北海道江別市の公園で10月下旬、男子大学生が交際相手の女子大生ら6人に集団リンチを受けて死亡した事件は、今年発生した事件の中でも凶悪さが際立っている。ハタチの仲良し女子大生コンビと年下の少年たちが徒党を組んで犯した蛮行は世間に大きな衝撃を与えた。逮捕から1か月、再び現場を歩いた。
〈画像〉年下彼氏Aと川村容疑者のラブラブ写真
事件は10月26日早朝、江別市文京台南町公園に大学3年生の長谷知哉さん(20)=千歳市=が全裸で倒れているのを通行人が見つけて発覚した。全身アザだらけの長谷さんは病院に搬送されたがまもなく死亡。死因は外傷性ショックだった。
道警は長谷さんの交際相手の八木原亜麻(20)とその友人の川村葉音(20)両容疑者=ともに江別市在住の大学生=、川村容疑者の交際相手のA(17)をはじめとする16歳から18歳の少年4人=いずれも札幌市=を傷害致死容疑で逮捕。
さらに長谷さんからキャッシュカードやクレジットカードを奪って現金を引き出したり買い物をしていた疑いが強まり、道警は6人全員を強盗や詐欺などの容疑で再逮捕した。八木原と川村、Aの3容疑者は同じコンビニで働くアルバイト仲間だった。
「これまで報じられている通り、長谷さんから持ちかけられた別れ話に八木原容疑者が納得せず、それに加勢した川村容疑者が年下彼氏のAら少年4人と徒党を組んで公園で暴行したことに始まります。
当初の目的は不明ですが、女子大生コンビは途中、長谷さんに『カネ払え』などと脅迫してカード類を含めて身ぐるみ剥がした末に暗証番号を聞き出し、現金12万7000円を引き出して盗みました。
また、現場近くのコンビニで食料品やタバコ30箱以上を購入し、途中でエラーが出て使用不能になるまで決済を繰り返していました。さらに道警が捜査で押収したスマートフォンの中には、長谷さんを集団で暴行する様子を写した動画も保存されていた。悪ふざけでは済まされない凶悪犯罪です」(社会部記者)
女子大生コンビは釧路市出身で中学時代に同じ進学塾で学んだことから友人になった。その後、江別市内の別の大学に進学、実家を離れてアパート暮らしをし、同じコンビニで働いていた。事件発生から1か月あまり、釧路市内の2人の実家を訪ねたが、インターフォンを押しても反応はなかった。
一方、年上彼女の助っ人として犯行に加わったA容疑者の祖父母のもとを訪ねると、祖父が取材に応じた。Aの両親は離婚して久しいという。
「私は警察から何か聞いたわけでもありませんし、Aの両親からも何か聞いているわけでもありません。何もわからない状態なので話すことはありません」
最初は頑なだった祖父は、もう長いこと会っていないという孫について、こんな印象を漏らした。
「小さな頃はAもよくウチに来てごはんを食べていくということがありましたが、最近は会っていませんでしたので。報道で名前が出ているわけでもありませんし、私としてはわからないことは話せません。少なくとも私の知るAは優しい子でした。あんな事件を起こすような子ではありませんでしたよ」
事件に関与して逮捕された少年のうち、川村容疑者の「彼氏」というA以外は情報が公開されていない。取材班は3人の身元を特定しているが、そのうちの2人、C(18)とD(16)について共通の知人はこう語った。
「Cが事件前に『ムカつくやつがいるからボコろう』『一緒にこないか?』ってインスタのDMで仲間を集めていました。僕も声をかけられましたが、ガキっぽいし変に巻き込まれたくないので相手にしなかった。
Cは、イキっているようにしか見えないすけど、一応ヤンキーで、18歳にもなって恐喝とか『まだそんなことしてるんかよ』って感じのことをしてました。解体の仕事をやっていて、その出張から帰ってきたばかりで今回の事件って感じだったはずです。Dも現場系のアルバイトみたいのやってましたよ」
過去には少年野球に打ち込んでいたCだが、ここ最近は金髪にし、身なりも派手だったという。年下に“先輩風”を吹かしていたCは、弱い相手にだけ強かったそうだ。
「恐喝は、すすきのとか大通が多かったですけど、気弱な感じのやつを狙ってやってました。実際に見たこともあります。あいつ弱い相手にしつこくて、相手がギブアップしたらさすがに俺らが止めますけど、あいつはやり続けるタイプです。逆にDは普段ケンカはしないですね」
恋人の長谷さんが殴られるなか、八木原容疑者は「直接手を出さなかったが、他の容疑者の暴行を笑ったり、あおったりした」という。少年たちは見ず知らずの長谷さんを殴り、衣服までも剥ぎとり、金やカードも強奪、事件後は何食わぬ顔で過ごしていたという。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班