11月8日、厚生労働省は季節性インフルエンザが全国で流行期に入ったと発表しました。1医療機関あたりのインフルエンザの患者数は10月28日~11月3日で1.04人と、流行入りの目安となる1人を超えています。
【画像をみる】“トリプルデミック”の可能性も… インフルエンザ患者数の推移をみる
都道府県別で見ると、患者報告が多いのが沖縄県で1医療機関あたり10.64人。次いで静岡県が2.09人、千葉県が2.00人となっています。
例年より1か月ほど早い流行で、新型インフルエンザが流行した2009年に次いで2番目に早くなっています。※1年を通じて流行した2023年を除く
東京都北区にあるクリニックの伊藤院長も、「患者は11月に入って倍増した。例年に比べると1か月半ほど早い」と話しています。
恵俊彰:沖縄はまだ暖かい印象があるんですけど、流行るんですね。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:最近はインフルエンザは夏でも流行しますし、やはり旅行などで人の動きが大きいですよね。
インフルエンザの主な症状は▼発熱▼頭痛▼のどの痛みなどですが、伊藤院長によると今年増えているのが「熱が出ないインフルエンザ」です。去年の大流行で、1シーズンのうちに2、3回インフルエンザにかかった人が多く、免疫が残っていて「熱なし」「軽症」となる場合があるのです。
熱が出ないことで病院の受診やインフルエンザの検査に至らず、治療をしないまま他の人にうつしてしまうことも。伊藤院長は、たくさんの人に広がることで見えない感染拡大につながることを危惧しています。
恵俊彰:熱が出なくてもインフルエンザなんですか?
伊藤院長:インフルエンザがただ付着していて発症していないという場合もあるんですけど、例えば倦怠感やちょっとしたのどのイガイガなどがあって、念のため病院に来て調べたらインフルエンザというケースもありました。インフルエンザは一般的にワクチンを打った後はあまり高熱が出なかったり、症状が軽く済むことは知られていますけど、昨年の強い感染で得た免疫力がいわば自然免疫状態で残っていて、あまり症状が顕在化しない患者さんもいます。もちろんごく一部ではありますけど、こういうケースもあるということはご承知おきいただければと思います。
恵俊彰:僕は2、3週間前にインフルエンザワクチンを打ったんですけど、今年は何か特徴はあるんですか?A型が流行るとか。
伊藤院長:南半球、特にオーストラリア等の傾向が反映されると言われていることからしますと、まず少し早めに流行するだろうというのはある程度予測されていましたし、実際そうなっています。あとはB型のインフルエンザもある程度流行するだろうといわれています。普通B型は2月~3月ぐらいに見られるんですけど、実際我々のところでもすでにB型の患者さんがいます。いつものインフルエンザの流行とはちょっと違い、B型も早めに入ってくるのかなと感じています。
恵俊彰:1回のワクチン接種でAもBも対応できるんですよね?
伊藤院長:インフルエンザの通常のワクチンはA・Bに対応していますし、今年広く使われ始めたフルミスト(経鼻のワクチン)も対応しています。
コメンテーター 渡辺満里奈:何回も感染してしまうという場合でも、やっぱりワクチンを打っておいた方がいいんですよね?
伊藤院長:もちろん前半に3回も4回も感染した場合はもうワクチンを打つタイミングがないかもしれませんけど、1回感染したらもうかからないと思ってしまいますと、例えばA型に感染した後にB型に感染することも十分あり得ますし、昨年はA型に2回感染する人も結構いたんですよね。ですから1回感染した場合には、2、3週間ぐらい空けてワクチンを打っておくと良いかと思います。
マイコプラズマ肺炎は9週連続で増加しており、1月からは新型コロナの流行のおそれもあります。伊藤院長はトリプルデミックの可能性も指摘しています。
恵俊彰:3つ同時にかかることはあるんですか?
伊藤院長:あくまで可能性です。ただ新型コロナが世に出てきてから初めてマイコプラズマの大流行を我々は経験していて、未知の世界なんですよね。特に注意しなければいけないのは、妊婦さんです。耐性菌で、妊婦さんでも使えるような抗生物質が見当たらないケースがあるんです。妊婦さん、授乳婦さん、小さいお子さん、あとは基礎疾患を持つ人、高齢者は十分な注意が必要です。さらに二重感染や三重感染ということになれば症状が重くなることは容易に想像できますので、できる感染対策をしていくことが必要だと思います。
コメンテーター 山之内すず:基本の手洗いうがいや食生活なども、気をつけないとですね。
(ひるおび 2024年11月11日放送より)