている。
住居侵入から2年後の逮捕となった理由として「住居侵入罪は入り口」との見解を示し、「警視庁の暴力団対策課が主で捜査している。しかも警視庁の全102署中20署との合同捜査だ。これだけ大きな捜査本部で住居侵入罪での逮捕はあり得ない」と説明する。「暴力団対策課が捜査するということは、暴力団関係者だ。後に組織犯罪として大きな事件で再逮捕、さらに共犯者も増えた上での逮捕になる、それを見越して大きな捜査本部を構えている」と推察した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)